犬の心臓病(特に小型犬に多い僧帽弁閉鎖不全症)のドッグフードは、まず主治医に病気のステージ(進み具合)と食事の指示を聞き、療法食を指示されたらそれを優先します。自分で選ぶ時は、成分表でナトリウム(塩分)、体重に合ったカロリー、筋肉を保つためのたんぱく質、タウリン・L-カルニチン、オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)を確かめましょう。症状のない初期で食事の指示がなければ市販の総合栄養食を続けることもありますが、病気が進むと食欲が落ちて痩せやすくなるため、「食べてくれること」も大切です。おやつは塩分の多いジャーキーやチーズ、人の食べ物を避け、1日のカロリーの10%以内にします。
愛犬が心臓病と診断されたり、健康診断で心雑音を指摘されたりすると、「何を食べさせればいいの?」「市販のフードのままでいいの?」と不安になる飼い主さんは多いと思います。
この記事では、心臓病の犬のフード選びで大切なこと、僧帽弁閉鎖不全症のステージごとの食事の考え方、療法食と市販フードの違い、成分表の見方、心臓病の犬向けのフードの例、おやつや手作りご飯の注意点、食欲が落ちた時の工夫と受診の目安を、順番にお伝えします。心臓病の症状やおうちでのチェック方法は「愛犬の心臓病のチェック方法や気をつけるべきことを解説!」で解説しています。
※療法食を指示されている場合や、ほかの病気がある場合は、主治医の指示を優先してください。
心臓病の犬のドッグフード選びで大切な4つのこと

心臓病の犬の食事は、病気の種類や進み具合、体つき、ほかの病気の有無によって変わります。どの段階でも共通して大切なのは、次の4つです。
- 診断されたら、まず主治医にステージと食事の指示を聞く(療法食の指示があれば、それが優先)
- 成分表で、ナトリウム・カロリー・たんぱく質・タウリン/L-カルニチン・オメガ3脂肪酸を確かめる
- 「食べてくれること」を大切にする(食べる量が落ちて痩せることが、問題になりやすい)
- 塩分の多い人の食べ物や、加工品のおやつは控える
まず主治医にステージと食事の指示を聞く
心臓病と一口に言っても、心雑音があるだけで症状のない段階から、咳や呼吸の苦しさが出る心不全の段階まであります。どのくらい塩分を控えるか、療法食が必要かは、段階によって違います。まず主治医に「今のステージ」と「食事で気をつけること」を確認しましょう。療法食を指示された場合は、その指示が優先です。自己判断で療法食を始めたり、やめたりするのは避けてください。
成分表で5つの栄養を確かめる
市販のフードを選ぶ時や、療法食を比べる時は、パッケージの成分表を見ます。特に見ておきたいのは、ナトリウム(塩分)、カロリー、たんぱく質、タウリンとL-カルニチン、オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)の5つです。見方は、後の「成分表で確かめたい6つのポイント」でまとめています。
何より「食べてくれること」が大切
心臓病が進むと食欲が落ちやすく、食べる量が減って、体重や筋肉が落ちてしまうことがあります。米国獣医内科学会(ACVIM)のガイドラインでも、心不全の犬では食欲が落ちていないかを確かめ、十分なカロリーをとれるようにすることが大切だとしています。塩分を控えた食事でも、食べてくれなければ栄養がとれません。愛犬が無理なく食べ続けられるものを、主治医と相談しながら選びましょう。
塩分の多い人の食べ物・加工品のおやつは控える
