愛犬との海外旅行、日本とは異なる「客室同伴」の可能性や世界の航空事情について気になりませんか?
本記事では、欧米とアジア圏でのペット搭乗ルールの違いから、機内同伴と貨物室預かりの具体的な特徴、そして渡航に不可欠な検疫・申請手続きまでを徹底解説します。
さらに、機内でのストレス対策や水分補給、現地での獣医情報確保など、愛犬の安全を守るための実践的なノウハウも凝縮!
夢の空の旅を安全に実現するために必要な、長期的な準備と心構えがわかる内容となっています。
犬の搭乗に関する世界の多様性

日本でワンちゃんと飛行機に乗るというと、どうしても貨物室でのお預かりが一般的ですよね。
でも、一歩海外に目を向けてみると、その常識が良い意味で裏切られることがあるんです。実は、世界には私たちの想像以上にペットフレンドリーな航空会社がたくさん存在しています。
特に大きな違いを感じるのは、愛犬と一緒に座席で過ごせる客室同伴(PIC)のルールでしょう。
たとえばフランスやドイツといったヨーロッパ諸国、そしてアメリカなどの北米エリアでは、欧米基準として一定の条件さえクリアすれば、機内への持ち込みが許容されているケースが珍しくありません。
キャリーバッグに入った愛犬と足元で一緒に空の旅を楽しめるなんて、日本の感覚からすると夢のようですよね。
ルフトハンザ航空やエールフランスなどがその代表例で、ワンちゃんを家族の一員として迎える文化が根付いていることを肌で感じられます。
一方で、私たちが住むアジア圏に視点を戻すと、やはり日本と同様に厳しいアジア圏規定が設けられていることがほとんどです。
安全面や衛生面への配慮から、原則として貨物室での輸送がメインとなり、客室に一緒に入れる航空会社はまだまだ少数派なのが現状です。
このように、国や航空会社によってワンちゃんの扱いには大きな世界的傾向の差があるので、愛犬との海外旅行を計画する際は、行き先の文化や航空会社のルールを事前にしっかりとリサーチすることが大切です。
海外航空会社における3つの搭乗形態
機内同伴(PIC:Pet in Cabin)

海外への空の旅で、多くの飼い主さんが憧れるのがこのPICと呼ばれる機内同伴スタイルかもしれません。
いつも一緒の空間にいられる安心感は何にも代えがたいものですが、実は利用するにはかなり厳しい条件をクリアしなければなりません。
まず対象となるのは、基本的に小型犬に限られます。航空会社によって多少の違いはありますが、一般的にはケージを含めた総重量が8kgから10kg程度までという制限が設けられていることが多いんです。
さらに重要なのがケージの大きさです。離着陸時や飛行中は、前の座席の下にある座席下スペースにケージ全体を完全に収納する必要があります。
そのため、高さのあるハードケースよりも、多少形状に融通が利く認定済みのソフトケージを指定されることも少なくありません。
もちろん、フライト中はどれだけ愛犬が寂しがっても、ケージから外に出して抱っこすることは厳禁です。
あくまで手荷物としての扱いになるため、搭乗券とは別に追加料金がかかることも覚えておきましょう。
そして最も気をつけたいのが、予約のタイミングです。機内に同伴できるペットの数には、1便あたり数頭という非常に厳しい予約枠の制限があります。
人間の座席は空いていても、ワンちゃんの枠が満席というケースは珍しくありません。
旅行が決まったら、まずは航空会社に電話をしてペットのスペースを確保してから、飼い主さんの航空券を手配するくらいの慎重さが必要です。
愛犬との快適な空の旅を実現するためにも、早めの行動と入念なサイズ確認を心がけてくださいね。
貨物室(Cargo/Hold)

