男の子のわんちゃんをお迎えした時に去勢手術をうけるかどうかについて悩む方が多いと思います。
性格が変わるとか、麻酔が怖いなど様々な意見がありますが実際のところ手術をするのかしないのか、どちらがよいのでしょうか?
今回は、去勢手術のメリットとデメリット、手術の流れについて紹介します。
犬の去勢手術とは?
犬の去勢手術は左右の精巣を取り除く手術です。
高齢になってから起こりやすい精巣腫瘍や前立腺肥大といった性ホルモンが関係する病気を予防したり、攻撃的な性格を抑制することを目的にしたり、そのほか望まない妊娠を防止するなどのために行います。
手術はほとんどの場合日帰りで行います。
犬の去勢手術をしないとどうなる?
犬が去勢手術を行わないと次のような心配事が起こりやすいといわれています。
- 精巣腫瘍
- 前立腺肥大や前立腺腫瘍
- 肛門周囲腺腫などの腫瘍
- 攻撃的になる
- 発情期にストレスを抱える
①~③は高齢になると起こりやすいといわれています。
男性ホルモンが影響して精巣や前立腺が腫瘍化するといわれていて、悪性と良性があります。
悪性の場合は腫瘍がみるみる大きくなっていく傾向がありますので、早目に手術を行うことをお勧めします。
良性なのか悪性なのかは見た目ではわかりませんので、検査に出して必ず確認しましょう。
去勢手術を行わない全ての男の子が攻撃的になるわけではありませんが、子犬のころから気に入らないことがあると唸ったり歯をむき出しにする場合は早目に去勢手術を行うほうが良いでしょう。
周囲に発情中の女の子がいると去勢していない男の子はソワソワしてしまいます。
極端な場合は全く食べなくなってしまったり、落ち着いて寝ることができなくなり歩き回ってばかりというような状態になることがあります。
個人差はありますが、ストレスになることは間違いないでしょう。
犬の去勢手術をするメリット
犬の去勢手術をすることにはどのようなメリットがあるのでしょうか?
代表的なものについて紹介します。
発情しない、ストレス軽減
犬は鼻が利くことで有名です。
発情中の女の子からはフェロモンが分泌されていて、この匂いは最大2㎞先まで届くといわれています。
この匂いを嗅ぐことで男の子は発情を引き起こします。
近くに発情中の女の子がいなくても、遠く離れた場所からフェロモンの香りは漂ってくるのですから男の子は大変です。
このような状態が続くとストレスが溜まってきます。
中にはしっかり眠ることができず、全く食べなくなってしまう男の子もいます。
長期にわたると健康を害してしまいます。
去勢手術を行うとこのようなストレスから解放されます。
病気の予防
去勢手術を行うと男性ホルモンが関与する病気を予防することができます。
- 精巣腫瘍
- 前立腺疾患
- 会陰ヘルニア
- 肛門周囲の腫瘍
などが去勢手術で予防することができます。
特に、陰嚢内に精巣が降りてこない潜在精巣の場合はできるだけ早く去勢手術を行いましょう。
精巣腫瘍になる確率が潜在精巣の場合10倍になります。
また、高齢になると便や尿の出方が悪くなることがあり、去勢手術をしていないわんちゃんの場合は前立腺疾患を疑います。
さまざまな前立腺のトラブルは去勢手術を行うことで防ぐことが可能です。
会陰部の筋肉が薄くなって穴が開いてしまうことで脂肪や膀胱、腸などが皮膚の下にはみ出してくる病気を会陰ヘルニアと言います。
ビーグルのように大きな声で鳴き副圧がかかる犬種や、小型犬に多い病気ですが男性ホルモンの影響を受けると言われています。
このような病気も去勢手術を行っていないわんちゃんに多く、早めに去勢手術を行うことで予防できます。
望まない妊娠を防げる
去勢手術を行うと精子を作る能力を失うので、望まない妊娠を防ぐことができます。
発情中の女の子のフェロモンのにおいにつられて本能のまま行動してしまうことがあります。
子どもができてしまうと里親を探すことも大変ですし、全頭引き取ることも困難な場合が多いでしょう。
望まない妊娠の可能性をなくすためにも去勢手術を行いましょう。
マーキングが減る
男の子は自分の縄張りや存在の主張のためにマーキングをします。
お散歩に行ったときに壁や柱に尿をかけている姿はよく見かけます。