フードに気をつけていても、おやつや人の食べ物、薬を飲ませる時に包む食べ物から塩分をとってしまうことがあります。ACVIMのガイドラインも、ナトリウム(塩分)はフードだけでなく、おやつや人の食べ物、薬を飲ませるための食べ物も含めて考えるよう示しています。ハムやソーセージ、チーズ、味付けした人のおかずは与えないようにしましょう。
僧帽弁閉鎖不全症のステージ別・食事の考え方

僧帽弁閉鎖不全症は、犬でもっとも多い心臓病で、小型犬に多く見られます。心臓の中の弁(僧帽弁)がうまく閉じなくなって血液が逆流する病気で、時間をかけて少しずつ進むことが多い病気です。
米国獣医内科学会(ACVIM)は、この病気をA〜Dのステージに分け、ステージごとの診断と治療の考え方をまとめています(Keene et al., 2019)。そのうち食事について示されている内容を、一般的な考え方としてまとめると次のとおりです。愛犬が今どのステージかは、主治医に確認してください。
| ステージ | 心臓の状態 | ガイドラインが示す食事の考え方 | 家庭でのポイント |
|---|---|---|---|
| B1 | 症状はなく、心臓の大きさの変化が、治療を始める基準に届いていない | 食事療法も薬も、すすめられていない段階 | 体重に合った総合栄養食を続ける。塩分の多いおやつや人の食べ物は控え、太らせない。定期検診で進み具合を確かめる |
| B2 | 症状はないが、検査で心臓(左心房・左心室)が大きくなってきている | 食事療法がすすめられる。軽いナトリウム制限と、体つきを保てるだけのたんぱく質・カロリーがあり、おいしく食べられる食事 | 今のフードでよいか、療法食や心臓に配慮したフードに変えるかを主治医に相談する |
| C | 心不全の症状(咳、呼吸が速い・苦しいなど)が出ている、または出たことがある | ナトリウムを中程度に制限(フード・おやつ・人の食べ物・薬を飲ませる食べ物を含めて)。カロリーとたんぱく質は十分に(腎臓病用の低たんぱくの食事は、重い腎臓病がなければ避ける)。食欲の低下に気を配り、食べやすくする工夫をする | 週1回ほど体重を量り、痩せてきたら早めに相談する。食べない日が続く時は主治医へ |
| D | 標準的な治療をしても、心不全の症状が抑えにくい | ステージCの考え方がすべて当てはまる。体に水がたまる時は、食欲や腎臓の働きを損なわない範囲で、さらにナトリウムを控えることを検討 | 食事の内容と量は、主治医と細かく相談して決める |
ステージCの犬について、ACVIMのガイドラインは、体を保つのに必要なカロリーをおおよそ体重1kgあたり60kcalとしています。ただし、実際に必要な量は体格や体重の変化によって違うため、量は主治医と相談しながら調整しましょう。また、食欲が落ちている、筋肉が落ちている、不整脈があるといった犬では、オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)を補うことも検討するとしています。
このステージ分けは、僧帽弁閉鎖不全症についてのものです。拡張型心筋症など、ほかの心臓病では食事の考え方が違うことがあるので、主治医の指示に従ってください。
心臓病の犬のフードの種類|療法食・心臓に配慮した一般食・総合栄養食の違い

心臓病の犬に使われるフードは、大きく3つに分けられます。
| タイプ | 向いている子 | 特徴 | 買える場所 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 療法食(動物病院で指示されるもの) | 主治医から食事療法を指示された子(心臓が大きくなってきた、心不全の症状がある など) | ナトリウムを控え、タウリンやL-カルニチン、オメガ3脂肪酸などを、心臓病の犬に合わせて調整している | 動物病院。通販で買えるものもあるが、獣医師の指示のもとで使う | 自己判断で始めない・やめない。食べない時は主治医に相談して、別の製品やタイプを試す |