機内に連れて行けない中型犬や大型犬のワンちゃん、あるいは航空会社の規定で客室同伴が選べない場合は、貨物室でのお預かりとなります。
大切な愛犬を離れた場所に預けるのはとても勇気がいりますし、貨物室と聞くと暗くて寒い場所をイメージして不安になってしまいますよね。
一般的に、ワンちゃんが過ごすスペースは、私たちがいる客室が管理されてるのと同じように、温度や気圧がコントロールされた与圧室が使用されていると言われています。
極度に寒くなることは少ない環境ですが、やはり飼い主さんの姿が見えない不安に加え、飛行中の大きなエンジン音や揺れは避けられません。
特に海外へのフライトは時間が長くなる分、長距離輸送リスクによる身体的・精神的な負担はどうしても大きくなってしまうので、体力に自信のない子やシニア犬の場合は獣医師さんとよく相談することが大切です。
国際線に必須な事前準備と手続き
出入国・検疫の準備

愛犬と一緒に海外へ行こうと思い立った時、パスポートの代わりに立ちはだかる最大の壁が検疫の手続きです。
正直にお伝えすると、ワンちゃんとの海外旅行は検疫に始まり検疫に終わると言っても過言ではないくらい、ここが一番の頑張りどころなんです。
まず基本中の基本として、世界共通の身分証明書とも言えるマイクロチップ装着が絶対に欠かせません。
全ての手続きはこのチップによる個体識別と紐付いているからです。そして、準備期間を長く必要とする最大の理由が狂犬病対策です。
多くの国では、単に予防接種を受けるだけでなく、狂犬病抗体価検査という血液検査を行って、体の中に十分な抗体ができていることを証明しなければなりません。
さらに厄介なのが、検査結果が出てから実際に出入国できるようになるまでに、半年間ほどの待機期間を設けている国が多いという点です。
つまり、旅行に行きたい日の数ヶ月前、場合によっては1年以上前から逆算して準備を始めないと間に合わないケースがあるということです。
これらに加えて、出国する国と入国する国、双方の条件を完璧に満たした健康証明書を用意する必要もあります。
もし書類にひとつでも不備があると、最悪の場合、空港での長期間の係留や強制送還といった悲しい事態になりかねません。
輸入検疫のルールは国ごとに異なり、また頻繁に変更されるため、必ず農林水産省の動物検疫所や各大使館が発信している最新情報を確認しながら、余裕を持ったスケジュールを組んでくださいね。
航空会社への申請

人間の航空券が無事に予約できたからといって、決して安心してはいけません。ワンちゃんの席、つまり輸送枠確保は、まさに時間との勝負なんです。
多くの航空会社では、1便あたりに乗せられるペットの数に厳しい上限があるため、飼い主さんの予約が確定したら、その直後に航空会社の予約センターへ電話を入れて申請を行うのが鉄則です。
後回しにしていると、あっという間に枠が埋まってしまい、最悪の場合は愛犬だけ別の便になってしまうなんていう悲しい事態も起きかねません。
電話をする前には、スムーズに手続きが進むよう、手元に伝えなければならない情報をまとめたメモを必ず用意しておきましょう。
犬種はもちろんのこと、体重やケージを含めた総重量、そして一番大切なのがケージの正確な寸法計測です。
縦・横・高さをcm単位で測っておくのは当然ですが、海外の航空会社の場合は英語での対応になることも多いので、慌てないように数値を整理しておくことが大切です。
また、パグやフレンチブルドッグなどの短頭種は、呼吸器系のトラブルが起きやすいため品種制限で搭乗自体を断られるケースもあるので、この段階での確認は欠かせません。
機内での注意点と犬への影響対策
機内同伴の場合

