老化に伴う食欲不振
シニア犬の食欲低下について

「最近、うちの子、なんだか食欲が落ちてきた気がする…」。愛犬がシニア期に入り、そう感じている飼い主さんは少なくないかもしれません。
若い頃はあっという間に完食していたのに、今は少し残してしまったり、食べるスピードがゆっくりになったり。
そんな姿を見ると、どこか具合が悪いのかしら?と心配になってしまいますよね。
実は、シニア犬になると食欲が少し落ちるのは、ごく自然な加齢による変化のひとつなんです。
一番の理由は、基礎代謝の低下です。若い頃のように走り回ることが減り、お家でゆっくり寝ている時間が増えることで、一日に必要なエネルギー量も自然と少なくなっていきます。
そのため、犬の老化に伴って食事量が減るのは、ある意味、体に正直な反応ともいえます。
ただ、だからといって「歳だから仕方ない」と見過ごしてしまうのは少し待ってくださいね。
食欲の低下が続くと、体重が減って痩せてしまったり、必要な栄養が摂れずに体力が落ちてしまう可能性もあります。
大切なのは、それが年齢による自然な変化なのか、何か他のサインが隠れていないか、飼い主さんがしっかりと様子を見てあげることです。
「老犬に食欲ないのは普通のこと」と自己判断せずに、まずは愛犬の小さな変化に気づいてあげましょう。
今のうちから高齢犬のご飯について正しい知識を持っておくことが、これからの愛犬との暮らしを、もっと豊かにしてくれるはずです。
食欲低下の原因
筋力の低下による食欲不振

なんだか愛犬がご飯を食べるのをためらっているように見えたり、少し食べただけでやめてしまったり。
食欲はあるはずなのに、どうしてだろう?と感じたことはありませんか。
もしかしたら、それは犬の筋力低下が原因で、食べるという行動そのものが大変になっているサインかもしれません。
私たち人間が思う以上に、わんちゃんは食事のときに全身の筋肉を使っています。特に、首をぐっと下げてご飯を食べる姿勢は、足腰や首に大きな負担がかかります。
シニア期になり足腰が弱ってくると、その姿勢を保つこと自体が重労働になりますし、関節痛などがあると、痛くて辛いと感じている子もいるんです。
また、噛むための顎の筋力もだんだんと衰えてきます。今まで当たり前に食べていた硬いドライフードが、シニア犬にとっては噛み砕くのが大変な食べ物に変わってしまうことも。
お腹は空いているのに、食べるのが疲れてしまったり、痛かったりして、途中で諦めてしまうんですね。
そんなときは、愛犬の食事環境を少し見直してあげましょう!
例えば、食器台を使ってフードボウルの高さ調整をしてあげると、首を大きく下げる必要がなくなり、とても楽な姿勢で食べられるようになります。
フードをお湯でふやかして柔らかくしてあげるだけでも、噛む負担がぐっと減りますよ。ほんの少しの工夫で、愛犬の「食べたい」という気持ちをサポートしてあげられるんです。
消化機能の低下による食欲不振

私たち人間も、年齢を重ねると「脂っこいものが少し苦手になってきたな」と感じることがありますよね。
実はわんちゃんも同じで、シニア期になると胃腸の働きが少しずつゆっくりになってくるんです。
若い頃と同じフードを食べているのに、なんだか食後に元気がなかったり、食べたがらなかったりするのは、もしかしたら上手に消化できていないサインかもしれません。
加齢によって消化するための酵素が減ってくると、食べたものをうまく分解・吸収できず消化不良を起こしやすくなります。
わんちゃん自身も、食後に胃がもたれるような不快感を感じて、「食べるのがちょっとしんどいな」と思っているのかもしれません。
また、腸の動きも鈍くなるので便秘がちになる子も多いです。お腹が張って苦しいと、当然食欲も湧きにくくなりますよね。
そんな時は、愛犬の胃腸をいたわってあげる工夫をしてみましょう!
例えば、消化の負担が少ないケア用フードに切り替えたり、いつものフードをお湯でふやかすだけでも、ぐっと消化に良い食事になります。
一度にたくさん食べるのが難しくなっている可能性もあるので、一日の食事量は変えずに食事回数を2回から3~4回に増やす「少量頻回」を試してみるのもおすすめです。
愛犬の様子を見ながら、その子に合った方法を見つけてあげましょう。
病気の可能性

