納豆は発酵食品の代表的な食材とも言われ、栄養価も高いことから昔から日本人に親しまれてきました。
納豆にはタンパク質、脂質、炭水化物、ミネラル、食物繊維といった五大栄養素が含まれており、人間の食卓には欠かせない食品ではないでしょうか。
しかし、納豆のネバネバした食感や独特なにおいを苦手とする人がいることも事実です。
人間にとって栄養のバランスが取れている一方で、苦手意識を持つ人も多い納豆を、犬は食べることができるのでしょうか。
ここでは、犬が納豆を食べることができるのかご紹介していきます。
愛犬は納豆を食べられる?
結論から言えば、納豆は犬に与えても大丈夫な食品です。
納豆には、タンパク質、食物繊維の他、健康維持に役立つビタミン、ミネラルが多量に含まれています。
また、納豆特有の体に良い影響をもたらす物質も含まれており、愛犬にぜひ食べさせてあげたい食品です。
ただし、与える際の気をつけるポイントが幾つかありますので、飼い主さんはしっかり知識をつけて納豆を与えるようにしましょう。
醤油やカラシ、薬味はNG 市販の納豆に付属している醤油やカラシなどの薬味は犬に与えてはいけません。
醤油に関しては摂取してしまうと塩分過剰になる恐れがあります。
また、カラシなどの薬味は、犬にとって刺激性の強い物質であり、ネギやにんにくなど溶血性貧血をおこすような物質も含まれている可能性があるため与えない方が良いです。
納豆の栄養素と犬へのメリット
納豆には様々な栄養素が含まれていると言われ、人間にとっても健康食品であると言われています。
そんな納豆にはどのような栄養成分が含まれているのでしょうか?
ここからは、納豆に含まれる栄養素と犬に与えることによって得られる健康へのメリットを解説します。
大豆サポニン
納豆には、大豆サポニンといって血管に付着した脂肪を洗い流し、血管をきれいにしてくれる物質が含まれています。
そのため、大豆サポニンは動脈硬化を予防することができ、人では狭心症、脳卒中、脳梗塞といった病気を防ぐことができるのではないかと報告されています。
犬でも同様に、与えることによって、血栓症や動脈硬化を予防できる可能性があります。
また、肥満や疾患によって作り出された酸化物質を除去する抗酸化作用も含まれているため、納豆はぜひ愛犬に食べさせてあげてほしい食品の一つです。
食物繊維
納豆には食物繊維が含まれています。 食物繊維は、腸の調子を整えて便秘の改善や予防にもなります。
また腸内の善玉菌を増やし腸内環境を整える作用もあるため、お腹の調子がよくない子や、便秘気味の子に与えてみるのも良いでしょう。
ただ、与えすぎると下痢や嘔吐につながる可能性もあります。与えすぎには注意しましょう。
ビタミン
納豆にはビタミンKやビタミンBなどのビタミンが多量に含まれています。
ビタミンKは、カルシウムの吸収をサポートし骨を丈夫にしてくれます。
人間でも、ビタミンKをとることで骨折の発生率を抑えることができたとの報告がされています。
また、ビタミンKは肝臓に働きかけて血液を凝固させる凝固因子をつくる働きもあります。
さらにビタミンB群は、エネルギー代謝や赤血球の構成成分など体内で重要な役割を果たしてくれます。
このビタミンB群は、働きも多く水溶性で損失しやすいため、食事からの十分な摂取が必要になります。
納豆はビタミンK、ビタミンBを摂取することが出来る優秀な食品ですので、ぜひ愛犬にも与えてみてあげてください。
ナットウキナーゼ
納豆には、ナットウキナーゼとよばれる特有の酵素が含まれています。
このナットウキナーゼは、血栓の主成分に働きかけて血栓を溶解し血をサラサラにする効果があります。
先述した大豆サポニンも血管に付着した脂肪を掃除してくれる作用をもってますので、納豆は心臓血管系を健康に保つために重要な食品です。
たんぱく質
納豆はその17%がタンパク質であると言われています。
タンパク質は、筋肉や骨や皮膚など体を構成するためには必須の物質です。
納豆は、タンパク質を構成するアミノ酸がバランス良くふくまれているアミノ酸スコアが高いタンパク源でもありますので、ぜひ愛犬にも食べさせてあげましょう。
パントテン酸
パントテン酸は、ビタミンの一種であり糖質や脂質をエネルギーに変換する働きがあります。
また、ストレスを緩和する働きもあるとされています。
愛犬に与えて良い納豆の量
納豆は、多量の栄養素とビタミン、ミネラルを含み犬にとっても健康食品となりえますが、やはり与えすぎは栄養過多になったり、ミネラルバランスが崩れる恐れがあります。
最悪、下痢や嘔吐などの消化器症状を呈する可能性もあります。
そのため、納豆を与える際にはおやつや、主食のドッグフードにトッピングする程度にしましょう。
一日の総摂取カロリーの10%程度が適正な納豆の量になります。
一日に与えても良い納豆の量については、以下の表にまとめてます。
犬の体重 | 1日の総摂取カロリー | 与えることのできる納豆の量 |
超小型犬(3kg) | 290kcal | 納豆パック1/4量(約14g) |
小型犬(5kg) | 420kcal | 納豆パック1/3量(約20g) |
中型犬(10kg) | 710kcal | 納豆パック1/2量(約30g) |
大型犬(30kg) | 1500kcal | 納豆パック全量(約50g) |
※健康な成犬の場合です。