愛犬と一緒に客室に入れる機内同伴は、飼い主さんにとって一番安心できる方法ですが、同時に周囲への気配りが求められる緊張のひとときでもあります。
狭い機内では、何よりも他の乗客への配慮を最優先に考えなければなりません。まず搭乗する直前に、空港内のペットエリアなどで必ず済ませておきたいのが最終排泄です。
一度機内に入ってしまうと、到着するまで一切ケージから出すことはできませんし、トイレシートを交換するスペースもありません。
万が一の粗相やマーキングが心配な男の子の場合は、あらかじめマナーベルトを装着しておくと、飼い主さんの心の余裕にもつながるのでおすすめです。
座席に着いてからも、ワンちゃんが不安で鳴いてしまわないよう、しっかりとした吠え対策が必要です。
普段はおとなしい子でも、見知らぬ人や独特の雰囲気におびえてしまうことがあります。
そんな時は、ケージの上から薄手の目隠しカバーやブランケットをかけて、視界を遮ってあげると落ち着いて眠ってくれることがありますね。
また、長時間じっとしているのはワンちゃんにとっても退屈でストレスが溜まるものです。
お気に入りのタオルなど飼い主さんの匂いがついた布を入れたり、ガリガリと夢中で遊べる丈夫な噛むおもちゃを用意したりして、少しでもリラックスできる環境を作ってあげましょう。
貨物室の場合

貨物室に愛犬を預ける場合、一度カウンターで預けた後は、到着地で再会するまで飼い主さんは何ひとつ手出しをしてあげることができません。
だからこそ、出発前の準備の完璧さが、ワンちゃんの安全と快適さを守る全てになると肝に銘じておきましょう!
特に海外への長時間フライトで一番心配なのが、脱水症状のリスクです。
揺れる機内では普通のお皿だと水がこぼれて空っぽになってしまうため、ケージの網目にしっかりと取り付けられるノズル式の給水ボトルを用意してください。
万が一の水漏れや故障に備えて、予備を含めて2個設置しておくとより安心ですね。
フライト中に喉が渇いた時にいつでもお水が飲める環境を作ってあげることが、命を守ることにも繋がります。
また、当然ながらフライト中はトイレシーツを交換することもできません。
万が一排泄をしてしまっても体が汚れにくいように、ケージの底には厚手でたっぷりと吸収してくれる高機能な吸水性シーツを敷き詰めておきましょう。
そして最後に、空港スタッフの方々に「ここに大切な命がある」と気づいてもらう工夫も欠かせません。
ケージの目立つ場所に大きく「Live Animal」と書かれたステッカーを貼り、丁寧に扱ってもらえるようアピールしましょう!
さらに、輸送中の衝撃で扉が万が一にも開いてしまわないよう、四隅を結束バンドで頑丈に留めてケージ固定を徹底することで、脱走事故などのトラブルを未然に防ぐことができますよ。
海外での獣医情報準備

海外旅行という非日常の環境は、私たち人間だけでなくワンちゃんにとっても大きなストレスがかかります。
フライトの疲れや気候の変化、慣れない食べ物などが原因で、現地に着いてから急に体調を崩してしまうことも決して珍しくありません。
そんな緊急事態にパニックにならず、冷静に対処するために一番大切なのは、事前の情報収集です。
出発前に必ず、渡航先の滞在エリア近くにある現地動物病院をリサーチしておきましょう!
特に、旅先で夜中でも診察してくれる救急対応の病院や、24時間対応の緊急連絡先を控えておくと、いざという時に心の支えになります。
また、言葉の壁がある海外では、愛犬の症状や体質を正確に伝えるのも一苦労です。
日本にいる間に、かかりつけの先生にお願いして、これまでの病歴や持病、さらに薬への反応やアレルギー情報をまとめた簡単な英語の紹介状を作ってもらうことを強くおすすめします。
この獣医情報のメモが1枚あるだけで、現地の先生への伝達スピードが格段に上がり、適切な処置を素早く受けられるようになります。
そして忘れてはいけないのがお金の準備です。日本とは医療制度が異なる海外では、ちょっとした診察でも驚くほど医療費が高額になるケースが多々あります。
安心して治療を受けさせてあげるためにも、今加入しているペット保険が海外診療に対応しているかを確認したり、新たに海外ペット保険への加入を検討したりするなど、金銭面での備えもしっかり整えておいてくださいね。
備えあれば憂いなしの精神で、愛犬との楽しい思い出を守りましょう!
日本の航空会社における、ペットの取り扱いについてはこちらの記事からご確認ください↓