犬の飼い主の多くが、無駄吠えの悩みをかかえています。
叱ってもなだめても無駄吠えがとまらず、かといって放置することもできないので困ってしまいます。
しかし飼い主にとっては問題行動だとしても、犬にとっては飼い主に気持ちを伝えるための唯一の方法です。
どうすれば吠えさせることなく、犬と上手にコミュニケーションがとれるのでしょうか。
犬と仲よく暮らすために、犬が吠える原因と対処法、犬が吠えるときにやってはいけないことなどをご紹介します。
犬が吠える理由
犬が吠える理由には、主に以下の4つが考えられます。
恐怖心や警戒心
もともと犬は警戒心や縄張り意識の強い動物です。
そのため知らない人を見ると、警戒して吠えてしまいます。
自分の縄張りに入ってきたものに対しても、本能的に吠えます。
また動物にとってじっと見つめられることは、敵意を向けられていると感じる行動でもあります。
かわいいから近づいたとしても、犬は不安になってしまうかもしれません。
以前はこの習性を利用して番犬として犬を飼っている家もありましたが、現在はペットとして飼われているため無駄吠えの1つとなってしまいました。
要求を飼い主に伝えるため
家族が食事をしているときやテレビを見たり読書をしたりしているときに吠えるのは、犬が自分の希望をかなえて欲しいと思っているときです。
実は、この無駄吠えは飼い主が原因になっていることがあります。
少しだけと思って人間のご飯を分けてあげたり自分の趣味の時間を削って犬と遊んであげたりすると、犬にとってはそれが成功体験となり吠えれば要求が満たされるという間違った学習をしてしまいます。
ストレス
犬は人間が大好きです。構ってもらえないとストレスを感じます。
散歩の回数や時間が少なかったり、飼い主と遊ぶことができずにコミュニケーション不足になってストレスを感じて吠えている可能性があります。
興奮している
犬が興奮して吠えるという行動は、喜んでいるときにも怒っているときにも見られます。
怒っているときに吠えるのは犬からのサインなので、速やかに怒りの原因をとり除くことが肝心です。
そのままにしておくと攻撃行動に移る可能性があります。
犬が喜んでいるときは落ち着かせましょう。
愛犬が吠えすぎるのを放置するとこんなことが…
犬の無駄吠えをやめさせるのを諦めてしまうと、もっと困ることになるかもしれません。
さらに吠えるようになる
来客を知らせるチャイムなどを警戒して吠えている場合には、放置するとチャイムや来客に対して吠えるという習慣が身についてしまいます。
家の外を通る車の音などに吠えているときには、吠えることと車が通り過ぎたことを結びつけて吠えたから車が逃げたと認識します。
飼い主以外の人との接触によって吠える場合は、人が好きなときと嫌いなときがあります。
人が好きな場合は吠えると人と接触できるという間違った学習から、嫌いな場合は怯えて吠え続けます。
吠えると要求が通る場合も、無駄吠えは治まりません。
近所との折り合いが悪くなる
近所の人が家の前を通っただけで吠えるのを放置すると最悪の場合、犬が隣人を傷つけてしまうかもしれません。
そこまでではなくても早朝や深夜の無駄吠えなどを放置すると近所に迷惑をかけ直接的に、または管理会社などを通して苦情が来ます。
それでも放置すると、ご近所とうまくつき合って行けなくなります。
それによって、飼い主自身にもストレスがかかるかもしれません。
愛犬が吠えすぎる時の対策
犬が吠えるときの対策は、原因によって異なります。
恐怖心や警戒心が原因の場合
恐怖心や警戒心は本能的なものであり、警戒心が強いという犬の性格にもよります。
しかし子犬の頃の社会化不足も原因の1つです。
飼い主以外の人や他の犬との接触が少なかったせいで、なんに対しても怯えて吠えている可能性があります。
事前に来客がある場合は玄関から遠い場所で犬を過ごさせたり、声かけなどで知らない人から注意を逸らしてあげると吠える頻度を減らせます。
根本的な対策は、外に連れ出して少しずつ他の人や犬に慣れさせることです。
縄張り意識に対しては散歩中のマーキングをさせ過ぎないことや、家での犬の居場所を制限して縄張りの範囲を意識させることが対策になります。
飼い主に要求を伝えようとしている場合
犬が自分の要求を通そうとして吠えているときには、かわいそうですが反応しないことが大切です。食事や散歩は人間の用事が終わってからするようにしましょう。
しばらくは吠えて要求を通そうとするかもしれませんが、吠えても要求は叶わず待っているとよいことがあることを学べば吠えなくなります。
ストレスが原因の場合
犬の一番のストレス発散は散歩です。
犬が十分に運動でき、他の犬や飼い主とコミュニケーションをとれるように散歩を欠かさないようにしましょう。
散歩ができないときは、おもちゃなどを使って一緒に遊ぶと犬はストレスを解消できます。
留守番も犬の苦手なことの1つです。
その場合は事前に犬とたっぷり遊んで疲れさせておくと、いたずらや無駄吠えが減ります。
興奮が原因の場合
怒りのために興奮しているときは、すぐに怒りの原因をとり除きます。
放置すると犬が攻撃行動に出て、噛まれる原因になります。
喜んで吠えているときは、さらに興奮させないように目を合わせず無視します。
興奮が納まったら穏やかに話しかけて、コミュニケーションをとりましょう。
愛犬が吠えている時にやってはいけないこと
無駄吠えをやめさせるためには、理由を理解することが大切です。方法を間違えると、犬が余計に吠える原因になります。
体罰を与えたり叱ったりする
犬のしつけの方法の1つとして、マズルコントロールがあります。
犬の口から鼻先にかけての部分をつかんで歯磨きや薬を飲ませるために行うことが多い訓練ですが、無駄吠えに対する効果は期待できず体罰です。
叱られたことと吠えたことを犬が関連づけられれば無駄吠えが止まることもあるかもしれませんが、一度試して無理なら無駄吠えを助長する可能性があります。
声やしぐさで反応する
無駄吠えしている犬に声をかけたりしぐさで反応すると、犬は相手をしてもらえたことに興奮して吠えたり遊んでもらいたいなどの要求が通ったと勘違いして吠えるようになります。
無駄吠えの原因を理解して正しい対処を
犬の無駄吠えには様々な原因がありますが、犬にとっては人間に思いを伝えようとする大切なコミュニケーションです。
飼い主がよかれと思ってとった行動が、犬の無駄吠えを助長していることもあります。
ご近所に迷惑をかけると、飼い主自身が生きにくくなります。
犬の無駄吠えには成長過程でのイヤイヤ期が起因していることや、老衰による認知機能の低下などが原因の場合もあります。
犬の年齢を確認し生活環境や犬の性格も考慮して、犬が吠える理由を正しく理解し適切な対処をしましょう。