| 心臓に配慮した一般食(シニア用や「心臓の健康維持」をうたうフードなど) | 心臓病の診断がない、または食事の指示が出ていないシニアの子など | 総合栄養食。ナトリウムの調整やタウリンの配合などをうたうものがある | ペットショップ、ホームセンター、通販 | 療法食の代わりにはならない。配慮の内容は製品ごとに違うので、成分表で確かめる |
| 一般の総合栄養食 | 症状がなく、食事療法の指示がない子(ステージB1など) | 健康な犬に必要な栄養がそろっている | どこでも買える | ナトリウムの量は製品によって差がある。おやつや人の食べ物で塩分を足さないようにする |
「僧帽弁閉鎖不全症と言われたけれど、市販のドッグフードでいいの?」と迷う方も多いと思います。症状がなく、心臓の大きさにも治療が必要な変化がない段階(ステージB1)であれば、ACVIMのガイドラインでは特別な食事療法はすすめられていないため、体重に合った総合栄養食を続けることが一般的です。心臓が大きくなってきた(B2)、心不全の症状が出た(C以降)と言われたら、今のフードでよいか、療法食に変えるべきかを主治医に確認しましょう。
フードを切り替える時は、今のフードに少しずつ混ぜて、1〜2週間ほどかけて割合を増やすと、お腹への負担を減らせます。体調が悪い時に急に変えると食べなくなることもあるので、切り替える時期も主治医と相談しましょう。
成分表で確かめたい6つのポイント

市販のフードを選ぶ時や、主治医にフードを相談する時は、次の成分を確かめましょう。
| 成分 | なぜ大事か | 表示の見方 |
|---|---|---|
| ナトリウム(塩分) | 心不全になると、体が塩分と水分をため込みやすくなります。病気の段階に応じて控えることがすすめられています | 成分表の「ナトリウム」を見る。表示のないフードもあるので、その時はメーカーに問い合わせる。ドライとウェットのように水分の量が違うフードは、%のままでは比べられないので、カロリーあたりで比べるか、主治医に見てもらう |
| カロリー | 太りすぎは心臓の負担になり、痩せすぎ(筋肉が落ちること)も問題になります | 「代謝エネルギー」(100gあたりのカロリー)と給与量の目安を見て、体重の変化に合わせて量を調整する |
| たんぱく質 | 筋肉を保つために必要です。重い腎臓病がなければ、心臓病の犬でたんぱく質を減らす必要はないとされています | 「粗たんぱく質」の%を見る。腎臓病もある子は、主治医と両方を考えて選ぶ |
| タウリン・L-カルニチン | タウリンは心臓に多く含まれる栄養素で、不足すると心臓の筋肉の病気(拡張型心筋症)の原因になることがあります。L-カルニチンは、心臓の筋肉がエネルギーをつくるのに大切な栄養素です | 原材料や成分表に「タウリン」「L-カルニチン」の記載があるかを見る。サプリメントで足す前に主治医に相談する |
| オメガ3脂肪酸(EPA・DHA) | ACVIMのガイドラインでは、食欲が落ちている、筋肉が落ちている、不整脈がある犬で、補うことを検討するとしています | 「EPA」「DHA」「魚油」の記載を見る。サプリメントの量は主治医と相談する |
| カリウム・マグネシウム | 利尿剤などの心臓の薬によって、血液中の量が減ったり増えたりすることがあります。少なすぎると、心臓のリズムが乱れる原因になります | 自己判断で足したり減らしたりせず、血液検査の結果をもとに主治医と相談する |
