老犬になってくると、次第にシャンプーを嫌がるようになって困ったという経験はありませんか。毛にはホコリや砂、ドックフードがついたりするので、常に清潔にしなくては衛生上よくありません。
定期的に洗ってあげるのは、老犬の健康にも関わるのです。そこで、なぜ老犬がシャンプーを嫌がるのか、また寝たきりの老犬にシャンプーは必要なのかについて解説します。
シャンプーを嫌がる理由を知ることで解決策が見つかる可能性がありますし、愛犬が寝たきりになったときの介護にも役立ちます。
老犬がシャンプーを嫌がる3つの理由
子犬の頃はそうでもなかったのに、なぜか老犬になるとシャンプーを嫌がるようになることがあります。
逃げ回ったり、全身で抵抗したりするため、飼い主側からすると、なぜ嫌がるのかとときにはイライラするかもしれません。
ですが、老犬には老犬なりの理由があるのです。ここでは、老犬がシャンプーを嫌がる主な理由を紹介します。老犬がなぜ嫌がるのかがわかれば、シャンプーをするときに対処ができます。
老犬はシャンプーや水が怖い
老犬になってくると、次第に視覚や嗅覚、聴覚が衰えてきてしまいます。
若いときには、なにが起きているのかを理解できたことも、それぞれの感覚が衰えたことですぐには理解できないのです。
いきなりシャワーをかけられたり、シャンプーでゴシゴシ洗われるのは、老犬にとっては恐怖でしかありません。
飼い主は、愛犬の老化現象について理解し、シャワーやシャンプーを怖がらないようにする必要があります。
- お風呂場に声をかけてから連れて行く
- 急にシャワーを勢いよく出して大きな音を出さないよう少しずつ勢いを増す
- 行なう前に飼い主の手のにおいを嗅がせて安心させる
など、五感が鈍ってしまった高齢の愛犬が少しでも安心できる方法を工夫しましょう。
老犬にとってシャワーのお湯の温度やシャワーの刺激が不快
老犬になってくると、温度に対してとても敏感になります。元々、犬の皮膚は人間よりも薄いため、熱いお湯にはとても敏感です。
そして、皮膚のコンディションの変化や、他の五感の変化により皮膚の感覚が過敏になり、お湯が熱く感じたり、シャワーの刺激が不快に感じる場合があります。
そのため、シャンプー自体を嫌がるようになるのです。
飼い主は、お湯をかけるときには低い温度から慣れさせて、どの温度なら犬が嫌がらないかを確認することが大切です。
シャワーの水圧も弱い段階から始めて、少しずつ水圧を強めていくようにしましょう。
嫌がったら途中でやめてあげることも必要です。
老犬は飼い主の声が怖い
老犬がシャンプーを嫌がると、飼い主はついつい大きな声で怒ってしまいます。
ですが、老犬にとってはなぜ怒られているのかが理解できないため、余計にパニックになってしまうのです。
飼い主は、老犬がシャンプーを嫌がったときには、優しく声をかけたり、体を撫でてあげたりするなどして、安心させるように心がけましょう。
老犬のシャンプーの4つのポイント
老犬をシャンプーするときには、いくつかのポイントがあります。これらのポイントを押さえておくことで、老犬の負担を軽くすることができます。
浴室と脱衣所の温度差をなくす
脱衣所は暖かいのに、浴室が冷たいままだと老犬の体には負担がかかります。
年齢が高くなると、心臓など内蔵も弱ってきます。
シャンプーをする前には、浴室と脱衣所は暖めておいて、老犬が温度差を感じないようにしておきましょう。
体温も低下しやすいため、しっかりとタオルドライやドライヤーで水気を取り去ってあげる必要があります。
シャンプーは泡立てておく
液体のシャンプーをそのままつけると洗うのに時間がかかり、老犬の体には負担になる可能性があります。
シャンプーは洗面器などに出して泡立てておくか、泡タイプのものを使うようにしましょう。
皮膚科学的にも泡で洗った方が皮膚への刺激も少なく、皮膚のコンディションをよりよくできるとも言われています。 泡洗いをおすすめします。
部分的に洗う
シャンプーをするのに時間がかかると、老犬の肉体にはかなりの負担がかかってしまいます。
老犬になると、行動範囲も狭くなるため、汚れる箇所も限られてきます。
シャンプーをするときには、特に汚れが目立つ耳や口回り、お尻回りだけを集中的に洗ってあげるようにしましょう。
