もし愛犬が膵炎と診断されたら、何を与えれば良いのでしょうか?
今までの食生活を変えてあげないといけない例が多いです。
できれば今まで好きだったものをあげたいですよね。
食材によっては大丈夫なものもあります。
今回は膵炎の犬に与えてもOKな食材、NGな食材、発症すると怖い膵炎について解説したいと思います!
膵炎の愛犬にささみをあげて大丈夫
ささみは膵炎の犬におすすめな食材です。
健康な子でも、ささみはおやつに与えている!という子はよく聞きます。
いつも食べているものであると、体調が悪い時にも抵抗なく食べられる子が多いです。
膵炎の時のささみのメリットについて説明しましょう。
低脂肪であるため
ささみは、手軽に手に入る肉類・部位のなかでは一番低脂肪なお肉です。
鶏もも肉が100gあたり脂質14.6gであるのに対して、ささみは100gあたりなんと脂質0.5g!!
膵臓は脂肪分を分解する酵素を分泌しているため、脂肪が多いものを与えてしまうと活動が活発になり、更にダメージを与えることになります。
そのため脂肪分ができるだけ少ないお肉「ささみ」が一番おすすめなんです。
カロリーが低い
ささみは鶏肉の中でもカロリーが低い部位です。
鶏もも肉が100gあたり211kcalなのに対して、ささみは100gあたり105kcalと約半分。
その分普段のおやつとして与えても太りにくい食材です。
嗜好性が良い
ささみは茹でたり焼いたりして与えることが多いですが、鶏肉の香りがたちやすく嗜好性が高いです。
膵炎になると痛みや倦怠感で食欲がなくなってしまいますので、少しでも食欲を促進できる食材が良いでしょう。
手軽に手に入る
ささみはスーパーなどで必ず売っているお肉。
手軽に入手できる上、他の肉類と比べても安価であることが多いので、与えやすく続けやすい食材です。
膵炎の愛犬にささみをあげる時の注意点
膵炎の愛犬にささみを与える際には少し注意が必要です。
どんな点に気をつければよいのでしょうか?
少しずつ与える
ささみを与える際は少しずつ与えて、吐き気や下痢が出ないか見ながら与えましょう。
体調が悪い時は、健康な時よりも過敏に胃腸が反応してしまいます。
いつもは平気だったものも下痢嘔吐の原因となってしまうことがありますので、少しずつ与えましょう。
茹でてから与える
ささみは必ずしっかりと火を通してから与えましょう。
鶏肉には食中毒菌の感染が多くありますので、体調が悪い時に生肉は禁忌です。
ささみの茹で汁を好む子もいますので、茹でた煮汁ごと保存する方法もおすすめです。
獣医師の先生に聞いてみる
ささみを与える際はきちんと担当獣医師に確認しましょう。
病態によってはささみも与えてはいけないほど重篤な場合もあります。
膵炎の愛犬に与えて良い食べ物
膵炎の愛犬に与えても良い食材は、他には何があるでしょうか?
与えても良い食べ物をご紹介します。
低脂質
低脂質な食材は膵炎の子に与えても大丈夫な食材です。
肉類
- 鶏ささみ
- 豚ヒレ肉
魚類
- タラ
- キス
野菜
- キャベツ
- ブロッコリー
- りんご
- じゃがいも
- さつまいも
などです。
香りが立つ肉や魚類や、甘みのある野菜は好んで食べてくれる犬が多いです。
意外な食材では、カッテージチーズもOKです!
低脂肪なので嗜好性も高く使用しやすい食材です。
炭水化物
膵炎の犬の場合、脂質を抑えた食事にしなくてはいけないため、摂取カロリーが減ってしまいます。
摂取カロリーが減ってしまいどんどん痩せてしまうと体力も奪われてしまいますので、膵炎の際は炭水化物を摂取させることが多いです。
お米やじゃがいもは膵炎の際によく使用される炭水化物です。
ただし膵炎から糖尿病を発症してしまった場合は炭水化物の制限が必要になってしまいますので、主治医の指示に従いましょう。
高消化性タンパク質
タンパク質は食材そのままを摂取するよりも、加工すると格段に消化に良い形になります。
例えば、大豆をそのまま食べるよりも、豆腐として加工した方がより消化に良いタンパク質になるんです。
消化器症状を持つ犬猫用のペットフードなどは、肉類や大豆、小麦などの原材料を加工して高消化性タンパク質にして、消化率を良くしています。
膵炎の愛犬におすすめの手作り食材5選!あげてはいけないものも
膵炎の愛犬に与えてはいけない食べ物
膵炎の犬に与えてはいけない食べ物もあります。
膵炎の既往歴がある子は特に、既往がない子も今後膵炎を突然発症する危険性がありますので十分に注意しましょう。
高脂質
高脂質な食べ物は、膵臓に負担がかかりますので絶対に与えてはいけません。
膵炎治療の重要なポイントは「低脂質」です。
健康な子でも、膵炎を発症する背景として「家族が食べていたお肉(カルビや豚バラ肉など脂肪が多いお肉)を与えてしまった後に具合が悪くなった」という例もあります。
消化の悪いご飯
膵炎になってしまうと消化酵素を分泌している膵臓が炎症を起こし、隣接する十二指腸・小腸などに炎症が波及して消化管の運動が悪くなります。
消化機能が落ちてしまうため、消化に悪いご飯は与えてはいけません。
食材は消化に良いものを、できるだけ細かくしてあげて与えるのが良いでしょう。
膵炎の愛犬におすすめのおやつ
膵炎の愛犬におすすめのおやつをご紹介します!