心臓病と腎臓病を両方持っている子は、たんぱく質やリン、ナトリウムの考え方が変わるため、両方に合う食事を主治医と相談しましょう。腎臓病の食事は「犬の腎臓病に良い食べ物・悪い食べ物一覧|手作りご飯のレシピと食べない時の工夫」、腎臓病の療法食の選び方は「犬の腎臓病の療法食とは?ドッグフードの選び方・食べない時の対処法、ココグルメは与えていい?」で解説しています。
心臓病の犬向けのドッグフードの例
ここでは、心臓病の犬向けに作られたフードの例を紹介します。どれも療法食(食事療法食)なので、獣医師の指示のもとで使ってください。紹介の順番は、おすすめの順位ではありません。内容は2026年11月時点で、メーカーや国内の正規販売元・販売店のページで確認したものです。成分や仕様は変わることがあるので、購入前にパッケージでも確かめましょう。
| 製品 | 区分 | 形状 | メーカー・販売元が公表している配慮点 |
|---|---|---|---|
| ロイヤルカナン 早期心臓サポート+関節サポート | 療法食 | ドライ | 初期の心疾患・関節炎の犬向け。ナトリウム量を制限し、タウリン・L-カルニチンを配合。オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)を調整 |
| Vet Solution(ベッツソリューション)犬用 心臓サポート | 療法食 | ドライ | 心臓疾患(心不全)の犬向け。タウリン・L-カルニチンを配合し、ナトリウムを控えた設計 |
| ビオピュア ヘルツ・エアクランクンゲン | 療法食 | ウェット(缶詰) | 心臓病や慢性心不全、高血圧のある犬向け。ナトリウムを抑え、カリウム・マグネシウムを配合。原材料にオーガニック認証の素材を使用 |
ロイヤルカナン 早期心臓サポート+関節サポート
ロイヤルカナンの犬用の食事療法食で、形状はドライです。メーカーは、初期の心疾患と関節炎の犬向けの製品としています。心疾患に配慮してナトリウム量を制限し、タウリンとL-カルニチンを配合していること、関節疾患に配慮してオメガ3脂肪酸(EPA・DHA)を調整していることを公表しています。内容量は1kgと3kgです。
同じメーカーからは、ステージが進んだ心臓病の犬向けの「心臓サポート」(ドライ・ウェット缶)も出ています。どちらを使うかは、獣医師の診断と指示のもとで決めましょう。
ロイヤルカナン 療法食 犬用 早期心臓サポート+関節サポート
Vet Solution(ベッツソリューション)犬用 心臓サポート
イタリアのモンジ社(Monge)の食事療法食で、形状はドライです。国内の正規販売店の商品ページでは、心臓疾患(心不全)の犬に与えることを目的とした療法食とされ、タウリンとL-カルニチンを配合し、ナトリウムを控えた設計と説明されています。内容量は800gと3kgです。獣医師の指示のもとで使いましょう。
Vet Solution(ベッツソリューション) ドッグフード 心臓サポート
ビオピュア ヘルツ・エアクランクンゲン
ドイツのビオピュア(BIOPUR)の療法食で、形状はウェット(缶詰)です。日本の総発売元は、心臓機能や心臓病、慢性心不全、高血圧に問題を抱える犬用の療法食としています。ナトリウムの含有量を抑え、カリウムとマグネシウムを配合していること、原材料にオーガニック認証の素材を使っていることも説明しています。ほかの療法食と同じく、獣医師の指示のもとで使いましょう。
心臓病の犬のおやつの選び方|市販のおやつはあげていい?
