愛犬がアジソン病になってしまった時、
「アジソン病の犬の食事はどうしたらいい?」
「アジソン病の犬に手作りご飯をあげても良い?」
と疑問に思うことはありませんか?
飼い主さんは、この記事を読むことで、アジソン病の犬におすすめの手作りご飯や食事を理解することができ、愛犬の食事を豊かにすることができます。
飼い主さんは、この記事を読んでぜひ普段の愛犬の食事に生かしてあげましょう。
アジソン病の愛犬の手作りご飯で気をつけること
アジソン病の犬の手作りご飯で気をつけることは以下の4点です。
- カリウムが少ない
- ナトリウムが多い
- 良質なタンパク質、脂質を摂取する
- 低GI値の食材を使う
それぞれについて解説していきます。
カリウムが少ない
アジソン病の犬には、カリウム含有量が少ないご飯を与えるようにしましょう。
アジソン病の犬は、血液中のカリウム濃度が高くなります。
カリウム濃度が高くなりすぎると
- 不整脈
- 嘔吐・悪心
- けいれん発作
- 虚脱
などの症状があらわれ、最悪の場合心停止してしまいますので注意しましょう。
野菜や果物には、カリウムが多く含まれていることが多いので、与えすぎには注意が必要です。
ナトリウムが多い
アジソン病の犬では、ナトリウムが多い食事を心がけるようにしましょう。
アジソン病では、血液中のナトリウム濃度が低くなります。
その結果、嘔吐や食欲不振などの症状が認められます。
ナトリウムは、肉類などの食品に多く含まれています。
ただし、与えすぎると高血圧の原因になることもありますので注意しましょう。
良質なタンパク質、脂質を摂取する
アジソン病の犬には、良質なタンパク質や脂質を摂取できる食材を与えることが大切です。
副腎ホルモンであるコルチゾールの合成には、良質なタンパク質や脂質が必要です。
良質なタンパク質、脂質には、ビタミンやω-3脂肪酸などが含まれており、コルチゾールの合成を促進していきます。
ささみやサバ、鮭などは良質なタンパク質、脂質を含んでいる食材となりますので、普段の食事に加えてあげるようにしましょう。
低GI値の食材を使う
アジソン病の犬には、低GI値の食材を与えてあげるようにしましょう。
低GI値の食材とは、血糖値を緩やかに上げてくれる食材のことです。
アジソン病は、進行すると低血糖を起こすことがあります。
アジソン病の子に、白米やパン、麺類などの高GI食品を与えてしまうと、インスリンが過剰に分泌され、一気に低血糖になる可能性があります。
インスリンを過剰に分泌させないためにも、低GI値の食材を与えるようにしましょう。
低GI値の食材としては、以下のような食材が考えられます。
- 野菜
- きのこ類
- 魚介類
- 肉
- 玄米ご飯
この他にも低GI値の食品はたくさんありますので、飼い主さんは、普段の食事に意識的に取り入れるようにしてみてください。
アジソン病の愛犬におすすめの手作りご飯のレシピ
アジソン病の愛犬におすすめの手作りごはんレシピは以下の通りです。
鶏ささみと野菜の煮もの サーモンのポテトサラダ 小型犬のバランス雑炊 それぞれについて解説していきます。
鶏ささみと野菜の煮物
野菜は、茹でることにより、カリウム含有量を減らすことができます。
また、ささみは、アミノ酸バランスの取れた良質なタンパク源になります。
カリウム摂取量を抑えつつ、良質なタンパク質を摂取したいアジソン病の犬には、おすすめのレシピとなっていますので、ぜひ作ってみてください。
<食材>(6食分)
- ささみ8本
- さつまいも5センチ
- 人参1センチ
- 小松菜葉っぱ2枚
- しめじ適量
<作り方>
沸騰したお湯でささみに火が通るまで煮る 火が通ったささみを取り出し細かく切る 残りのお湯で、野菜類の材料を火が通るまで煮る (野菜類は細かくカットしてあげる) ささみと野菜類を混ぜ合わせる。さつまいもは軽く潰しながらよく混ぜる
サーモンのポテトサラダ
サーモンは、良質なタンパク質とω-3脂肪酸を多く含んでおり、副腎ホルモンの合成に役立つ食材です。
