チーズは人にとって美味しく、栄養満点な食べ物として人気の食材です。
また、ご飯やおやつにチーズを食べてきた犬の中には、チーズが大好きになっている犬もいるでしょう。
しかし、いくら味が犬にとって美味しく、人間に対して栄養価が優れていても、犬に食べさせていいのかどうかを知っている方は少ないのではないでしょうか。
この記事では、チーズを食べることが犬にどのように作用するのか、また与えるならどんな点を注意するべきなのかを解説していきます。
愛犬はチーズを食べられる?
結論から言うと、犬もチーズを食べることが出来ます。
ただし、人間用のもので、選んだものによっては犬が食べられない素材が風味づけに使用されていたり、量によってはカロリーオーバーになり肥満につながるなどの危険もある食品です。
犬に与えても大丈夫な種類のものを選択し、正しい量で与えることが大切です。
チーズの栄養素と愛犬への影響
チーズは風味豊かで飼い主さんでも好きな方は多いでしょう。
実は健康で良質な体を作るのに必要な成分も多く含んでいます。
では、どのような栄養素が含まれているのでしょうか。
たんぱく質
筋肉や被毛などの体を構成するものがたんぱく質です。
摂りすぎはカロリーオーバーになりますが、健康な体を作るために欠かせません。
総合栄養食となるドッグフードには1日で摂取すべき蛋白質が含まれていますが、より筋肉質な体形にしたり、大型の犬などは蛋白質を追加した方が良い場合もあります。
一方で、腎臓に疾患のある場合などは、治療の一環としてたんぱく質が制限される場合もあります。
摂取をする前にどの程度とっても良いのか、制限する必要があるのかきちんとかかりつけの先生に確認しましょう。
脂質・コレステロール
脂質は肥満の原因にもなり、摂取しすぎると消化器にも負担をかけるものでもあります。
しかし脂質もたんぱく質や糖質と同様にエネルギー源となるため、必要最低限は摂取する必要があります。
不足すると被毛のパサつきなど、体の構造や機能の異常が見られる場合がありますが、基本的には一般的な総合栄養食のドッグフードには、1日に接種すべき脂質が含まれています。
また、脂質は消化機能に問題がある場合に治療の一環として制限される場合があります。
低脂質のごはんを食べている場合や、軟便になりやすいなどの消化機能に問題がある場合は脂質のさらなる摂取はおすすめできません。
ビタミン
チーズにはビタミンA、B、Eなどが豊富に含まれていると言われています。
ビタミンAは視力をより健康に保つために機能し、ビタミンBは酵素をサポートし、皮膚や粘膜をより健康に保つために機能すること、ビタミンEは抗酸化作用と呼ばれる細胞をダメージから守る働きをすることが期待されています。
これらのビタミンは必要最低限はドッグフードにも含まれますが、より摂取することで欠乏を防ぎ、より健康な体作りが期待できるでしょう。
カルシウム
必須ミネラルとされていて、骨を健康に成長させ、維持するためには欠かせません。
カルシウムとリンをバランスよく摂取することで、より健康な骨格作りが期待できます。
欠乏によって骨格異常にもなり得るので、1日で摂取すべき量は最低限摂る必要があります。
健康な骨格作りには欠かせませんが、摂取しすぎることで、尿路結石と呼ばれる膀胱や尿道に形成される結石の原料となるため、結石の生成を誘発してしまう危険性もあります。
結石に関しては体質もあるので、今までの持病歴や現在の健康状態でカルシウムをとっても問題ないか、心配な場合はかかりつけの先生に相談するようにしましょう。
ナトリウム
カルシウム同様、必須ミネラルと呼ばれ、心臓を動かしたり、体内の水分調節のために欠かせません。
犬は人間と異なり、尿中にナトリウム排泄をしやすいため、ナトリウムの摂取による高血圧は起こりにくいと言われています。
ただし、すでに心臓や腎臓に疾患があったり、機能が低下している場合、ナトリウムの過剰摂取は、さらに心臓や腎臓に負荷をかけてしまう危険性があるため、摂取量には気を付けなければなりません。
愛犬が人間用のチーズを食べる際の注意点
犬が人間様のチーズを食べる場合、飼い主さんと同じように食べていては健康に害を及ぼす危険性もあります。
人間でも、好きだからと言って毎日たくさんの量を食べているとカロリーオーバーや塩分過多になり肥満や生活習慣病につながるかもしれません。
では犬はどのような注意をして食べる必要があるでしょうか。
塩分の摂りすぎ
塩分で問題になるのがナトリウムです。
ナトリウムは心臓のポンプに取り込まれ、動かすための働きをしたり、体内の水分を調整したりするために必要な役割をします。
このナトリウムの過剰摂取により、心臓や水分を調整する腎臓に負担がかかってしまう危険性もあります。