心臓病の犬でも、おやつを楽しみにしている子は多いでしょう。主治医から止められていなければ、量と種類に気をつけて与えることができます。療法食を食べている子は、おやつを与えてよいか、どんなものならよいかを主治医に確認してください。
- 塩分の多いものは避ける:味付けしたジャーキーなどの加工肉、チーズ、ハム・ソーセージ、人のお菓子やおかずは、塩分が多いものがあります。
- 成分表のナトリウムを見る:ナトリウムの表示がない時は、メーカーに問い合わせるか、主治医に見てもらいましょう。
- 量は1日のカロリーの10%以内に:おやつと人の食べ物を合わせて、1日に必要なカロリーの10%以内が目安です(米国タフツ大学の心臓病の犬向けの解説より)。おやつをあげた日は、そのぶんフードを少し減らします。
- 普段のフードの粒をご褒美にする:1日分のフードから数粒取り分けておやつにすれば、塩分もカロリーも増えません。療法食の子にも使いやすい方法です。
- 薬を包む食べ物にも注意:チーズやハムで薬を包むと、塩分が増えます。飲ませ方は主治医に相談しましょう。
チーズの塩分については「犬にスライスチーズはあげていい?1日の量の目安と塩分、粉チーズやカッテージチーズの注意点」、手作りのおやつは「犬の手作りおやつの始め方と注意点。おやつにしてはいけない食材も」も参考にしてください。手作りのおやつも、塩などの味付けはしないようにしましょう。
手作りご飯・トッピングの注意点
食欲が落ちた時などに、ゆでた鶏肉や野菜を少しトッピングしたいと考える方もいると思います。心臓病の犬に手作りの食事を取り入れる時は、次の点に気をつけましょう。
- 塩・しょうゆ・みそ・だしの素などで味付けしない:犬の手作りご飯に味付けはいりません。人の料理を取り分けるのも避けましょう。
- トッピングは少量に:量が多いと栄養のバランスが崩れ、カロリーも増えます。おやつと合わせて、1日のカロリーの10%以内が目安です。
- 療法食を食べている子は、主治医に確認してから:療法食は、それだけで栄養を調整しています。ほかの物を足すと、その設計が変わってしまいます。
- 手作りご飯を主食にするなら、獣医師に相談してレシピを決める:ナトリウムを控えながら、たんぱく質やタウリン、ミネラルを過不足なくそろえるのは難しいため、自己流で続けないようにしましょう。
味付けの考え方は「犬の手作りご飯の味付けはどうする?使える食材とNGな調味料一覧、塩や出汁は使っていい?」、手作りご飯の基本は「犬の手作りご飯の始め方と注意点|栄養バランス・1日の量の計算・NG食材・切り替え方」で解説しています。
体重管理と、食欲が落ちた時の工夫

太りすぎも痩せすぎも、心臓の負担に
太りすぎると心臓への負担が増え、呼吸も苦しくなりやすくなります。太っている子は、主治医と相談しながら、フードの量やおやつを見直して少しずつ減量しましょう。運動で減らそうと無理をさせるのは避け、運動の量も主治医に確認してください。減量の進め方は「愛犬のダイエットに運動やご飯のかさ増しは効果的?肥満対策も解説!」で紹介しています。
一方で、心不全の犬は痩せすぎもよくありません。米国タフツ大学は、心不全の犬では体型の目安(9段階のボディコンディションスコア)を、健康な犬の4〜5より少し余裕のある5〜6にすることをすすめています。週に1回ほど体重を量り、記録しておきましょう。
心臓病が進むと痩せやすい(心臓悪液質)
心不全になると、食欲が落ちることなどから、筋肉が落ちて痩せていくことがあります。ACVIMのガイドラインは、心不全にともなって筋肉(除脂肪体重)が落ちることを「心臓悪液質」としています。タフツ大学も、心不全の犬では筋肉が落ちることがとても多いとしています。
背骨や腰の骨が前より目立ってきた、体重が減り続けているといった時は、早めに主治医に相談しましょう。痩せてきた子に減量用のフードを与えたり、たんぱく質を減らしたりするのは避けます。シニア犬の1日の量と回数は「老犬・シニア犬の食事量と回数|1日何回・何gが目安?体重別の表と量の決め方、食べない時の工夫【獣医師監修】」も参考にしてください。
食欲が落ちた時の工夫
