シニア犬がかかりやすい病気と予防法
代表的なシニア犬の病気と予防法

大切な愛犬がシニア期を迎えると、長寿を喜びつつ、年齢を重ねるにつれて、目にみえる衰えや、若い頃には考えられなかったような病気のリスクに不安になりますよね。
愛犬との穏やかな生活を一日でも長く続けるためには、シニア期にかかりやすい病気の可能性を知り、しっかりと備えることが大切になります。
まず、シニア犬が抱えやすいリスクの代表格として、関節の病気が挙げられます。長年、体を支えてきた関節がすり減ることで、痛みが出やすくなるのです。
お散歩に行きたがらなくなったり、歩き方が少しぎこちなくなったり、ソファなどの段差をためらうようになったり。
そんな症状が見られたら、関節に痛みを感じているサインかもしれません。こうした関節のトラブルは、愛犬の活動量を低下させ、生活の質を大きく下げてしまう可能性があります。
予防のためには、太りすぎないように体重を管理し、関節に負担をかけないことが第一です。
また、激しい運動は避けて、毎日ゆっくりとしたペースでのお散歩を続けて、筋力を維持してあげることも重要です。
次に見過ごせないのが、心臓や腎臓といった内臓の病気です。これらの病気は、はっきりとした症状がなかなか表に出にくく、気づいた時には進行してしまっているケースも少なくありません。
例えば、お水を飲む量やお手洗いの回数が急に増えたり、食欲が落ちてきたり、なんとなく元気がない様子が続くといった変化は、内臓の機能が低下しているサインの可能性があります。
こうした病気の早期発見のために、何よりも大切なのが定期的な健康診断です。
特にシニア期に入ったら、半年に一度は動物病院で診てもらうことで、目には見えない体の変化にいち早く気づいてあげられます。
そして、日々の食事も重要な予防策の一つです。シニア犬の体に合わせた栄養バランスのフードを選び、内臓に負担をかけすぎないように配慮してあげましょう。
新鮮なお水をいつでも飲めるようにしておくことも重要です。愛犬のささいな変化に気づけるのは、毎日一緒にいる家族だけです。
日々の暮らしの中で愛犬の様子をよく観察し、病気の早期発見と予防に努めていきましょう!
認知症に備えるケア

シニア期を迎えると、愛犬の認知症への心配が出てくるかと思います。
わんちゃんの認知症は「認知機能不全症候群」という脳の病気で、年齢とともに認知機能が低下することで様々な症状があらわれます。
ただの老化だと思わずに、病気のサインかもしれないと早めに気づいてあげることが、とても大切になります。
認知症の代表的な症状には、昼夜が逆転して夜中に鳴き続けたり、お部屋の隅でぼーっとしたり、今までできていたトイレを失敗するようになったり、といった変化があります。
もし愛犬にこのようなサインが見られたら、ご家族は不安になってしまいますよね。
残念ながら、認知症を完全に防ぐ確実な方法はありませんが、日々の生活習慣を見直すことで、脳の健康をサポートし、発症のリスクを穏やかにする可能性はあります。
大切なのは、脳に適度な刺激を与え続けることです。例えば、毎日のお散歩は、いつもと同じコースではなく、たまに道順を変えてみましょう。
新しい景色や匂いが、わんちゃんの脳にとって良い刺激になります。
また、お家の中でも、おやつを隠して探させるような簡単なゲームを取り入れたり、新しいおもちゃで一緒に遊んであげたりするのも効果的です。
また、穏やかで安心できる環境を整えてあげることも、心の安定につながります。
シニア期に入るとささいなことで不安を感じやすくなる子もいるので、なるべく生活のリズムを崩さず、家族とのコミュニケーションの時間を大切にしてあげてください。
日々の暮らしの中で愛犬の小さな変化に気づき、心配な症状があれば早めに獣医師さんに相談する習慣をつけておくと、より安心ですね。
犬の健康寿命を延ばす方法
犬の健康寿命とは