またじゃがいもなどの野菜類は、食物繊維を含んでいるので、急な血糖値の上昇を防ぐことができます。
魚が好きな愛犬にはおすすめのレシピです。
<食材>(1食分)
- 生鮭50g
- じゃがいも60g
- 人参10g
- キャベツ15g
- オクラ1本
- ミニトマト1~2個
<作り方>
鮭は、蒸すか茹でて加熱し、骨と皮を取り除く じゃがいもと人参を細かくカットし、茹でる キャベツとオクラも細かくカットし、加熱していく 鮭と野菜を食べやすい大きさにほぐし、混ぜ合わせる ミニトマトをトッピングして完成
小型犬のバランス雑炊
良質なタンパク源である鶏むねひき肉や、食物繊維である野菜類、ω-3脂肪酸を多く含むサバ缶、オリーブオイルなどを使っているバランスの取れた雑炊です。
さつまいもやカボチャなどの甘味を持つ野菜を使うことにより、愛犬も美味しく食べてくれることでしょう。
<食材>(5kgの犬に1日120g)
- 鶏むねひき肉 160g
- キャベツ 70g
- ブロッコリー 50g
- カボチャ(皮をむく) 50gほど
- さつまいも(皮付き) 30gほど
- サバ缶 70g
- 炊いた玄米 100g
- オリーブオイル 大さじ1杯
<作り方>
野菜類とさつまいもを細かくカットし、鍋に鶏ひき肉と水200ml位を入れて火をかける 鍋にサバ缶のサバとご飯を入れて、火を通す オリーブオイル加えて混ぜて完成
犬のアジソン病とは
犬のアジソン病は、副腎の機能が低下し、副腎ホルモンを合成できなくなる病気のことです。
副腎は腎臓の頭側に位置している非常に小さな臓器であり、体の生命活動を維持する各種ホルモンを放出しています。
犬がアジソン病になると、こうしたホルモンが放出されなくなりますので、生命活動に異常をきたし、最悪の場合ショック症状から命を落とすこともありえます。
次章では、犬のアジソン病の症状について紹介しますので、飼い主さんは愛犬に当てはまる症状がないかどうかチェックしてみてください。
犬のアジソン病の症状
犬のアジソン病の症状は、初期や慢性期で様々な症状が認められます。
「少し元気がない」といった些細な症状から、「痙攣して意識を失う」といった症状まで 重症度も様々です。
アジソン病の犬を飼っている飼い主さんは、愛犬が重症化しないようにしっかりと治療を行いましょう。
初期症状
犬のアジソン病の初期症状は、以下の通りです。
- 食欲不振
- 元気がない
- 痩せてきてる、体重減少
- 嘔吐
- 下痢
アジソン病の初期症状としては、食欲や元気の低下が症状としてみられることが多いです。
愛犬の食欲や元気がいつもより低下している場合には、飼い主さんは、注意してあげるようにしましょう。
他にも、体重減少や嘔吐、下痢などの症状もみられることがありますので、こういった症状がみられましたら動物病院を受診することをおすすめします。
慢性症状
アジソン病の慢性症状は、以下の通りです。
- 体重減少
- 嘔吐、下痢
- 血便
- 多飲多尿
- 脱水
- 徐脈
- 低体温
アジソン病の慢性期では、上記のような症状の悪化と良化を繰り返すことが多いです。
「少し調子が悪そうだな・・」と思っていると次の日には調子が戻っていることも多いです。
その結果、動物病院への受診が遅れ、重症化が進む原因となります。
アジソン病を見逃さないためにも、「愛犬の体調が悪そうだな」と思った時には、すぐに動物病院を受診するようにしてください。
急性
犬のアジソン病の急性期は、急性副腎不全(アジソンクリーゼ)とも言われます。
急性期に認められる症状は、以下の通りです。
- ショック、虚脱
- 低血圧、低体温
- 痙攣
- 失神
症状も明らかなので、飼い主さんもすぐに異変に気づき連れてきてくれる場合が多いです。
実際、アジソン病と診断される犬の30%は、アジソン病の急性期(アジソンクリーゼ)で来院されると報告されています。
アジソン病の急性期は、緊急性が高く、最悪の場合、命を落とす可能性もありますので、飼い主さんはすぐに動物病院へ連れて行くようにしてあげましょう。
