愛犬がリンパ腫になった場合「どんなご飯を与えたらいいのか」と悩むこともあるのではないでしょうか。
本記事では、犬のリンパ腫に対する手づくり食のポイントやリンパ腫の犬に与えても良い食べ物について解説していきます。
本記事の内容を知っておくことで、リンパ腫の犬に与えて良い食事がわかるようになりますのでぜひ参考にしてみてください。
犬のリンパ腫のための手作りご飯のポイント
犬のリンパ腫に対する手づくりご飯のポイントとしては以下の通りです。
- 糖質を制限する
- 脂質でエネルギーを補給する
- オメガ3脂肪酸を補給する
- 良質なタンパク質を与える
- 食物繊維を与える
それぞれのポイントについて解説していきます。
糖質を制限する
リンパ腫の犬では、糖質制限を行いましょう。
がん細胞のエネルギー源は、糖質です。
また、がん細胞によって産生される乳酸を分解するために、正常細胞に必要なエネルギーも消費されてしまいます。
がん細胞が炭水化物を代謝する度に愛犬からエネルギーが奪われてしまうので、リンパ腫の犬には、糖質を制限した食事を与えるようにしてください。
脂質でエネルギーを補給する
リンパ腫の犬には、脂質が豊富に含まれた食事を与えましょう。
脂質はがん細胞が利用できないエネルギー源であり、糖質制限によって不足したエネルギー源を脂質によって補うことは大切です。
しかし、膵炎やリンパ腫が消化管に発生、転移している場合には、悪影響を与える恐れがあるため、かかりつけの獣医師と相談してから与えるようにしてください。
オメガ3脂肪酸を補給する
リンパ腫の犬の食事では、オメガ3脂肪酸を補給することを意識してください。
DHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸は、犬の腫瘍に対して以下のような効果を発揮します。
- がん細胞の成長や転移を抑制
- 血管成長抑制
- 免疫増強作用
オメガ3脂肪酸は青魚の油に含まれていることが多い脂肪酸ですが、酸化しやすく食事から摂取することは難しいです。
サプリメントを使用すると手軽にオメガ3脂肪酸を補給できるので、ぜひ検討してみてください。
良質なタンパク質を与える
リンパ腫の犬には、良質なタンパク質が含まれた食事を与えるようにしましょう。
タンパク質に含まれているアミノ酸は、以下のようにがん細胞に対して、さまざまな効果を発揮します。
- グリシン:化学療法の副作用である腎障害を軽減する
- アルギニン:免疫機能を増強する、がんの転移や成長を抑制する
- グルタミン:消化管粘膜の機能維持や免疫機能の保持する
なるべく良質なアミノ酸を与え、体の機能や免疫機能を保ってあげましょう。
しかし、腎不全や肝不全が併発している場合には、タンパク質を与えすぎると、体に悪影響を与えますので、獣医師と相談しつつ与えるようにしてください。
食物繊維を与える
リンパ腫の犬の食事では食物繊維を与えて、消化機能を保持しましょう。
食物繊維は、消化機能の改善の他にもウェルシュ菌の増殖を抑え腸内環境を維持する働きを持ち、免疫力が向上します。
その他にも、化学療法や放射線治療などの副作用を抑える効果も期待できるでしょう。
消化機能を整えて、リンパ腫に対抗できる体を作っていくためにも食物繊維を食事に取り入れてあげましょう。
リンパ腫の犬にも与えられる食べ物
リンパ腫の犬には、以下の食材を与えられる場合があります。
- ヨーグルト
- さつまいも
- キャベツ類
- にんじん
- ピーマン
- ほうれん草
- かぼちゃ
- キノコ類
リンパ腫の進行状態や併発疾患の有無によっても与えて良いかどうかも変わってきますので、かかりつけの獣医師さんに確認してから与えるようにしましょう。
それぞれについて解説していきます。
ヨーグルト
ヨーグルトは、腸内環境を整えることで、免疫機能を向上させがん細胞の成長や転移を防止します。
また、化学療法や放射線治療の副作用を軽減できる場合があります。
さつまいも
さつまいもは、抗酸化物質を多く含み、腫瘍細胞による炎症を抑える効果が期待できます。
しかし、炭水化物も多く含むため、与える際は、食欲を増進するトッピングやおやつとして用いてあげましょう。
ブロッコリー
ブロッコリーも、抗酸化作用をもつビタミンを多量に含む野菜です。
食物繊維も含まれているので、腸内環境を整えるためにも与えるてあげると良いでしょう。
キャベツ類
キャベツには、発がんを抑制するさまざまな酵素や抗酸化作用の強いビタミンが多く含まれています。
免疫力を上昇させ、がん細胞による炎症を抑えられる可能性があります。
にんじん