わんちゃんの寿命について考えるとき、私たちは「平均寿命」という言葉に注目しがちですよね。
でも、愛犬とのかけがえのない時間をより豊かにするためには、「健康寿命」というもう一つの考え方がとても大切になってくるんです。
健康寿命とは、ただ長生きするということだけではなく、大きな病気やケガがなく、介助を必要とせずに自立して元気に生活できる期間のことを指します。
わんちゃんに置き換えるなら、自分の足でしっかりとお散歩に行けたり、ごはんを美味しく食べられたり、家族と楽しく遊んだりできる時間のことですね。
犬種ごとの特性や、生まれつきの体質など、わんちゃんにはそれぞれに個体差があります。そのため、平均寿命や健康寿命がどれくらいになるかは、一頭一頭で全く違ってきます。
大切なのは、この健康寿命を一日でも長くしてあげることです。そうすることで、愛犬自身の生活の質を高めることができます。
痛みや苦しみを伴う病気の期間が短ければ、それだけ愛犬は幸せな時間を長く過ごせるのです。
そして、愛犬の健康寿命を延ばすことは、実は私たち飼い主のためにもなります。
愛犬が大きな病気と闘うことになると、看病による身体的な負担はもちろん、先の見えない不安からメンタル面でも辛い思いをすることがあります。
また、治療が長引けば、医療費の負担も大きくなってしまいます。
愛犬が元気でいてくれることは、そうした家族の負担を減らし、心から笑いあえる穏やかな毎日を守ることにも繋がるのですね。
年齢に合った食事の選び方

愛犬の健康な毎日を支える基本は、なんといっても日々の食事ですよね。特にシニア期に入ると、若い頃と同じメニューでは体が必要とする栄養素のバランスが合わなくなってくることがあります。
年齢に合わせたフードを選んであげることは、健康寿命を延ばすためのとても大切なステップなんです。
シニア犬は、運動量が減って基礎代謝が落ちてくるため、成犬期と同じ食事を続けていると体重が増えやすくなります。
肥満は関節や心臓に大きな負担をかけてしまうため、適正な体重を維持してあげることが重要です。
まずは、わんちゃんの種類や体格に合った理想の体重を知り、日々の食事でカロリーをコントロールしてあげましょう。
シニア向けのフードは、低カロリーでありながら、筋肉を維持するために良質なたんぱく質をしっかり含んでいるなど、必要な栄養素がきちんと摂れるようにバランスが考えられています。
また、消化機能も少しずつ衰えてくるため、お腹にやさしい、消化の良い原材料で作られたフードを選ぶこともポイントです!
もちろん、食欲や必要なカロリーには個体差があります。愛犬のうんちの状態や毛ヅヤ、体重の増減などをよく観察しながら、その子に合ったフードの種類や量を見極めてあげてくださいね。
もし食欲が落ちてきたと感じたら、フードを少しふやかして匂いを立たせてあげるなどの工夫も良いでしょう。
どんな食事が良いか迷った時は、かかりつけの獣医師さんに相談してみるのが一番安心ですよ。
成犬期からの対策と予防医療
定期的な健康診断

わんちゃんは、自分の体の不調を言葉で伝えることができません。そのため、飼い主さんが気づいたときには病気が進行してしまっていた、ということも少なくありません。
大切な愛犬の健康を守るために、そして病気の早期発見のために、何よりも必要になるのが動物病院での定期的な健康診断です。
特にシニア期にさしかかると、様々な病気のリスクが高まってきます。
症状が出てから病院を受診するのではなく、元気に見えるうちから定期的に体をチェックしてもらうことで、目には見えない体の変化にいち早く気づくことができます。
どんな病気も、早めに対応することでわんちゃんの体への負担を軽くし、医療の選択肢を広げることが可能になります。
若くて健康な成犬期は年に一度、シニア期に入ったら半年に一度の健康診断が推奨されています。
血液検査や尿検査などを定期的に行うことで、体の状態を数値で把握し、過去のデータと比較してわずかな変化も見逃さずに済みます。
また、何でも気軽に相談できる「かかりつけ」の獣医師さんを見つけておくことも、とても大切です。
信頼できる先生がいれば、日々のささいな心配事から、必要な予防接種の相談まで、安心して任せることができますよね。
かかりつけの病院は、愛犬の性格や体質を深く理解してくれる、一番の味方になってくれるはずです。
健やかな脳のためのトレーニング