犬のアジソン病の原因
アジソン病の原因としては、以下の3つの原因が考えられます。
- 遺伝
- 副腎の異常
- 薬の副作用
それぞれについて解説していきます。
遺伝
アジソン病の原因の1つとして、遺伝によるものが考えられています。
特に、アジソン病の好発犬種も報告されており、以下の犬種では、アジソン病の好発傾向がみられています。
- パピヨン
- ウェスト・ハイランド・ホワイトテリア
- グレート・デーン
- スタンダード・プードル
- ロットワイラー
愛犬が上記のような犬種に該当する場合は、アジソン病になりやすい傾向があります。
特に、4〜6歳という中齢の雌犬にアジソン病は多発しやすいので、注意しましょう。
副腎の異常
アジソン病の原因として、副腎自体の異常により副腎の機能が低下している場合があります。
例えば、
- 自己免疫性疾患
- 感染
- 腫瘍
などが副腎の機能を低下させる原因として考えられます。
特に自己免疫性により副腎が破壊されることによりアジソン病になることが多いと報告されています。
自己免疫性疾患や腫瘍などは、予防することが難しく、早期発見・早期治療が重要です。
そのため、飼い主さんは、定期的な健康診断と愛犬の体調に異変を感じた場合、早めに動物病院を受診するようにしましょう。
薬の副作用
アジソン病の原因として、薬の副作用が考えられます。
アトピー性皮膚炎などで、ステロイド製剤の長期間の投与や高容量の投与を行うと、副腎機能が低下してくる場合があります。
そうした状況下で、突然ステロイド製剤の投与を中止してしまうとアジソン病を発症してしまいます。
クッシング症候群の治療により、副腎機能を抑えている場合も注意しましょう。
飼い主さんは、自身の判断で薬の投薬を中止せず、獣医師に相談してから薬の投薬内容を相談していきましょう。
犬のアジソン病の検査
犬のアジソン病を診断するための検査には、以下のような様々な検査が必要です。
- 血液検査
- ACTH刺激試験
- 超音波検査
それぞれについて解説していきます。
血液検査
アジソン病の犬を診断するためには、血液検査は必須です。
アジソン病の犬では、高カリウム血症、低ナトリウム血症が最もよくみられる異常です。
また、脱水や体の中の循環血液量の減少により、BUNやCREなどの腎数値が高くなることもあります。
また、急性の副腎不全では、低血糖になることもありますので注意しましょう。
ACTH刺激試験
ACTH刺激試験は、副腎を刺激するACTH(副腎皮質刺激ホルモン)を投与して、副腎が正常に反応してくれるかどうかを判断する検査です。
ACTH刺激試験を行い、副腎ホルモンであるコルチゾールの値が2μg/kg以下の場合は、アジソン病である可能性が高いです。
しかし、直前までステロイド剤を投与していた場合は、結果に誤差が生じやすくなりますので、飼い主さんは、薬の投与歴を獣医師さんに伝えるようにしましょう。
超音波検査
アジソン病では、副腎のサイズが小さくなることが多いです。
副腎は正常でも1cmにも満たない小さな臓器です。
健康な子では、超音波検査で確認できることも多いですが、アジソン病の子の副腎は、萎縮していることが多く、超音波検査で確認できない場合があります。
ACTH刺激試験や血液検査で、アジソン病が疑われ、超音波検査で副腎が萎縮している場合にはアジソン病と診断されることが多いでしょう。
犬のアジソン病の治療法
犬のアジソン病の治療方法としては、入院と投薬の2つのパターンが考えられます。
主にアジソン病の重症度や身体検査、血液検査の結果からそれぞれ適応される治療方針を決めていきます。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
入院
入院が必要な場合は、以下のような状況が考えられます。
- 脱水がひどくある場合
- 血液検査で高カリウム血症、低ナトリウム血症 or 腎数値の上昇
- 急性の副腎不全でぐったりしている場合