家の中でも、壁などに少量の尿をかけていて「やられた!」と思うことがあるかもしれません。
このような行動を去勢手術を行うことで防ぐことができます。
しかし、年齢が上がるにつれ手術をしてもマーキングの行動がなくならなくなります。
マーキングを始める前に、去勢手術を行いましょう。
犬の去勢手術のデメリット
犬の去勢手術にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。
手術をすることによるリスク
去勢手術は全身麻酔で行います。
もちろん手術を行う前に血液検査やそのほかに必要と判断される検査を行い、問題がないか確認します。
報告によると犬が麻酔が原因で亡くなる割合は約0.17~0.65%であるといわれています。
高い数字ではありませんが、人間が麻酔が原因で亡くなる割合は0.01~0.05%ですのでこれに比べると高いと言えるでしょう。
統計上の割合は低いとはいえやはり心配であることに変わりはありません。
担当する獣医師とよく話し合い決定しましょう。
太りやすくなる
去勢手術後に太りやすくなってしまうことをご存じの飼い主様が多いでしょう。
ホルモンの分泌状況が変わり、エネルギーを消費するよりも貯める方向に変化しますので油断すると太ってしまいます。
手術前の体重を維持するためにはカロリーを30%減らさなければならないとした報告もあります。
太りやすい体質になるかどうかは手術後の2~3か月の生活が大きくかかわるといわれています。
去勢した犬用のドッグフードなどに切り替えましょう。
体重をこまめに量りながら体重管理することが大切です。
子孫を残せない
去勢手術を行うと精子が作られなくなりますので、子孫を残すことができなくなります。
子どもを残したいと考える場合は、よく検討しましょう。
犬の去勢手術の流れ
では、実際に去勢手術はどのような流れで行われるのでしょうか。
動物病院によって異なる点がありますが、おおよその流れとして参考にしてください。
手術前
麻酔をかけても問題がないかを確認するために血液検査を行います。
CBC(全血球計算)、生化学検査(肝臓、腎臓、血糖値、タンパク量など)を確認することが一般的です。
必要に応じて心電図やレントゲン検査が追加されますが、若い犬の場合は血液検査のみのことが多いでしょう。
大きな問題がなければ手術の日取りを決めます。
手術の前日は夕方6時頃までに夕食をとりその後は絶食です。
脱水を防ぐために水は手術当時の朝まで飲んでも大丈夫です。
手術当日
手術の当日は朝7時ごろには水を下げて絶食絶飲の指示が出ることがほとんどです。
決められた時間までに病院にチェックインし獣医師の診察を受けます。
食欲不振や体調不良、何か間違って食べてしまった場合は手術がキャンセルされ別の日に予約を取り直すこともあります。
気が付かないうちに食べてしまわないように気をつけましょう。
犬の去勢手術の時間は術式によりますが、約20分程度で終わります。
時間は短くても全身麻酔で行いますので、モニターで呼吸や心拍、血中酸素濃度などを監視しながら進めます。
手術後
手術日に退院となり自宅で経過を見ながら過ごします。
傷を舐めてしまうと化膿したり、傷口が開いてしまうこともありますので術後服やエリザベスカラーをつけます。
手術後2~3日は元気がない犬もいますが心配な点は些細なことでも獣医師に相談しましょう。
抜糸は5~7日後に行います。
犬の去勢手術はいつからできる?
去勢手術はどのタイミングで行うのが良いのか、確認します。
性成熟した時
一般的に犬が性成熟するのは生後6か月ごろと言われています。
小型犬と大型犬、個人差がありますので最終的には獣医師の診察を受けて手術の時期を決定しましょう。
小型犬は乳歯の生え変わり具合によることも
小型犬は乳歯と永久歯の生え変わりが上手くいかないことが多く、抜歯を行う必要が出てきます。
抜歯の処置は去勢手術の希望がある場合は同時に行うことがほとんどです。
去勢手術は犬種にかかわらず半年~1歳までに行うのが理想ですので、歯の状態を確認しながら日取りを決定する場合もあります。
去勢手術は若い時の方が効果的!