わんちゃんの認知症のはっきりとした原因はまだわかっていませんが、脳への刺激が少ない生活がその一因になる可能性も考えられています。
愛犬の認知機能を健やかに保つための対策として、毎日の暮らしの中に簡単な脳のトレーニングを取り入れてみませんか。
難しく考える必要はなく、愛犬が楽しみながらできることが一番です。まずおすすめしたいのが、わんちゃんが本来持っている嗅覚を使ったゲームです。
おやつを隠して探させる宝探しゲームや、知育トイと呼ばれるおもちゃは、頭と鼻を使いながら夢中になって遊んでくれるので、とても良い刺激になります。
こうした遊びを日々のトレーニングメニューに少し加えるだけで、脳の活性化につながります。
また、「シニア犬に新しいことは難しい」なんてことはありません。簡単なトリックを教えてあげるのも、素晴らしい脳トレです。
「お手」や「おすわり」といった基本のコマンドを復習したり、「タッチ」のような新しいトリックに挑戦したりすることは、脳に新鮮な刺激を与え、記憶力を維持する助けになります。
新しい刺激が大切な一方で、日々の生活リズムを整えてあげることも、愛犬の脳の健康をサポートする習慣という観点で重要です。
毎日同じ時間にごはんを食べたり、お散歩に行ったりする安定したルーティーンは、わんちゃんに大きな安心感を与え、ストレスを和らげてくれます。
脳を元気に保つための対策は、特別なトレーニングだけではありません。毎日の楽しいコミュニケーションの積み重ねが、愛犬の豊かな生活を支えることになるのです。
愛犬のシニア期を迎える準備とその重要性
サポートグッズの準備

愛犬がシニア期に入り、少しずつ体に変化が見られるようになると、これまで当たり前にできていたことにもサポートが必要になるかもしれません。
いざという時に慌てないためにも、どんなサポートグッズがあるのか事前に情報を集め、心の準備をしておくことが大切です!
例えば、足腰が弱ってくると、滑りやすいフローリングでの転倒が心配になりますよね。そんな時は滑り止めのマットやワックスを活用するだけで、愛犬は安心して室内を歩けるようになります。
また、ソファや車への乗り降りが大変そうであれば、段差をなくしてあげるスロープやステップもおすすめです。
まだまだお散歩が大好きな子のために、疲れた時に乗せてあげられるペットカートを準備しておくのも素敵な選択肢の一つです。
日々の健康管理をサポートしてくれるアイテムもあります。最近では、ごはんの量や飲水量、お薬の時間などを記録できる便利なアプリもたくさんあります。
こうしたアプリを使って日々の様子を記録しておけば、体調の変化にいち早く気づけるだけでなく、動物病院で獣医師さんに説明する際の正確な情報にもなります。
介護の知識、準備

愛犬が年を重ね、いずれ介護が必要になるかもしれないと考えると、少し不安な気持ちになりますよね。
でも、事前に知識をつけ、心づもりをしておくだけで、その不安は大きく和らぎます。いざという時に備えて、シニア犬の介護で特に大切になるポイントを少し学んでおきましょう!
まず、多くの方が直面するのがトイレの問題です。筋力の低下などから、これまでのように排泄を我慢できなくなったり、トイレの場所まで間に合わずに粗相が増えたりすることがあります。
これはしつけの問題ではなく、老化による自然な変化だと理解してあげることが第一です。
決まった時間にトイレに連れて行ってあげたり、寝起きや食後など、排泄のサインを見つけてあげたりする配慮が大切になります。
また、防水マットを敷いたり、おむつを用意したりするのもおすすめです。便利なグッズを上手に活用することで、わんちゃんも家族も、お互いのストレスを減らすことができますよ。
毎日の食事も、体調に合わせた工夫が必要になってきます。消化機能が落ちてくるため、一度にたくさんの量を食べると体に負担がかかることも。
食事の回数を増やし、一回に与える量を少ない部分に分けてあげることで、消化を助けることができます。
また、飲み込む力が弱くなってきた子には、フードをふやかしてあげたり、少し高さのある食器を用意してあげたりすると、食べやすくなります。
介護と聞くと大変なイメージがあるかもしれませんが、一番大切なのは愛犬の体調を日々観察し、その時々の状態に合わせて環境を整えてあげることです。
あらかじめ知識を用意しておくことは、未来の愛犬と自分自身を助ける、愛情のこもった準備なのです。
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