「セラピードッグ」という、人を支える役割を担っているワンちゃんをご存知でしょうか?
本記事では、厳しい訓練を経て人々の心に寄り添う「癒やしのプロ」としてのセラピードッグの全貌に迫ります。
動物福祉の視点から見る「人と犬の共生」についても掘り下げます。単なる癒やしにとどまらない、彼女たちの尊い使命と可能性についてぜひ知ってください!
セラピードッグとは?

セラピードッグという言葉、最近ニュースやSNSでもよく耳にするようになりましたよね。
でも、具体的にどんなことをするわんちゃんなのか、詳しく知らない方も多いかもしれません。セラピードッグは、ただそこにいて可愛いがられるだけのペットとは少し違います。
実は、医師や看護師といった医療の専門家たちと連携して、患者さんの治療やリハビリテーションのサポートを行う動物介在療法や、高齢者施設などを訪問してふれあいを通じた生活の質向上を目指す、動物介在活動を担う、言わば癒やしのプロフェッショナルなんです!
よく混同されがちなのが、街で見かける盲導犬や介助犬といった身体障害者補助犬の存在です。
彼女たちも人間社会で素晴らしいお仕事をしていますが、役割には明確な違いがあります。
補助犬がユーザーの目や耳、手足の代わりとなって身体的な機能を補う作業を主とするのに対し、セラピードッグは人々の心に深く寄り添い、精神的な交流や安心感を与えることが主な役割なんです!
何かを運んだり誘導したりするのではなく、アイコンタクトや温かいふれあいそのものが、彼女たちの大切な任務なんですね。
実は、ワンちゃんがこのお仕事に就くにはとても高いハードルがあるんです。
セラピードッグには、どんな場所でも物怖じしない社交性や、突然大きな音がしても動じないストレス耐性、そして何より絶対に人を傷つけない穏やかさが求められます。
こうした資質を見極める厳しい適性検査と、現場で落ち着いて振る舞うための専門的なトレーニングを経て、認定試験に合格したわんちゃんだけが、セラピードッグとして活躍できるんですよ。
セラピードッグの原理と効果

わんちゃんと触れ合っていると、張り詰めていた気持ちがふっと緩んで、温かい気持ちになった経験はありませんか。
実はこれ、単なる気のせいではなく、科学的な証明が昨今多くの研究で注目されているんです!
犬と見つめ合ったり優しく撫でたりすることで、私たちの脳内では「オキシトシン」というホルモンが分泌されます。
このホルモンには、不安や恐怖心を和らげたり、心を穏やかにして、心の負担を軽くするきっかけになると期待されています。
実際に、セラピードッグとの触れ合いによって気持ちが落ち着き、リラックスした状態に導かれるという研究報告も数多くあります。
言葉を交わさない非言語コミュニケーションであっても、温もりは確実に心と体に届いて、心のケアに大きな役割を果たしているんですね♪
セラピードッグの活躍は、身体的なリラックス効果だけではありません。
長く入院していると、どうしても孤独感や不安に押しつぶされそうになることがありますが、犬の無条件の愛情はそんな閉ざされた心を優しく解きほぐしてくれます。
また、犬がいることでその場の空気が和み、患者さん同士やスタッフとの会話が自然と増える社会的効果も見逃せません。
犬が会話の潤滑油になってくれるのです!さらに、辛いリハビリテーションの現場でも素晴らしい変化を起こしてくれます。
「痛いから動きたくない」と塞ぎ込んでいた方が、「この子を撫でたいから」と懸命に手を伸ばしたり、「一緒に歩きたい」という一心で歩行訓練に励んだりすることがあるんです。
セラピードッグは、患者さんの「頑張りたい」というモチベーションを引き出す、頼もしいパートナーなんです。
どんな場所で活躍している?

セラピードッグと聞くと、まず思い浮かべるのは病院や介護施設かもしれません。実際、多くのわんちゃんたちが高齢者施設や病院で活躍しています。
特別養護老人ホームのような場所では、普段あまり感情を表に出さないお年寄りが、犬を見た瞬間に満面の笑みを浮かべたり、昔飼っていた犬の話を楽しそうに語り始めたりするんだとか。
また、緩和ケア病棟のような医療現場では、闘病中の患者さんのベッドサイドに静かに寄り添い、痛みや不安をひととき忘れさせてくれる、かけがえのない存在となっているんです。
医師や看護師さんだけではどうしても埋められない心の隙間を、犬たちの温もりが優しく満たしてくれているんですね。
最近では、医療や福祉の現場だけでなく、もっと意外な場所にも活躍の場が広がっているんですよ。
その一つが学校などの教育現場で行われる動物介在教育 (AAE)です。
例えば、みんなの前で本を読むのが苦手な子供が、犬に対して読み聞かせを行う「R.E.A.D.プログラム」という活動があります。
犬は読み間違えても笑ったり急かしたりしませんから、子供たちは安心して本を読むことができ、自信をつけていくんです。
こうした活動は、不登校の子供たちの心の扉を開くきっかけにもなっています。
さらに、地震や豪雨などで傷ついた人々の心を癒やす被災地支援や、辛い証言をしなければならない子供に付き添う裁判所の「コートハウスドッグ」など、社会の様々な場所で、犬たちの純粋で温かい力が求められているんですね。
人間に寄り添う犬の存在

セラピードッグは、決してわんちゃん一頭だけで活動しているわけではありません。必ずハンドラーと呼ばれる飼い主さんとペアを組んで、二人三脚で活動を行っています。
見知らぬ場所に出向き、初めて会う人たちの心を開くという高度なお仕事ができるのは、ハンドラーさんとの間に揺るぎない信頼関係があるからこそなんです!
ハンドラーは愛犬の表情やしぐさから小さな変化を読み取り、犬はハンドラーを信じて落ち着いて振る舞う。
お互いを深く理解し支え合うその姿は、単なる飼い主とペットという枠を超えた、まさに阿吽の呼吸のパートナーそのものだと言えるでしょう。
私たちが決して忘れてはいけないのは、セラピードッグは癒やしの道具ではないということです。
この活動は、わんちゃん自身が「人と会うのが楽しい」「褒められて嬉しい」と感じていて初めて成り立つものです。
だからこそ、日々の健康管理はもちろん、活動中のストレスサインを見逃さないことや、引退後の穏やかな生活を保障するといったアニマルウェルフェア(動物福祉)の視点が何よりも大切になります。
人間が一方的に癒やしを搾取するのではなく、犬たちの喜びや尊厳も守られるべきですよね!
また、社会全体で彼らを受け入れる際には、犬が苦手な方やアレルギーをお持ちの方への配慮も欠かせません。
人も犬も、お互いが無理なく心地よく過ごせる環境を作っていくこと。それこそが、これからの社会に求められる本当の意味での共生なのかもしれません。