いなば 低脂肪ちゅーぶ とりささみ
病院で扱っていて、食べない子はほとんどいない!と言えるくらいの”いなばのちゅーる”に保管しやすいチューブバージョンがあります。
低脂肪なため膵炎で食欲がない時の投薬にもおすすめです。
ペティオ (Petio) やわらかササミ&ささみ ロングスティックタイプ 低脂肪 チキン
いつもジャーキータイプのおやつを食べている子も、更に脂肪分を抑えたものにすることがおすすめです。
スティックタイプのおやつは、小さくちぎって与えましょう。
ゴン太の歯磨き専用ガムSSサイズ L8020乳酸菌入り クロロフィル入り 低脂肪 150g
食後には人間と同様に歯磨きが必要です。
しかし歯ブラシでの歯磨きは難しい子は、食後に歯磨きガムを与えて左右満遍なく噛むようにさせましょう。
歯磨きガムは牛革を使っていたり脂質が多めのものも多いので、きちんと低脂肪のものを選びましょう。
犬の膵炎とは
膵炎とは、消化酵素を分泌する膵臓が何らかの原因で炎症を起こしてしまい、自身の膵臓を溶かしてしまったり、周辺臓器に炎症を起こす病気です。
激しい腹痛、嘔吐、下痢、食欲不振の症状が見られることが多く、元気がなくなり動かない、散歩に行きたがらない等の症状も見られます。
急性膵炎の場合数日で死に至ることもある怖い病気です。
愛犬の膵炎の原因
膵炎になってしまうはっきりとした原因は不明であると言われています。
膵炎になりやすい条件として、
- 遺伝性で膵炎を発症しやすい犬種(ミニチュアシュナウザー)
- 肥満気味
- 内分泌疾患を持っている
- 脂肪分の多い食べ物を食べた
- 薬物投与によるもの ・手術時の膵臓の刺激
などが挙げられます。
急性膵炎
急性膵炎の場合、激しい嘔吐や激しい腹痛等の症状がみられます。
激しい腹痛の際には、体を丸めてお腹を気にしたり、フセの姿勢でお尻だけ持ち上げる格好をしたり(祈りのポーズといいます)、お腹周りを触ろうとすると嫌がる素振りがみられます。
急性膵炎は繰り返し発症する可能性が高い病気なので、一度罹患したことのある子は注意が必要です。
重症化すると多臓器不全やショックを引き起こし、数日でなくなる子もいます。
慢性膵炎
慢性膵炎の場合、無症状であったり急性膵炎に比べると程度は軽いものの、同じような症状を引き起こします。
膵臓が持続的に炎症を繰り返すと、膵臓の細胞が萎縮してしまったり線維化してしまい、正常に消化酵素が分泌されなくなってしまって消化吸収能力に影響が出る事があります。
持続的な膵臓のダメージが広範囲に広がり、インスリンを分泌する細胞まで障害を受けると糖尿病になってしまう危険性もあります。
愛犬の膵炎の予防方法
発症すると怖い膵炎は、どのように予防すれば良いのでしょうか?
日頃の生活でも気を付けるべきポイントがいくつかあります。
脂質の高い食べ物を与えない
脂質の高い食べ物は、膵炎の発症の引き金になることがありますので与えないようにしましょう。
膵炎を発症する前に、家族で夜食べていた焼肉をあげてしまった・・・等のエピソードを聞くことがあります。
肥満を予防する
膵炎になりやすい犬の特徴として肥満の犬が挙げられます。
肥満は万病の元なので、適正体重より肥満気味の子は早めにダイエットをしましょう。
膵炎になりやすい犬種、年齢
膵炎は全犬種で発症する確率がありますが、様々な犬種のなかでも膵炎になりやすい犬種が存在します。
該当する犬種を飼っている方は、毎日の食事や日々の変化に良く気をつけてあげましょう。
犬種
- ミニチュアシュナウザー
- トイプードル
- ヨークシャーテリア
- コッカースパニエル
- キャバリア
年齢
全年齢で発症しますが、主に中高齢で発症することが多いです。
治療方法
治療法は輸液療法や制吐剤、抗消炎剤などを使用し、食事療法(低脂肪食)もとても重要になります。
近年犬猫の膵炎治療に有効と言われる薬剤が発売されましたが、その薬剤以外は対症療法となり、症状を緩和する治療を行って膵臓の炎症が落ち着くのを待つ形になります。
膵炎の愛犬はささみをあげて労ろう!
膵炎になってしまった子に与えられる食材は限られてきます。
ささみは低脂肪なので安心して与えられる食材で、膵炎になったことのある子でも普段から使用することができるでしょう。
膵炎になったことのない子でも、ささみを食べたことがあるといざという時に比較的楽に食事制限が行えます。
アレルギーや体に合わない、他の疾患等がなければ、ささみを日常的に取り入れるのはおすすめです。
まとめ 今回は発症すると怖い「膵炎」の際に与えても大丈夫な食材や、与えてはいけない食材、膵炎で注意すべき点などについて解説しました。
ささみは低脂肪、高タンパク、低カロリーで嗜好性も良く、犬に与えるにはおすすめの食材です。
膵炎は食事管理が重要な疾患です。
ぜひ担当医と相談しながら、愛犬が無理なく食事管理が行えるようにしてあげてください。