愛犬の食欲が落ちてくると、「もうシニアだから仕方ないのかな」と思ってしまいがちですよね。
でもその食欲不振、もしかしたら何かの病気が隠れている大切なサインかもしれません。安易に自己判断してしまう前に、愛犬の様子をもう少しだけ注意深く観察してあげましょう!
例えば、口をくちゃくちゃしていたり、強い口臭が気になったりしませんか。それは歯周病などの口のトラブルが原因で、痛みから食べたくても食べられない状況なのかもしれません。
また、ご飯を目の前にしてもぼーっとしていたり、食べたことを忘れて何度も催促するようなことがあれば、犬の認知症の可能性も考えられます。
さらに、食欲がないことに加えて、お水をたくさん飲んでおしっこが増えたり(多飲多尿)、なんだかぐったりしている時間が増えた、嘔吐や下痢を繰り返すといった症状が見られる場合は、腎臓病や心臓病、腫瘍といった内臓の病気が隠れていることもあります。
これらの病気は、わんちゃん自身にだるさや吐き気を引き起こし、食欲を奪ってしまうのです。
いつもと少しでも違うな、なにかおかしいなと感じたら、迷わず動物病院に相談してくださいね。獣医師さんに診てもらうことが、愛犬の健康を守るための最も確実な一歩になりますよ。
食欲不振の予防と対応
食欲を低下させない工夫

愛犬が毎日楽しみにしてくれるはずの食事の時間。そのワクワクした気持ちを、シニアになってもずっと持ち続けてほしいですよね。
実は、ほんの少しの工夫で、愛犬の「食べたい!」という気持ちを引き出してあげることができるんです。
まずは、無理のない範囲でのお散歩や運動です。体を動かすと心地よい疲労感とともにお腹が空き、自然な食欲増進につながります。
気分転換にもなるので、心も体もリフレッシュできますよ!
そして、食事の時間を飼い主さんとの大切なコミュニケーションの時間にしてみましょう。
「美味しいね」と優しく声をかけながらそばで見守ってあげるだけで、わんちゃんは安心してご飯に集中できます。飼い主さんの優しい笑顔が、何よりのごちそうになるんです。
食事の内容に変化をつけるのも、とても良い方法です。いつものフードを少しだけ人肌に温めると、香りが立って食欲をそそります。
香りの良いウェットフードを混ぜてあげたり、茹でたお野菜やお肉などを少量トッピングしてあげるのも喜んでくれるはず!
たまには簡単な手作りごはんに挑戦してみるのも、食の楽しみを広げる素敵なきっかけになります。
ただし、トッピングのあげすぎは栄養バランスが偏る原因にもなるので、あくまで主食の補助として楽しんでくださいね。
愛犬の喜ぶ顔を思い浮かべながら、色々な工夫を試してみてください。
食欲が落ちてきた時の対応

愛犬が急にご飯を食べてくれないと、とても心配になりますよね。でも、慌てなくて大丈夫です。
もし他に変わった様子がなく元気そうであれば、まずはお家でできる犬の食欲ない時の対処法を試してみましょう。
いつものドライフードをぬるま湯でふやかしたふやかしフードにしてみたり、嗜好性の高いウェットフードを少し混ぜてあげたりするだけでも、食欲をそそる香りが立って食べてくれることがあります。
人肌くらいに温めてあげるのも効果的ですよ。時には、飼い主さんの手から直接一粒ずつ与えてみると、安心して口にしてくれる子もいます!
まずはこのような工夫をしながら、少しだけ様子を見るのも一つの手です。
ただし、食欲不振が2日以上続いたり、犬が元気のない様子だったり、嘔吐や下痢など他の症状が見られたりする場合は、迷わず動物病院へ行くべきサインです。
その際は、「いつから食欲がないのか」「最後に何を食べたか」などをメモして持っていくと、診察がスムーズに進みます。
獣医師さんと相談しながら、流動食などを取り入れることも検討しましょう。飼い主さんの冷静な判断が、愛犬の健康を守ることに繋がりますよ。
シニア犬について、理解することが大切な愛犬について理解することにつながるかもしれません↓