愛犬同士が寄り添って眠る姿や、楽しそうに遊ぶ光景。多頭飼いには、1匹飼いでは味わえない幸せの掛け算のような魅力があります。
しかし、その一方で食費や医療費などのコスト、散歩や掃除の手間といった負担が増えるのも現実です。
この記事では、多頭飼いのメリット・デメリットを整理し、お迎え前に必ず確認すべき経済力・時間・空間という3つの余裕について解説します。
さらに、多頭飼いを成功させる鍵となる先住犬ファーストの考え方もご紹介!
愛犬たちと飼い主さんが共に幸せになるために、必要な心構えと準備を確認していきましょう♪
多頭飼いのメリット・デメリット
多頭飼いのメリット

ワンちゃんの多頭飼いの魅力と聞いて、みなさんはどんな光景を思い浮かべますか。なんといっても一番は、あの愛おしいわちゃわちゃ感ではないでしょうか。
2匹が寄り添ってスヤスヤ眠る犬団子のような姿や、楽しそうに追いかけっこをしている様子を見ていると、私たちの心まで温かくなりますよね!
単に1匹増えるという足し算ではなく、そこから生まれる癒やしや幸せは、掛け算のように大きく膨れ上がっていくんです。
もちろん、飼い主さんの幸福度が上がるだけではありません。わんちゃんたち自身の生活の質もぐっと高まります。
大きなメリットは、いつでも一緒にいられる遊び相手ができることでしょう!
私たち人間がどれだけ愛情を注いでも、犬同士でしか通じ合えないコミュニケーションには敵わない部分があります。
じゃれ合いの中で噛む強さを学んだり、ボディランゲージを読み取ったりすることで、自然と社会性が育まれていきます。
また、お仕事などで家を空けることが多いご家庭では、お留守番中の寂しさ解消につながるのも嬉しいポイントです。
相棒がいるという安心感は、わんちゃんの心の安定にも大きく貢献してくれます!
さらに、もし先住犬が少しシニア期に入っていたとしても、若いエネルギーに触れることで良い刺激を受け、運動量が増えたり表情が生き生きしたりと、まるで若返ったような元気な変化を見せてくれることも少なくありません。
多頭飼いのデメリット

メリットの裏側には、もちろん大変な現実も待っています。まず直面するのが、生活にかかるコストと手間の問題です。
毎日のごはん代などの食費やトイレシーツ代はもちろん、ワクチンやフィラリア予防などの医療費といった費用も単純に2倍、あるいはそれ以上かかります。
もし2匹同時に大きな病気にかかったり、将来的に2匹とも介護が必要になったりした時、経済的にも体力的にも全てを支えきれるでしょうか。
日々の生活面での負担も侮れません。雨の日も風の日も続く散歩の大変さは想像以上ですし、部屋の掃除・抜け毛の処理も2倍になります。
毎日掃除機をかけても追いつかない、なんてことも珍しくありません。そして何より心配なのが、先住犬との相性の不一致です。
どうしても気が合わない場合、毎日のように喧嘩が起きたり、ストレスで先住犬が体調を崩してしまったりするリスクがあります。
さらに、しつけの苦労も増える可能性があります。1匹が吠え出すと、つられてもう1匹も吠えてしまう共鳴が起きたり、トイレの失敗を真似したりと、問題行動が連鎖してしまうことがあるんです。
可愛いという気持ちだけで安易に迎えるのではなく、最期まで責任を持てるか、厳しいシミュレーションが必要です。
お迎え前に必ず確認すべき「3つの余裕」

多頭飼いをスタートさせる前に、ぜひ一度立ち止まって、ご自身と現在の生活環境に「3つの余裕」があるかどうかを冷静に見つめ直してみてください。
これは、わんちゃんたちの幸せを守るための必須条件と言っても過言ではありません。まず直視していただきたいのが、現実的な経済力、つまりお金の問題です。
日々の食費や消耗品費はもちろんのこと、2匹分の生涯費用を計算したことはありますか。
もし高齢になって介護が重なったり、同時に高額な手術が必要になったりしても、変わらぬ医療を受けさせてあげられるだけの十分な貯蓄と収入の確保が欠かせません。
次に考えてほしいのが、飼い主さんの時間と体力です。すべてのわんちゃんが仲良く散歩できるとは限りません。
もし別々に散歩へ行かなければならなくなった時、その時間を毎日確保できるでしょうか。
それぞれの個性に向き合ってしつけを行い、ケアをする余裕が今の生活にあるか問いかけてみてください。
そして3つ目が居住スペースなどの広さに関する余裕です。ケージやトイレを2つずつ設置しても生活動線が確保できるか、体調不良や喧嘩の際に隔離できる部屋があるかどうかも重要です。
さらに、万が一の災害時の避難についてもシミュレーションが必要です。キャリーを2つ抱えて、安全に避難所まで移動することができるでしょうか。
もし、これらの項目のうち一つでも不安が残るようであれば、今はまだその時ではないのかもしれません。
今の生活でいっぱいいっぱいなら、あえて多頭飼いを見送る勇気を持つことも、愛犬に対する誠実で深い愛情の形だという考え方もあるかもしれません。
先住犬との関係性

もし新たにもう1匹をお迎えして多頭飼いになる場合、その多頭飼いがうまくいくかどうか、その最大の鍵を握っているのは、実は新しいわんちゃんではなく、今までお家にいた先住犬になるかもしれません。
新しく家族に迎えた子が小さくて可愛いと、どうしてもお世話につきっきりになってしまったり、視線が向いてしまったりしがちですよね。
でも、飼い主さんの愛情が自分以外に向いていることを敏感に察知すると、先住犬は強い嫉妬を感じて大きなストレスを抱えてしまいます。
だからこそ、新しい生活が始まってもしばらくの間は、徹底した先住犬ファーストを貫いてあげてください。
ご飯をあげる順番も、帰宅時のただいまの挨拶も、抱っこをするのも、すべて先住犬が一番最初です。
「あなたが一番大切だよ」と態度で示し続けることで、先住犬のメンタルが安定し、新しい仲間を受け入れる心の余裕が生まれてくるはずです。
もちろん、わんちゃん同士の相性も重要です!
一般的に、避妊・去勢済みであればオスとメスの異性同士はトラブルが少ない傾向にありますが、静かに過ごしたいシニア犬に元気いっぱいのパピーを合わせると、体力差についていけず負担になってしまうこともあります。
性格の相性を見極めるために、保護犬などのトライアル期間を利用してみるのも一つの手でしょう。