ヒトも伴侶動物も腸内菌叢が大切
2020年11月

小林泰男
(北海道大学農学部 動物機能栄養学 教授)

イヌ・ネコは、以前は「ペット(愛玩動物)」と呼ばれていましたが、近年は飼い主と一生を共にするという意味合いの強い「コンパニオンアニマル(伴侶動物)」と称されます。
つまり、伴侶であるには、「健康で長命であること」が望まれるのです。

統計によると、イヌ・ネコの死因第1位は、悪性腫瘍(がん)です。
これは人間のそれと同じであり、彼らはまさにヒトと運命を共にする傾向が出てきたわけです。発症部位は乳腺・精巣、リンパ、消化器など様々です。
このうち、消化器系のがんは、「どんなものを長年食べてきたか」とリンクする点で、まさにヒトと同じです。

ヒトの場合、腸内菌叢が健康に大きく関与し、がんの発生にも影響することがわかっていますので、イヌ・ネコの腸内菌叢も健康はもちろんのこと、寿命をも左右すると思われます。
菌叢を健康的なものに保ち続けることがまさに肝要です。良いバランスで安定化させ、病原菌や腐敗物生成菌などの排除や抑制をはかることが重要です。

良いバランスとは、善玉菌の乳酸菌やビフィズス菌(写真参照)を20%以上の割合で保ち、腐敗物生成菌を10%以下に抑えることです。
悪玉菌は腐敗発酵産物(アンモニア、インドール、スカトールなど)をつくり、その腐敗産物は腸管粘膜を損傷させ、発がんの原因となります。

一方で、善玉菌は、有用な有機酸(短鎖脂肪酸や乳酸)を生み出すことで腸内を弱酸性に保ち、悪玉菌(腐敗菌・病原菌)の異常増殖を食い止めます。
善玉菌の維持・増殖を図るには、善玉菌そのものをエサに混ぜて与える(プロバイオティクス)、善玉菌の好物(オリゴ糖などの食物繊維)をエサに混ぜて与える(プレバイオティクス)、両方を使用する(シンバイオティクス)の3つの方法があります。

ビフィズス菌
乳酸菌

イヌ・ネコの腸内菌叢を整えることは、動物の健康維持だけでなく、飼う側にもメリットをもたらします。

腸内発酵の健全性維持をとおして、排泄習慣の正常化や排泄物の匂い低減、などが期待できます。
屋内ですごす時間の多い伴侶動物では、特にこの匂い問題は重要かと思います。悪臭のもととなる腐敗物を最小化するには、やはり腸内菌叢の正常化からです。

腸内菌叢を良いバランスに保つには、炭水化物(とくに繊維質)を含むものを給与するのがポイントです。

イヌ・ネコは肉食動物なので本来炭水化物は得意でないのですが、腸内菌叢を正常に保つにはある程度必要です。
うまく調合して、喜んでたべさせる工夫こそ大切で、エサ作りの腕の見せ所とも言えます。

フレッシュペットフードは、炭水化物含量が23-25%(乾物当たり)と、負荷がかからない程度にバランス良く配合されています。
しかも、この炭水化物は、調合したさつまいも、かぼちゃ、ニンジン、ブロッコリーなど、良質のもの(ヒトの食材)に由来し、腸内の善玉菌を増やし、便通を良くするとされる食物繊維が豊富です。
エサの炭水化物含量をあげると、食いつきが悪くなるのが通常なのですが、フレッシュペットフードの食いつきの良さには定評があります。知り合いの大学教員にも試してもらいましたが、そのお宅のイヌたちにも好評でした。

「医食同源」の言葉は、ヒトだけでなく伴侶動物にも適用されなければなりません。

ヒトの腸内菌叢の研究は飛躍的に進展していますが、伴侶動物のそれは未だ途上です。その進展に貢献できれば、また伴侶動物の健康維持・向上にお役に立てればと願っています。

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