愛犬に納豆を与える時の注意点
納豆が愛犬の体に良いことは分かりましたが、与える際に気をつけるべきポイントもあります。
ここからは、愛犬に納豆を与える際の注意点を解説していきます。
与えすぎない
どんな食品にも当てはまることですが、納豆を与える際は適切な量を与えるようにしましょう。
健康食品である納豆ですが、食べ過ぎると体の中のミネラルバランスがくずれる恐れがあり、下痢や嘔吐を引き起こす可能性があります。
アレルギー
納豆を与える際には、大豆アレルギーに注意が必要です。
納豆を与えた後に、顔や目の周りが赤くなり痒がる様子が認められた際や嘔吐、下痢などが認められた際には大豆アレルギーの可能性があります。
はじめて愛犬に納豆を与える際には、少量ずつ与えるようにしてアレルギー症状がでないかどうかを確認しつつ与えていきましょう。
【獣医師監修】愛犬にアレルギーが起きた時の症状と具体的な対処法を解説
病気
納豆はさまざまな栄養素を含んでおり、愛犬の健康維持のために優秀な食品となりえますが、納豆を病気の子に与える場合には注意が必要です。
腎臓病、心臓病
納豆などの豆類はカリウムを含んでいます。
カリウムは、体内の塩分を排出し、高血圧予防やむくみをとる働きがあります。
しかし、腎臓病や心臓病の子の中にはカリウム制限をする必要がある子もいます。
そのような子の場合、納豆を与える際には、獣医師さんと相談の上与えるようにしましょう。
血栓予防薬ワルファリンを服用している場合
血栓予防薬であるワルファリンはビタミンKの働きを阻害することで血栓形成を阻害します。
しかし、納豆にはビタミンKが多量に含まれているため、ワルファリンの効果を薄めてしまう恐れがあります。
ワルファリンを服用している場合には、納豆を与えないようにしましょう。
貧血
大豆に含まれるグリシニンという成分は、鉄分の吸収を阻害すると言われています。
貧血がある場合や、鉄剤などを投与している場合は納豆の摂取は控えた方が良いでしょう。
愛犬に納豆をあげる時のポイント
納豆に含まれる栄養素をしっかりと愛犬に与えるためにどのような工夫をしたらよいでしょうか?
ここからは、愛犬に納豆をあげる際のポイントについて解説します。
ひきわり納豆、犬用納豆がおすすめ
愛犬に納豆を与える際には、ひきわり納豆、犬用納豆がおすすめです。
これらの商品は、通常の納豆より粒の大きさが細かくなるようにカットされています。
犬は食べ物を咀嚼することなく丸呑みすることもありますので、細かくカットされている方が消化吸収もされやすく効率的に栄養素を吸収することができます。
普段のご飯にトッピングがおすすめ
納豆の匂いが好きな子なら、普段の食事にトッピングすることで食欲を増進させることができます。
また、犬用納豆のおやつやふりかけもありますので、こういった商品をトッピングすることで納豆の栄養素を普段の食事から摂取することができます。
おすすめの犬用納豆
納豆はおやつや普段の食事にトッピングして与えるのが良いでしょう。
ここからは、愛犬でも食べれる犬用納豆をご紹介します。
犬用おやつフリーズドライ ひきわり納豆 dogtree
フリーズドライに加工された納豆は、通常の納豆と同程度の成分を含んでおり、ネバネバ感もないです。
こちらの商品はネバネバ感が苦手な子にもおすすめであり、ひきわり納豆となっており細かくカットされてますので、消化吸収もしやすく加工された犬用納豆です。
サンユー研究所 つぶ納豆ふりかけ
普段の食事にトッピングしやすいふりかけタイプの犬用納豆です。
こうした商品も、ネバネバ感が少なくかつ、ボトルタイプで扱いやすいのでトッピングするのに最適な商品です。
ナチュラルペットフーズ WauWau 乾燥小粒納豆 80g
納豆の栄養成分の他、ビール酵母も含んでいるので腸内環境を整えることができる犬用納豆です。
嗜好性も高いので、愛犬が好むようならしつけのご褒美などに与えてあげるのも良いでしょう。
愛犬におすすめの発酵食品
発酵食品は腸内環境を整えたり、栄養素を多量にふくむためぜひ愛犬にも食べさせてほしいです。
ここからは、納豆以外にも犬に与えてよい発酵食品を紹介します。
ヨーグルト
ヨーグルトも納豆と同様に愛犬に与えても良い発酵食品の一つです。
腸内の善玉菌を増やし腸内環境を整える働きがあります。
しかし、ヨーグルトに含まれる乳糖をあまり多く与えすぎると下痢してしまう可能性もあるため、与えすぎには注意しましょう。
チーズ
チーズも発酵食品であり、タンパク質をはじめさまざまなビタミンを含んでいるため血液や被毛、筋肉など健康な体を維持するために優秀な食品です。
ただ、人間が食べているようなチーズは犬にとって塩分を多く含んでいますので与えすぎは注意が必要です。
納豆は愛犬の食事に取り入れたい食材
納豆は栄養価が高く、健康の維持に効果が期待できる食材です。
人間同様に、犬にも積極的に取り入れたいものです。
しかし、犬にとってのメインの食事はドッグフードですから、やみくもに与えすぎては栄養過多で健康に悪影響を及ぼす場合もあります。
大切な愛犬の体の状態や食の好みを確認し、摂取しやすい方法で時には納豆が含まれるドッグフードにも目を向けつつ、適切に取り入れていくことが望ましいでしょう。
バランスのいい食事は健康な体の源です。納豆も健康維持の一つの要素として検討してはいかがでしょうか。