炎症性腸疾患(IBD)は、犬の慢性の下痢、嘔吐の最も一般的な原因と言われています。
また長期の治療が必要であったり、症状がつらいものが多かったりと難しい病気でもあります。
今回の記事では、犬の炎症性腸疾患(IBD)とは、症状、検査、治療方法、手作りご飯について、おすすめの食材やフードの紹介をしていますのでぜひご覧ください。
犬の炎症性腸疾患(IBD)には手作りご飯がおすすめな理由
食欲がなくなりがち
症状のところにも書きましたが、炎症性腸疾患(IBD)の場合、食欲がなくなる子が多いです。
そのため、しっかり栄養を取ってもらうにはまずそのご飯が食べてもらえるかが重要です。
いつものご飯を食べなくなった場合は少し食いつきの良いゆでたお肉や野菜をトッピングしてあげると良いでしょう。
消化の良い低脂肪のご飯がおすすめ
腸で炎症が起きているため、体に優しい消化が良く、脂肪が少ないご飯がおすすめです。
いつものご飯がカリカリの場合は、お湯やお肉の茹で汁(味付けはなし)でふやかしてあげたり、手作りのしっかりと火を通した具材をあげたりしてみましょう。
薬との兼ね合いもあるため、薬を処方してもらっている獣医師に相談してからご飯は変更しましょう。
アレルギー反応の可能性
炎症性腸疾患の確定診断は、食事反応性腸症と抗菌薬反応性腸症という2つの症状が同じ病気を否定してからなのですが、これらを2つとも正しい方法で否定するには最低でも1ヶ月以上かかります。
ご飯が合わない場合は、今のご飯から変更するとそれだけで症状が改善する可能性があります。
1度手作りご飯を試してみることをおすすめします。
炎症性腸疾患の犬におすすめの食材
りんご
りんごは品種にもよりますが、おおよそ8割が水分で、脂質は全体の1%にも満たず消化性が高いです。
そのため、炎症性腸症やリンパ管拡張症と診断され、脂質を控える必要があり、消化性が重要な子にぴったりのおやつです。
また、りんごの味や食感を好む子も多く、食欲が落ちている時にご飯にトッピングするのもおすすめです。
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ブロッコリー
ブロッコリーは脂質が低く、しっかりと茹でれば消化にも良い野菜です。
ビタミンも豊富に含まれており、ご飯のトッピングやおやつにはピッタリな食材です。
茎の部分もしっかりと火を通せば問題ないですが、喉に詰まらないように、また、消化が少しでも良くなるように刻んであげるようにしましょう。
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キャベツ
キャベツは抗酸化作用のあるビタミンCが豊富に含まれており、食物繊維も豊富に含まれています。
また、脂質が少ない上に好んで食べてくれる子が多いです。
より消化をよくするためにも、火をしっかりと通してあげると良いでしょう。
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犬の炎症性腸疾患(IBD)とは?