心不全の犬は、食欲が落ちやすいことが知られています。ACVIMのガイドラインも、簡単な調理の工夫で食欲を保つことが役立つとしています。次のような方法を試してみましょう。
- 人肌程度に温める:香りが立ち、食べる気が出ることがあります。温めすぎによるやけどに注意しましょう。
- 少量を回数多く:1日の量を3〜4回に分けると、食べやすくなります。
- 形を変える:ドライフードをぬるま湯でふやかす、ウェットタイプに変えるなど。療法食にも、ドライとウェットの両方がある製品があります。
- 器や食べる場所を変える:器の高さや形、食べる場所を変えると、食べることがあります。
それでも食べない日が続く時や、まったく食べない時は、早めに主治医に相談してください。タフツ大学も、食欲がまったくなくなった時は、心臓病のコントロールや薬に問題があることが多いとして、受診をすすめています。温め方は「犬のご飯は温めると食べる?適温・電子レンジの注意点とフード別の温め方、冬に食べない時の工夫」、老犬が食べない時の受診の目安は「老犬がご飯を食べない…余命は近い?何日で病院?水は飲む・飲まない時と最期のサイン、家でできること」で解説しています。
療法食の指示がない子の毎日のごはんや、食欲が落ちた時のトッピングに
心臓病の犬のごはんは、主治医の指示が最優先です。そのうえで、療法食の指示がない子の毎日のごはんや、食欲が落ちた時のトッピングを考えている方の選択肢の一つが、獣医師監修の手作りドッグフード「ココグルメ」です。肉や魚と野菜を加熱しただけの手作り品質で、総合栄養食の基準(AAFCO2016)を満たした冷凍のフレッシュドッグフードです。心臓病用の療法食ではないため、心臓病の子に使う時は、主治医に成分表を見せて相談してからにしてください。水分を約70〜75%含むやわらかいごはんで、温めると香りが立ちやすいのも特徴です。酸化防止剤・発色剤・pH調整剤・保存料・着色料・調味料・香料の7つの添加物は使っていません。1袋100gの小分けなので、体重管理のために量を量りやすく、原材料と成分はメニュー一覧で公開しています。お弁当やお惣菜をつくる調理工場で一つ一つ丁寧に作っています。購入前でも使える獣医師相談窓口もあります。今なら送料無料980円で試せます(単品の買い切り・15日間の全額返金保証付き)。
こんな時は早めに動物病院へ(受診の目安)
心臓病の犬は、食事の工夫と同じくらい、日々の様子の変化に早く気づくことが大切です。次のような様子があれば、早めに主治医に相談しましょう。呼吸が苦しそうな時や、倒れた・意識がない時は、時間を待たずにすぐ受診してください。
- 咳が増えた、続いている
- 呼吸が速い、苦しそう(お腹を大きく動かして呼吸する、口を開けて呼吸する)
- 落ち着いている時や眠っている時の呼吸数が、普段より増えてきた
- ふらつく、倒れる、失神する
- お腹がふくらんできた
- 食欲が落ちた、食べない日がある
- 体重が減ってきた、散歩を嫌がるようになった
眠っている時の呼吸数を数えておく
家でできるチェックとして、眠っている時や落ち着いている時の呼吸数を数えておく方法があります。胸やお腹が上下する回数を1分間数え、日付と一緒に記録しておくと、変化に気づきやすくなります。治療で状態が落ち着いている心不全の犬では、家で数えた眠っている時の呼吸数の平均が、ほとんどの犬で1分間に30回未満だったという研究報告があります(Porciello et al., 2016)。ACVIMのガイドラインも、安静時の呼吸数が普段より増えてくることは、心不全が悪くなるサインを早く見つける手がかりになるとしています。何回を超えたら連絡するかは、愛犬に合わせて主治医と決めておきましょう。
咳については「犬が頻繁に咳をする原因から対処法を徹底解説します」、呼吸が荒い時は「犬の呼吸が荒いときの対処法!病院に連れて行く場合も解説」で詳しく解説しています。心臓病の症状や、心拍数・呼吸数の数え方は「愛犬の心臓病のチェック方法や気をつけるべきことを解説!」をご覧ください。
心臓病の犬のフードでよくある質問
僧帽弁閉鎖不全症の犬は、市販のドッグフードでもいいですか?