心臓や腎臓に持病を持っているわんちゃんはもちろん、高齢で機能が低下している、数値に問題があるなどのわんちゃんは気を付ける必要があります。
与える前にかかりつけの先生に相談することをお勧めします。
脂質の摂りすぎ
チーズには脂質が多く含まれます。
脂質は消化器に大きく負担を与える危険性があります。
膵臓に疾患を持つ子や、消化器の問題で低脂肪食を指示されている子はチーズを与えることはおすすめできません。
また健康な子でもチーズの脂質が消化器を刺激して軟便になるなどの変化が出る場合があります。
その場合はすぐに与えることを中止して、程度がひどくなったり継続するような場合は受診をしてください。
カロリーの摂りすぎ
チーズは栄養価も高いですが、含まれているカロリーも多いです。
おいしいからと言ってチーズばかり食べているとカロリーの摂り過ぎになってしまい、肥満につながる可能性があります。
与えすぎずに適量で抑えるようにしましょう。
乳糖
犬は乳糖不耐性と呼ばれる、牛乳に多く含まれる乳糖という成分を上手く代謝できず、消化器症状を起こす場合があります。
チーズは牛乳の加工品であるため、個体差がありますが消化器症状などを呈する犬もいます。
少量を与えて、変化が見られる場合は速やかに与えることを中止しましょう。
アレルギー
チーズは牛乳などの乳を原料とした乳製品です。
牛乳や牛などにアレルギー反応を示す犬は、アレルギー反応として下痢や嘔吐などのアレルギーからくる消化器症状や与え続けることで皮膚炎などを起こす危険性があります。
アレルギーの有無を確認すること、アレルギーがあることがすでにわかっている場合に原材料を確認すること、与えた後に疑わしい症状が出た場合はすぐに受診をすることなどの注意が必要です。
愛犬に与えて良いチーズの量
超小型犬 | 約2~5g程度 |
小型犬 | 約5~7g程度 |
中型犬 | 約7~12g程度 |
大型犬 | 約17~30g程度 |
※低脂肪のカッテージチーズの場合です。
塩分を含むチーズや、脂肪分を多く含むチーズの場合さらに少量になります。
与えすぎると害になってしまう危険性のあるチーズですが、適量がどの程度なのか知っておくことが大切です。
肥満の予防や栄養が偏らないためにも適量である必要があります。
ただし、体質によってはこの表のとおりに与えても、消化器に負担がかかってしまうなどの問題が生じてしまう危険性もあります。
食欲や排便の状態を見ながら量を調節してあげてくださいね。
愛犬のチーズを使ったレシピ
愛犬の健康に有意義なチーズですが、どのような調理方法であれば犬でも問題なく食べられるのか知りたい飼い主さんもいるでしょう。
人間と同じように味付けをすることは出来ませんが、犬用のレシピを飼い主さんも食べることで、一緒のレシピを食べることが出来ます。
カッテージチーズ
自分でドッグフードを作る場合は、カッテージチーズのレシピがおすすめです。
カッテージチーズはタンパク質や脂肪、ミネラルなど犬の成長に必要な栄養素がたくさん含まれています。
作り方もとても簡単です。まず牛乳をレンジで温め、そこにお湯を入れます。
牛乳200ccに対して、お酢は20cc程度です。
牛乳とお酢を混ぜたら5分程度放置すると分離してくるので、その後にカーゼでこして水分をよく絞ります。
残った固形のものが、カッテージチーズです。
絞った水分はホエーと言われる体によいものなので、捨てずに犬に飲ませるのもよいでしょう。
チーズクッキー
犬のおやつとしてぴったりなのが、チーズクッキーです。
小麦粉50gとパルメザンチーズ小さじ1杯程度、オリーブオイル小さじ1と水小さじ2を用意します。
すべての材料をボウルに入れて、パンを作るときのようによくこねてください。
パサパサしてなかなかまとまらない時は、水やオリーブオイルを少しずつ足して調整しましょう。
生地ができたら5mm程度の厚さに伸ばし、180度に熱したオーブンで15分程度焼いて完成です。
生地を伸ばした後、型を使って様々な形に切り抜けば見た目も可愛く仕上がります。
愛犬におすすめの犬用チーズ
チーズを与えても良いことがわかりましたが、どのチーズを与えようか迷ってしまう飼い主さんも多いでしょう。
犬用と表記されているものであれば安心できます。
いくつかおすすめの犬用チーズを挙げさせていただきます。
アドメイト 犬用おやつ 牛乳3本分のカルシウムが入ったチーズトリーツ チーズ 50グラム (x 1)
犬用に作られているので安心して食べさせることのできるチーズです。 おやつやしつけのご褒美にいかがでしょうか。
1日に与える目安が記載されているのも、わかりやすくて飼い主さんは安心できるでしょう。
アドメイト 犬用おやつ 牛乳3本分のカルシウムが入ったチーズトリーツ チーズ 50グラム (x 1)
GoDoggy ヒマヤラ産ヤクチーズふりかけ 50g 自然食品 犬 おやつ