小腸または大腸の粘膜が炎症を起こし慢性的な腸障害を特徴とする病気で、犬の慢性の下痢、嘔吐の最も一般的な原因です。
免疫が関係しているとも言われていますが、原因や発生機序がよく分かっていない病気でもあります。
炎症がひどくなると、リンパ管拡張症という二次的な病気を引き起こす可能性があります。
犬の炎症性腸疾患(IBD)の症状
軟便、下痢、腹痛
腸粘膜で炎症が起きているため、吸収不良、腸の運動性障害が起こり、便が柔らかくなります。
水様性下痢と呼ばれる水のような下痢の場合は、炎症性腸疾患(IBD)が重度である可能性があります。
嘔吐
嘔吐を示す病気はたくさんありますが、炎症性腸症(IBD)もその1つです。
犬のIBDの重症度を分類する指標では、週1回以上吐く場合、嘔吐ありと分類されます。
しかし吐きやすい体質で、元気も食欲もあるけれど週1回以上吐いてしまうという子もいると思います。
判断が難しいと思いますので、元気、食欲、便の様子、体重の変化など併せてかかりつけの獣医師に相談してみましょう。
体重減少
栄養の吸収不良によって、食べていても十分にエネルギーを吸収できていなかったり、そもそも食欲が落ちてしまったりして体重が減少することがあります。
体重減少が重度であると、治療を開始しても予後が良くないこともあるため、ダイエットをしていないのに体重が減り始めた場合はすぐに病院へ連れて行きましょう。
食欲不振
腹痛、嘔吐から関連して食欲がなくなります。
食欲不振も重度の場合、体重減少と同じように予後不良因子と言われていますのですぐに治療を開始しましょう。
いつものご飯にこだわらず、その子が食べたがる食事を獣医師と相談しながら与えて栄養摂取を優先させる方が良いという症例や、強制給餌を指示される症例もいます。
犬の炎症性腸疾患(IBD)の検査
内視鏡検査
炎症性腸疾患の診断は、除外診断という同じような症状を示す他の疾患を否定していく診断方法で行います。
主に原因が何かしらの感染や食物であることを否定し、この内視鏡検査にて確定診断がされます。
麻酔下で行う検査であるため、体への負担がかかり、また費用もかかるため、獣医師と家族でよく話し合って実施することをおすすめします。
糞便検査
同じような症状で、細菌や寄生虫の感染の可能性もあるため、糞便検査は必須です。
出てからすぐの便を動物病院へ持ち込むか、動物病院で検便してもらい、便検査を行なってもらいましょう。
血液検査・超音波検査
炎症性腸疾患の診断とは少しずれてしまいますが、炎症性腸疾患だった場合、重度の炎症によって、二次的に腸リンパ管拡張症という病気が併せて存在している可能性があります。
病態が進行していた場合、血液検査によって低蛋白血症という結果が出たり、超音波検査で腸にキラキラとした像が映ったりする場合があります。
下痢や嘔吐、食欲不振といった症状が出ている場合は、他の疾患も考えられますので、血液検査はぜひ、もし低蛋白血症がみられた場合は超音波検査も実施することをおすすめします。
犬の炎症性腸疾患(IBD)の治療方法
腸の消化吸収に対する補助
炎症が起きることによって、栄養を吸収したり免疫機構を働かせたりする腸の機能は落ちてしまいます。
そのため、炎症を治す目的ではなく腸の機能を補助する目的で、腸内の環境を整える作用のある栄養素(プロバイオティクス)を使用したり、低脂肪の食事を推奨したりする場合があります。
特に食事は消化器症状が出ている子にはとても重要です。
体重減少が著しく食欲が無い子は強制給餌が必要な場合もあります。
ステロイド剤などの免疫抑制剤
ステロイドは、炎症性腸疾患の原因ではないかと言われている免疫反応を抑制する免疫抑制作用と、抗炎症作用を持っているため、よく使われる内服薬です。
最初しっかりと症状を抑えた後に、様子を見ながら徐々に減らしていくことが多いですが完全に薬を止めることは症状が出てしまうため難しいです。
ステロイドは副作用もありますが、用量正しく上手く利用すれば、しっかりと症状を抑えることができる薬です。
犬の炎症性腸疾患(IBD)の予防方法
炎症性腸疾患は原因がはっきりしていないため、残念ながら予防する方法はありません。
長期間の治療が必要な病気ではありますが、症状さえコントロールできればうまく付き合っていけると言えます。
何かおかしいなと思ったらすぐに動物病院へ連れて行き、早期発見、早期治療をできるように心がけましょう。
犬の炎症性腸疾患(IBD)は手作りご飯で愛犬をケアしよう!
炎症性腸疾患(IBD)は、犬にとっても飼い主にとってもつらい症状が出る病気です。
薬による治療がメインではありますが、手作りご飯をはじめとしたお家でできるケアも重要です。
ぜひこの記事を参考にしてみてください。