症状がなく、心臓の大きさにも治療が必要な変化がない段階(ACVIMのステージB1)では、ガイドラインで特別な食事療法はすすめられておらず、体重に合った総合栄養食を続けることが一般的です。心臓が大きくなってきた(B2)、心不全の症状が出た(C以降)と言われたら、ナトリウムを控えた食事がすすめられるため、今のフードでよいか、療法食に変えるべきかを主治医に確認しましょう。どの段階でも、塩分の多いおやつや人の食べ物は控えます。
心臓病の愛犬のフードを選ぶ際に気をつけるべきことは?
まず主治医に病気のステージと食事の指示を確認し、療法食を指示されたらそれを優先します。そのうえで成分表を見て、ナトリウム(塩分)が多すぎないか、体重に合ったカロリーか、筋肉を保てるだけのたんぱく質があるか、タウリン・L-カルニチンやオメガ3脂肪酸(EPA・DHA)が入っているかを確かめましょう。腎臓病もある子は、両方に合う食事を主治医と相談します。何より、愛犬が無理なく食べ続けられることも大切です。
心臓病の愛犬に適したフードのメリットは何ですか?
心臓病の犬向けのフードや療法食は、ナトリウムを控える、タウリンやL-カルニチン、オメガ3脂肪酸を加えるなど、心臓病の犬の食事で気をつけたい点を考えて作られています。家で塩分や栄養を細かく計算しなくても、決まった量を与えることで食事の管理がしやすいのが利点です。ただし、フードだけで病気が治るわけではありません。治療と合わせて、主治医の指示のもとで使いましょう。
心臓病用の療法食のデメリットはありますか?
味や形が合わずに食べない子がいること、動物病院や一部の通販など買える場所が限られること、一般のフードより値段が高めなことが挙げられます。また、療法食だけで病気が治るわけではありません。食べない時は自己判断でやめずに主治医に相談し、別の製品や、ドライ・ウェットなど別のタイプを試しましょう。
心臓病の療法食を食べてくれない時はどうすればいいですか?
温めて香りを立たせる、少量ずつ回数を分ける、メーカーのサンプルや返金制度を使って別の療法食を試す、といった方法があります。食べない日が続くと体力が落ちるため、早めに主治医に相談し、トッピングや別のフードへの切り替えを検討しましょう。
心臓病の犬の食事で、塩分はどのくらい控えればいいですか?
必要な制限の程度は心臓病のステージによって異なるため、具体的な数値はかかりつけの獣医師に確認してください。家庭でできることは、人の食べ物やハム・チーズなどの加工品、塩分の多いおやつを与えないこと、療法食を指示された場合はその設計に沿って与えることです。
心臓病の犬にあげていいおやつはありますか?
主治医から止められていなければ、量と種類に気をつけて与えることができます。味付けしたジャーキーやチーズ、ハム・ソーセージなどの塩分の多いものや人の食べ物は避け、成分表でナトリウムを確かめましょう。量はおやつと人の食べ物を合わせて1日のカロリーの10%以内が目安です。普段のフードの粒を数粒取り分けてご褒美にする方法もあります。療法食を食べている子は、おやつを与えてよいか主治医に確認してください。
心臓病の愛犬に手作りご飯を与えても良いですか?
トッピングとして少量を足す程度なら取り入れやすい方法ですが、塩・しょうゆ・だしの素などで味付けはせず、療法食を食べている子は主治医に確認してからにしましょう。手作りご飯を主食にする場合は、ナトリウムを控えながら、たんぱく質やタウリン、ミネラルを過不足なくそろえる必要があり難しいため、獣医師に相談してレシピを決めてください。
心臓病の犬が太っている時や、痩せてきた時はどうすればいいですか?
太っている子は、体重が心臓の負担になるため、主治医と相談しながらフードの量やおやつを見直して少しずつ減量します。一方、心臓病が進むと食欲が落ちて筋肉が落ち、痩せていくことがあります(心臓悪液質)。週に1回ほど体重を量り、減り続けている時や背骨・腰の骨が目立ってきた時は、早めに主治医に相談しましょう。痩せてきた子に減量用のフードを与えたり、たんぱく質を減らしたりするのは避けます。
利尿剤を飲んでいる時、食事で気をつけることはありますか?