乳糖フリーのため、乳糖不耐性による消化器症状が心配な子でも安心して食べられます。
フレーク状なのでごはんにふりかけることもできておすすめです。
食欲増進の目的でチーズの風味づけに使っても良いかもしれません。
GoDoggy ヒマヤラ産ヤクチーズふりかけ 50g 自然食品 犬 おやつ
JINJIN 小袋おやつ チーズスティック 国産 50g 犬 おやつ 無添加
スティックタイプのおやつです。
国産で無添加であるため、素材などにこだわる飼い主さんにもおすすめです。
飼い主さんが愛犬のために作ってあげるように手作りでこだわって作られたおやつになります。
一袋当たり少量なのも、少量ずつ与えて、残りの部分が酸化してしまったり劣化する可能性も低いので安心です。
JINJIN 小袋おやつ チーズスティック 国産 50g 犬 おやつ 無添加
愛犬がチーズを食べて症状が出た時の自宅での対処方法
チーズを与えたことにより、消化器症状やアレルギー反応などが生じる可能性もあります。
健康であっても変化がある可能性があるので、どんな子でも飼い主さんは自宅での対処方法を知っておく必要があります。
いつどの程度食べたか記録する
アレルギーや消化器症状の場合、チーズを食べたことと結びつくのかどうか、判断する指標ともなり得ます。
受診時に伝えられるよう、いつ、どの程度食べたのか記録しておきましょう。
記録をするのは面倒に感じるかもしれませんが、ご家族がいる場合、記録があった方が情報が共有しやすくなります。
食べた後の変化に気を付けて観察する
与えた後、普段と違うことはないかを観察することは大切です。
特に初めて食べた場合、体質で個体差はあると思いますが、便が緩くなったり体調の変化がある可能性が高いです。
どのような変化が現れるかもわからないため、少量ずつ与えることがおすすめですが、少量でも変化が起こる可能性はあり、与えた後の変化も、万が一受診することになった際には有意義な情報です。
しっかり観察してあげましょう。
病院へ連れて行く
変化が起こっていることがわかったら、病院へ連れて行きましょう。
体に起こる異変に、犬には負担がかかっている可能性が高いです。
特に若齢な個体や高齢の個体は様子を見ることで体力を消耗してしまう可能性も高い為、できるだけはやめの受診を心がけましょう。
愛犬がチーズを食べて症状が出た時の病院の対処方法
症状が出た場合、病院へ連れて行くことがおすすめというお話をさせていただきました。
飼い主さんはそんなとき、不安でいっぱいになってしまうでしょう。
どのようなことを院内で行なう可能性があるのか知っておくと、少しでも冷静でいられるかもしれません。
血液検査
症状としてアレルギー反応や下痢などの消化器症状の可能性があります。
まずは他の疾患との判別をするために、血液検査を行う可能性が高いです。
チーズを食べたタイミングと同じタイミングで、他の疾患の症状が出た可能性もあります。
まずは全身状態と原因究明を行うことが一般的です。
チーズを食べたということも原因究明のためのヒントの一つになるため、何時頃どのくらいの量を食べたのか、可能であればどのチーズを食べたのかというパッケージも一緒に持って受診できると安心でしょう。
処置
原因に応じて処置をおこないます。
下痢がひどい場合であれば、下痢を止めるための処置を、嘔吐がひどい場合であれば吐き気止めの処置などを行います。
可能性は低いですが、アレルギー反応でアナフィラキシーショックなどを起こしている場合、アレルギー反応を緩和させる処置やショック症状を緩和させる治療が必要になる可能性もあります。
検査の結果次第で行なうべき処置が決まるでしょう。
入院
チーズの脂肪分に刺激されて膵臓に障害が生じてしまったり、下痢嘔吐の程度がひどくなるなどの症状の程度によっては入院が必要になる可能性もあります。
入院によって食事管理なども可能になることや、静脈内にカテーテルを入れて持続的に点滴を行なう必要性がある場合、入院を選択する場合があるでしょう。
治療の方向性に関しても検査の結果次第になる可能性が高いと思います。
変化が見られた場合はきちんと検査もしてもらえると安心と思います。
与える量やアレルギーに注意すればチーズは栄養豊富なご飯になる!
チーズはカロリーや脂質が高めということで、与える量には気をつけなければなりません。
チーズに限ったことではありませんが、どのような食材でも与え過ぎはよくありません。
また、チーズは乳製品ということでアレルギーにも注意してください。
与え方にさえ注意すれば、チーズは犬の健康のために最適な食べ物です。
カルシウムやタンパク質など、必要な栄養素を豊富に含んでいるので、おやつとして与えるのも悪くありません。
チーズのメリットを活かすためにも、適量を与えるようにしてください。