にんじんも、βカロテンを多量に含んだ強い抗酸化作用をもつ食べ物です。 そのほかのビタミンやカリウムなども含まれており、栄養も豊富です。
茹でると甘味と水分を含み、犬も食べてくれやすいのでぜひ与えてあげましょう。
ピーマン
ピーマンには、ビタミンCやビタミンEなど豊富にビタミンが含まれています。
また、赤ピーマンには、抗酸化作用がある「カプサンチン」が含まれており、病気の予防に役立つとされています。
ほうれん草
ほうれん草に含まれているカロテンは、抗酸化作用を持ちがん細胞の増殖を抑制します。
また、動脈硬化を防ぎ血管の健康を保つ働きもあります。
与えすぎるとシュウ酸カルシウム結石の原因になることもあるので、適量与えることを心がけてください。
カボチャ
カボチャには、βカロテン、ビタミンC、ビタミンE、食物繊維が含まれています。
抗酸化作用を持つ栄養素によってがん細胞の増殖を抑えつつ、食物繊維で腸内環境を整えられるでしょう。
カボチャは、茹でると柔らかくなり甘味も出るため美味しくなります。
ぜひ、茹でたカボチャを与えてあげるようにしましょう。
きのこ類
きのこは、食物繊維が豊富に含まれており、腸内環境を整え免疫力を向上させます。
腫瘍の増殖や転移を抑える効果も期待できます。
しかし、与えすぎると、逆に腸内環境を乱す場合もあるため、注意しましょう。
犬のリンパ腫とは
犬のリンパ腫は、血液由来の悪性腫瘍であり、白血球の1種であるリンパ球が腫瘍化することによって発生します。
リンパ腫には、以下のように発生する箇所によってさまざまなタイプが存在します。
- 縦隔型:左右の肺の間の空間(縦隔)に発生
- 消化器型:胃や小腸、大腸などの消化器に発生
- 皮膚型:皮膚、口腔粘膜に発生
- 多中心型:リンパ節に発生
上記以外にも、眼球や神経、腎臓、筋肉、肝臓など体の至る所に発生するのも特徴です。
進行すると肺などの身体中の臓器、リンパ節に転移して、さまざまな症状を引き起こすため、病気を進行させないための早期発見・治療が必要になります。
犬のリンパ腫の症状
犬のリンパ腫の症状は以下の通りです。
- リンパ節腫大
- 元気と食欲の低下
- 体重減少
- 嘔吐、下痢
- 発熱
- 呼吸が速い
- 皮膚のびらん、潰瘍
リンパ腫の進行具合や、転移の有無によってみられる症状も変化しますので、ここで挙げる全ての症状がみられる訳ではないことに注意してください。
それぞれについて解説していきます。
リンパ節腫大
リンパ節の腫大は、多中心型のリンパ腫でよくみられる症状です。
触診では、顎や首、脇の下、鼠径部、膝下のリンパ節を触ってみて腫れていないかどうかをチェックします。
飼い主さんも、日々体を触ってみて、何か硬いものに触れないかどうかチェックしてみるのがおすすめです。
顎や首元のリンパ節腫大が進行すると呼吸困難に陥る場合もあります。
元気と食欲の低下
元気と食欲の低下は、リンパ腫の犬でよくみられる症状です。
特にリンパ腫が進行した場合には顕著にみられ、いつものご飯を全く食べなくなり、元気がなくなります。
不思議に思った飼い主さんが動物病院に連れてきて、リンパ腫が見つかることも多々あるので注意が必要です。
元気と食欲の低下を認めたら、早めに動物病院に連れてくるようにしましょう。
体重減少
体重減少は、犬のリンパ腫でよくみられる症状です。
リンパ腫などの悪性腫瘍は、体内のエネルギー源を使用し増殖していくため、愛犬の体は常にエネルギー不足に陥ってしまいます。
定期的に体重を計測する習慣を身につけておくと、病気を早期発見できるのでおすすめです。
嘔吐、下痢
消化管型リンパ腫では、嘔吐や下痢が認められることがあります。
また、発生箇所や進行具合によっては、血便、黒色便や最悪の場合、消化管穿孔などの消化器症状がみられることもあります。
普段から嘔吐や下痢を起こしていないかチェックするようにしましょう。
発熱
リンパ腫は、腫瘍細胞の炎症により発熱を引き起こす場合もあります。
この発熱によって、元気や食欲が低下する場合もあるので、動物病院に連れて行ってあげるようにしましょう。
リンパ腫の初期段階や治療に反応する場合には、適切な治療を行うと発熱は落ち着いてくることもあるでしょう。
しかし末期には、治療に反応せず発熱が治らないこともあります。
呼吸が速い
縦隔型リンパ腫や肺に腫瘍が転移している場合には、呼吸が速くなるなどの呼吸器症状がみられます。
この場合、胸に水が溜まり胸水と呼ばれる状態になっていることもあるので注意が必要です。
放置していると呼吸困難により、生活の質が落ち、最悪の場合窒息死することも考えられますので、早急に動物病院に連れていくようにしましょう。