利尿剤などの心臓の薬によって、血液中のカリウムやマグネシウムが減ったり、逆に増えたりすることがあります。カリウムやマグネシウムを含むサプリメントや食材を自己判断で足したり減らしたりせず、血液検査の結果をもとに主治医に相談しましょう。また、薬をチーズやハムで包むと塩分が増えるため、飲ませ方も主治医に相談してください。
ココグルメは心臓病の犬に与えても大丈夫?悪化しませんか?
ココグルメは健康な成犬向けの総合栄養食で、心臓病用の療法食ではありません。ナトリウムやカロリーの制限が必要と診断されている犬には、与える前にかかりつけの獣医師に成分表(公式サイトに掲載)を見せて相談してください。食欲が落ちている時に、主治医の了承のもとでトッピングとして少量使う方法もあります。ココグルメには購入前でも使える獣医師相談窓口があり、持病がある場合の食事について相談できます。
まとめ:心臓病の犬のフードは、主治医の指示を軸に「成分」と「食べてくれること」で選ぶ
心臓病の犬のドッグフードは、まず主治医に病気のステージと食事の指示を聞き、療法食を指示されたらそれを優先します。症状のない初期(僧帽弁閉鎖不全症のステージB1)であれば体重に合った総合栄養食を続けることが一般的で、心臓が大きくなってきた・心不全の症状が出たと言われたら、ナトリウムを控えた食事を主治医と相談します。
選ぶ時は、成分表でナトリウム・カロリー・たんぱく質・タウリン/L-カルニチン・オメガ3脂肪酸を確かめ、塩分の多いおやつや人の食べ物は控えましょう。心臓病が進むと食欲が落ちて痩せやすくなるため、愛犬が食べ続けられることも大切です。体重と呼吸数を記録し、咳や呼吸の変化、食欲の低下に気づいたら、早めに主治医に相談してください。
<参考>
- Keene BW, Atkins CE, Bonagura JD, et al. ACVIM consensus guidelines for the diagnosis and treatment of myxomatous mitral valve disease in dogs. J Vet Intern Med. 2019;33(3):1127-1140.https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6524084/
- Porciello F, Rishniw M, Ljungvall I, et al. Sleeping and resting respiratory rates in dogs and cats with medically-controlled left-sided congestive heart failure. Vet J. 2016;207:164-168.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26639825/
- Cummings School of Veterinary Medicine at Tufts University, HeartSmart「Heart Disease - Nutrition」https://vet.tufts.edu/foster-hospital-small-animals/specialty-services/cardiology/heartsmart/heart-disease-nutrition
- ロイヤルカナン「早期心臓サポート+関節サポート ドライ」https://www.royalcanin.com/jp/dogs/products/vet-products/mobility-c2p+-smaller-dog-3945
- ロイヤルカナン「心臓サポート ドライ」https://www.royalcanin.com/jp/dogs/products/vet-products/cardiac-3930
- ロイヤルカナン「腎臓・関節・心臓疾患 犬用食事療法食」https://www.royalcanin.com/jp/dogs/products/vital-assist
- みんなのペット健康専門店(ベッツソリューション国内正規品販売店)「Vet Solution(ベッツソリューション)犬用 心臓サポート」https://www.min-petkenko.com/goods_jpc_082.html
- EC-life(楽天市場・正規代理店)「VetSolution 犬用心臓サポート 3kg」https://item.rakuten.co.jp/ec-life/vs-dog-shinzou-3kg/
- 有限会社グローバルエクセレントプロダクツ(ビオピュア 正規日本総発売元)「ビオピュア(療法食)」http://www.global-epcl.com/organic-food/biopur/dog-diet.html