ただし、時間を短縮するために、被毛を乾かすのを中途半端にしてしまうと、室温によっては体温が下がってしまうことや湿気により雑菌の繁殖や皮膚の状態の悪化につながり、皮膚炎の原因になってしまい、愛犬の負担になる可能性があります。
洗う部分を減らして短縮をし、被毛や皮膚の湿気を取り除く時間はしっかりと確保しましょう。
優しく声をかける
犬は年齢を重ねると、感覚が鈍くなってきたり、不安な気持ちが強くなってしまいます。
いきなりシャワーをかけられたり、シャンプーで洗われたりすることでパニックになる場合もあります。
飼い主は、シャワーやシャンプーをする前や最中に優しく声をかけてあげるようにしましょう。
声を聞くことで、飼い主がすぐ側にいるという安心感がうまれ、老犬の不安を軽減することができます。
老犬に負担をかけずにシャンプーする10のポイント
老犬になると感覚器官が衰えてしまう為、これまで問題なかったことでも不安を感じるようになったり心が弱くなる場合があります。
その為シャンプーであってもキチンと老犬に負担をかけない様に注意して行ってあげる必要があるため、老犬に負担をかけずにシャンプーをするポイントを紹介します。
毛玉を落とす
毛玉がついたままシャンプーをすると洗っている際に引っかかってしまい、それが痛くてシャンプーを嫌がってしまうことがあります。
洗う前に一通り毛玉を取ってあげる様にしましょう。
毛玉取りもまとめて行おうとすると痛みが生じて負担となり嫌がる可能性があります。 日常的なスキンシップの一環としてこまめに行うと負担が軽減されるでしょう。
滑り止めマットを敷く
滑りやすいお風呂場などの床で洗っていると足腰に負担がかかるため、マットをしき、その上で洗ってあげる様にしましょう。
また安全のためには、立ったまま洗うのではなく、座らせてから洗ってあげるのもおすすめです。
柔らかいスポンジを使う
シャンプーのお湯を直接かけると、水圧が強くても驚いてしまうことがあります。
その場合は柔らかいスポンジを湿らせて体を拭き取るように洗ってあげると、より負担が少なく洗ってあげることができます。
耳の中も掃除してあげる
若いわんちゃんであれば、耳に残った水分は自分でぶるぶるして飛ばすことができますが、老犬になるとからだをうまく動かせず、水分が耳に着いて残ったままになってしまうこともあります。
耳の中に溜まった水分は自分で飛ばせますが、外耳が湿ったままだったら綿棒などでふき取ってあげる様にしましょう。
ドライヤーはぬるい温度で
温風は火傷してしまうことがあるのでもちろん要注意ですが、老犬の場合はより丁寧にドライヤーから距離を離して乾かしてあげる様にしましょう。
目安は体から30センチほど離し、弱風を使うのがおすすめです。
吸水力の高いタオルでタオルドライを行うと、ドライヤーをかける時間も少し減らせるためおすすめです。
タオルとセットで乾かす
乾かす時間も老犬には一種のストレスになってしまうため、なるべくささっと乾かしてしまうのが重要です。
バスタオルを被せ、タオルと体の間に温風を入れ、温度が逃げない様に乾かすのがポイント。
こまめに少しづつ洗う
もし体全体を洗い切るのが大変な場合は、こまめに日を分けて少しづつ洗うのがおすすめです。
お腹や足など、日頃からこまめにちょこちょこ洗っていくと、月に1度のシャンプーなどで時間をかけ過ぎることなく清潔さを保つことができます。
ふけや乾燥を予防する
シャンプーの時だけではなく、トリートメントスプレーやローションなどを使った日々の乾燥・ふけのケアも重要です。
毛玉を抑えることも清潔さを保ちシャンプー時の負荷を下げることができます。
特に冬場の乾燥で、乾燥しやすい皮膚の特徴を持つ犬の場合、保湿剤を用いたケアも大切です。 どのようなものが良いか見つけづらい場合はかかりつけの獣医師の先生に相談してみてください。
座ったまま洗う
立ったままお風呂場など水分の多い床でシャンプーをすると、踏ん張りが聞きにくい為関節に負担もかかってしまいます。
体を洗う際には無理に立たせて洗う必要はありませんので、座ったままでも楽な体制でシャンプーをしてあげる様にしましょう。
泡切れの良いシャンプーを使う
泡立つシャンプーはよく洗えている感じがしますが、老犬にシャンプーしてあげるならささっと洗えてささっと流せる泡切れの良いシャンプーの方がおすすめです。
泡立ちにくいからといって洗えていないわけではないので、泡切れの良いシャンプー剤を選んであげましょう。
寝たきりの老犬はシャンプーできる?