皮膚のびらん、潰瘍
皮膚型のリンパ腫では、皮膚や口腔粘膜などにびらんや潰瘍がみられます。
びらんとは、皮膚や粘膜の表面部の細胞が剥がれ落ち、内部が露出している状態です。
びらんが進行し、皮膚や粘膜が深くえぐれた場合を潰瘍と呼びます。
皮膚のバリア機能が失われ、非常に痛々しい状態になります。
愛犬の生活の質も落ちてしまいますので、動物病院を早めに受診してかかりつけの獣医師さんと治療方針をしっかり相談しましょう。
犬のリンパ腫の原因
犬のリンパ腫の遺伝子の突然変異などが考えられますが、明確にはわかっていません。
1歳未満でリンパ腫を発症した症例は極めて稀であり、好発年齢は6歳以上の中高齢の犬です。
好発犬種は、ゴールデンレトリーバーなどの大型犬でみられることが多いと報告されていますが、ダックスフンドや柴犬など全ての犬に発症する可能性がある病気です。
犬のリンパ腫の治療方法と費用
犬のリンパ腫の治療方法と費用についてそれぞれの治療方法別に解説していきます。
- 抗がん剤治療
- 放射線治療
- ステロイド
- 手術
それぞれについて解説していきます。
抗がん剤治療
犬のリンパ腫は、他の悪性腫瘍と比較して抗がん剤治療によく反応する場合があります。
治療内容と費用について詳しくみていきましょう。
治療内容
抗がん剤治療では、19〜25週ほどの期間にわたり、さまざまな抗がん剤をローテーションして使用していきます。
途中で副作用が出る場合もありますが、リンパ腫が縮小して症状の改善や生存期間の延長などが期待できる治療方法です。
費用
抗がん剤治療にかかる費用は、使用する薬剤や頻度にもよりますが、5kgの犬で月に最低でも5〜10万円ほどかかることがほとんどです。
放射線治療
放射線治療は、鼻腔にできたリンパ腫など局所的な腫瘍に使用されることが多い治療方法です。
治療内容と費用を詳しくみていきましょう。
治療内容
放射線治療は、週1〜5回の頻度で約1ヶ月にわたってリンパ腫に放射線を照射し腫瘍の増殖抑制と縮小化を行う治療方法です。
放射線治療を行うと、腫瘍細胞と正常細胞の両方にダメージを与えますが、外科手術と比較すると正常組織へのダメージを抑えられます。
そのため、効率良く腫瘍細胞にダメージを与えられる治療方法と言えるでしょう。
しかし、大学や2次診療を行う大きな動物病院でしか行う設備がないことがデメリットとして挙げられます。
費用
放射線治療の費用は、放射線の照射回数にもよりますが、約40〜100万円程度になることが多いです。
ステロイド
ステロイドは、抗がん剤や放射線治療など積極的な治療を行わない場合に用いられます。
治療内容と費用を詳しくみていきましょう。
治療内容
ステロイドの抗炎症作用により、腫瘍細胞の炎症を抑える効果が期待できます。
炎症を抑えることにより、発熱や食欲不振などの症状を改善できる場合がありますが、腫瘍細胞自体の増殖や転移は抑えられません。
一時的な対症療法であり、根本的にリンパ腫を治療したい場合には、他の治療方法を選択する必要があるでしょう。
費用
ステロイドを、内服で1週間処方すると1000〜2000円程度になるでしょう。
また、ステロイド注射を用いる場合には、1回の接種で1500円ほどかかる場合もあります。
手術
手術は、消化管型のリンパ腫など内臓にあるリンパ腫を除去する場合に用いられる治療方法です。
治療内容と費用を詳しくみていきましょう。
治療内容
手術では、麻酔をかけて体の中にある腫瘍を摘出します。
この時、腫瘍を取り残さないようにしっかりと大きく取ることが必要です。
また手術を行うことによって、腫瘍の破裂や消化管穿孔などのリスクを最小限に抑えることも可能です。
周辺臓器にリンパ腫が転移している場合には、術後の裂開などが起こる場合もあるため、慎重に行わなければなりません。
費用
手術の内容、難易度にもよりますが、入院費や術後のケアを含めると20万円以上する場合がほとんどです。
犬のリンパ腫の予防方法
犬のリンパ腫は原因が明確にわかっていないため、予防することは困難です。
早期発見・治療を行うことが最善の方法であるので、飼い主さんは、日々愛犬の健康状態をチェックし、異変があればすぐに動物病院を受診しましょう。
リンパ腫の愛犬には手作りご飯で良質なご飯をあげよう!
愛犬がリンパ腫になってしまった場合の食事では、低炭水化物であり、良質なタンパク・脂質が含まれている食事を心がけましょう。
リンパ腫になると食欲不振になってしまうことも多いので、本記事で紹介した食材を使って手づくりご飯を与えてあげるのもおすすめです。
飼い主さんは、日々のケアに努めて、愛犬の生活の質を維持してあげましょう。