去勢手術は1歳までの若い時に行うのが効果的です。
- 「病気の予防」
- 「マーキングの防止」
- 「優位行動(自分の方が強いんだという主張)の防止」
などメリットはたくさんあります。
病気は高齢になってから起こるものがほとんどですが、それ以外のものは1歳以降で顕著になります。
その後に去勢手術を行っても予防できず頭を悩ませることが多くなります。
若いうちに行うことをお勧めします。
犬の去勢手術の費用
去勢手術にかかる医療費は一般的に以下のようになります。
- 血液検査料
- 麻酔料
- 手術料
- 投薬料
- その他
を含めています。
小型犬 | 20000円 |
中型犬 | 25000円 |
大型犬 | 30000~35000円 |
超大型犬 | 35000~40000円 |
手術にかかる費用は病院や地域によって異なります。
詳細は手術を希望する動物病院で確認してください。
ただし、鼠径部や腹腔内に精巣がある潜在精巣の場合は手術の内容が複雑になりますので、上記金額に10000~15000円程度プラスされます。
潜在精巣が両側、片側によっても異なりますので、動物病院で確認してください。
犬の去勢手術は失敗する?
犬の去勢手術は短い時間で終了する基本的な手術ですので、失敗することはほぼないと思われます。
潜在精巣の場合はお腹を開けて手術を行いますので、リスクが高くなることは否めません。
まれに腹腔内の精巣が見つからないケースがあります。
残念ながらこのようなケースは事前にわかることはほぼなく、実際に手術を始めないと分かりません。
手術後にホルモン測定を行い再確認する場合もあります。
特に腹腔内の潜在精巣の場合は獣医師とよく相談してください。
犬の去勢後におすすめのドッグフード
犬の去勢手術後は必要なカロリーが変わり太りやすくなってしまいます。
運動で体重のコントロールを行うことも可能ですが、飼い主さまもお忙しく十分な運動を日常行えないことも多いでしょう。
やはり食事の変更を考えざるを得ません。
しかし、カロリーの低いフードは美味しくなくて食べてくれないこともしばしばです。
ココグルメは獣医師監修のもと作った手作りご飯で10種類の新鮮な国産食材だけを厳選して作っており、総合栄養食の基準にも準拠した主食に使い続けられるご飯です。
グルメの犬の好みに合ったもので楽しく体重管理を行いたいものです。
おすすめは手作りご飯のココグルメです。
ココグルメは、食材はすべて人間の食品に使用される食材(ヒューマングレード)を使用しており、学校給食を手がける給食工場で1つ1つ人の手で作っています。
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犬の去勢手術で使える補助金
犬の去勢手術で使える補助金制度が各都道府県にあります。
全ての動物病院で補助金が適応されるわけではありませんので確認してください。
以下は一例です。
名古屋市
・名古屋市内在住で狂犬病予防接種を受けている
・名古屋市から1,600円、公益社団法人名古屋市獣医師会から3,200円
・補助券がなくなり次第終了
京都市
・京都市獣医師会会員の動物病院で補助券を配布
・補助券がなくなり次第終了
・京都市から2,500円、京都市獣医師会から2,500円
詳しくはこちらをご覧ください。
犬の去勢手術はトラブルを防ぐ!するなら若い時に!
今回は犬の去勢手術のメリットとデメリットなどについてとり上げました。
去勢手術はしておくことのメリットが大きく、生後半年から1年以内に行うことをお勧めします。
手術をすることで予防できる病気の中には高齢になってから起こりやすい精巣腫瘍、肛門周囲の腫瘍、前立腺疾患などがあります。
高齢になってからの手術は若いころに比べてリスクが高くなります。
予防できる病気は予防を行い、愛犬が健康で長生きできるようにしていきたいですね。