老犬となり、寝たきりになっても常に清潔さを保ってあげたいという人もいるでしょう。
ですが、小型犬なら簡単ですが、大型犬では難しくなってしまいます。ここでは、寝たきりになった老犬のシャンプー方法について解説します。
寝たきりの老犬のシャンプーは寝たまま洗うようにする
寝たきりの老犬を立たせることは飼い主にとってもかなりの負担となりますし、バランスを崩して転倒するなど怪我の原因になる可能性があります。
支えながら洗うことが難しい場合は、寝たままでもシャンプーは可能なので、できるだけ無理な姿勢はとらせないようにしましょう。
寝たきりの老犬のシャンプーは室内で部分洗いする
ペットフードなどで口回りがベタベタになってしまったり、排泄物でお尻回りが汚れてしまったときには、室内でそのまま部分洗いをするという方法があります。
部分洗いなので、シャンプーや水の量もたくさんはいりませんし、ペットシーツや大きなタオルを敷いておけば、水が床を濡らすこともありません。移動しなくてすむ分、飼い主にも老犬にも負担が少ない方法です。
ですが、寝たままでは洗うことが難しい場所もあります。
そのときには、獣医師やトリマーに相談してみることが大切です。
寝たきりの老犬のシャンプーはドライシャンプーを使う
犬用シャンプーには様々なタイプがあります。
なかでも、水を必要としないドライシャンプーなら、浴室に移動することもありませんし、時間がかからないので老犬の負担を減らすこともできます。
ですが、このときには選び方に注意しましょう。刺激が強い場合は、老犬の皮膚に影響が出る可能性があります。選ぶときには、低刺激のアミノ酸を使用しているものにしましょう。
また、いつまでもシャンプーのベタベタ感が残ると、老犬にとってはストレスになってしまいます。選ぶときには速乾性が高いものにしましょう。
寝たきりの老犬は、ドックフードを見直し皮膚コンディションの改善を
老犬になってふけが増えたり、べたついたり、抜け毛の量が増えたと感じる場合、皮膚質が老化に伴い変化していることが原因で、コンディションがあまり良くないのかもしれません。
直接的なスキンケアと異なり、変化の程度はあまり大きくない可能性が高いですが、困っている皮膚トラブルの解決に少しでも近づけるかもしれません。
シニア犬向けの消化吸収の良いごはんや、皮膚・被毛に良いミネラルを多く含むごはん、脂質をあまり含まないご飯など、愛犬に適したご飯を選びましょう。
老犬のシャワー時の便利グッズ
マットの滑り止め
滑り止めが裏面についていて、素材もシリコンであるため犬が滑ってしまうことを防げます。
また、干して乾燥させることも出来るため、カビや雑菌が繁殖しないよう衛生に保つことが出来ます。
泡ぎれの良いシャンプー
シャンプーとは少し異なりますが、泡でふき取るタイプの洗浄剤になります。
汚れを除去したい場合、水を嫌がる子の場合に良いかもしれません。
ただし、除去できる汚れの程度も限りがある為、あまり皮膚の状態が良くないようであればトリミング施設や病院での薬浴やシャンプーをお勧めします。
ライオン (LION) ペットキレイ 除菌できるふきとりフォーム
吸収の良いタオル
タオルというと人間の使用するようなふわふわのタオルを連想しがちですが、実はタオルドライの前にこのような吸水力がタオルよりも良いタオルをトリマーさんたちは使用していることが多いです。
吸水をして、絞って水分を除去したらすぐまた吸水力が復活するため、最初に大まかに水分を除去するのに使用することをおすすめします。
そのあとに一般的なタオルとドライヤーを使用すると、時間短縮も可能です。
両手が使えるドライヤー
トリミング施設のような、手で持たなくても使用できるドライヤーを買いそろえることは費用的にも難しいかもしれません。
しかし、タオルで乾かしながらドライヤーをあてることが出来ると、より時間を短縮することが出来るでしょう。
このアイテムであれば、ご自宅のドライヤーで、両手を使わずに乾かすことが出来ます。
老犬がシャンプーを嫌がるようになったら嫌がらないように工夫してあげよう
老犬がシャンプーを嫌がるようになったら、まずはなぜ嫌がるのか、その理由について考えてみましょう。
加齢に伴い皮膚が変化したり、不安を感じやすくなったりと、その理由は様々です。
飼い主は、老犬の様子から対処する方法を考えておきましょう。寝たきりになった場合は、できるだけ移動を減らすようにするなど工夫をすることが必要です。
また、ドライシャンプーやドックフードを見直すことで皮膚のコンディションの改善も期待され老犬の負担を軽くすることも可能です。