アジソン病の犬が上記のような状況下である場合は入院になります。
入院では、静脈から点滴を流し、高カリウム血症や低ナトリウム血症を補正していきます。
また、点滴を流すことにより脱水を改善させていきます。
さらに、アジソン病の子では、副腎ホルモンが減少しているので、これらのホルモンを補充するために投薬を適宜行っていきます。
お家での投薬
自宅での投薬が、適応される場合は、以下のような状況が考えられます。
- 自力でご飯を食べることができる
- 脱水や血液検査での異常が明らかではない
- 入院によるストレスを感じてしまう場合
お家で、副腎ホルモンを補充するための投薬を行います。
お家での投薬でアジソン病をコントロールして行くには、薬を経口投与できる必要があります。
自分でご飯を食べることができている場合は、ご飯に混ぜるだけで薬を投与することができるため、投薬は簡単です。
また、脱水や血液検査での異常が明らかでないアジソン病の初期段階の場合や入院によるストレスを感じてしまう場合なども、お家での投薬が適応されます。
アジソン病の愛犬に飼い主さんができること
アジソン病の愛犬に飼い主さんができることは、以下の4つが考えられます。
- ストレスを与えないような生活を心がける
- 規則正しくご飯を食べさせてあげる
- 野菜を与える時は、茹でてあげる
- 食物繊維を食前に与えてあげる
それぞれ詳しく解説していきます。
ストレスを与えないような生活を心がける
動物は、ストレスを感じると、体内での副腎ホルモンの消費量が増えます。
そのため、アジソン病の子にストレスを与えると、副腎ホルモン不足に陥り、症状があらわれやすくなるので注意が必要です。
犬がストレスを感じやすい状況は以下のようなものが考えられます。
- 見知らぬ人の来客
- 旅行や帰省などで、いつもと違った環境にいる
- 動物病院を受診した
- 花火や雷などの大きな音
- 体調の異変(腹痛や腰痛などがある)
飼い主さんは、愛犬がアジソン病になっている場合、なるべくストレスを与えない生活を送ってもらえるようにしましょう。
規則正しくご飯を食べさせてあげる
規則正しくご飯を食べさせてあげることで、低血糖を予防することができます。
アジソン病では、低血糖が症状としてあらわれることがありますので、注意が必要です。
食間の時間が長すぎると低血糖になってしまう確率が高くなりますので、規則正しくご飯を食べさせてあげるようにしましょう。
野菜を与える時は、茹でてあげる
野菜には、カリウムが多く含まれていますが、茹でることにより、カリウム含有量を低下させることができます。
アジソン病では、高カリウム血症になっていることが多いです。
そのため、カリウム含有量の多い食べ物を与えると、高カリウム血症により不整脈や最悪の場合心停止を起こすことがあります。
愛犬に野菜を与える際には、茹でてあげることにより、カリウム含有量を減らしてあげるようにしましょう。
食物繊維を食前に与えてあげる
食物繊維が含まれている野菜などを食前に食べさせて、急激な血糖値の上昇を防ぎましょう。
急激に血糖値が上昇した後には、インスリン分泌により、血糖値の急降下が起こります。
アジソン病の子では、低血糖になりやすいので、注意が必要です。
食物繊維は、血糖値の上昇を防ぐ役割もありますので、ぜひ普段の食事の前に食べさせてあげて、急激な血糖値の上昇を防ぎましょう。
アジソン病の犬の食事を気をつけて、愛犬の生活を豊かにしてあげよう!
本記事では、アジソン病の犬の食事について、気をつけるべきポイントや手作りご飯のレシピなどを解説してきました。
アジソン病の犬の手作りご飯で気をつけることは以下の4点です。
カリウムが少ない ナトリウムが多い 良質なタンパク質、脂質を摂取する 低GI値の食材を使う
これらのポイントをしっかり理解して、手作り食を作ってあげることで、愛犬の生活も豊かになります。
飼い主さんは、ぜひ本記事を参考にして、アジソン病の犬にも手作りご飯を作ってあげましょう。