犬が無駄吠えしてしまう事例
来客時に吠える
犬の無駄吠えの最もポピュラーな例として、来客時が挙げられます。
玄関のインターホンやチャイムの音が鳴ったり、室内に家族以外の人間が入って来たりすると吠えてしまうパターンです。
犬が吠えるシーンがいくつかあれど、無駄吠えの最も顕著な例として取り上げられやすいのは単純に飼い主さんが困ってしまうからでしょう。
親しい友人であればまだしも、恩師の来訪時や荷物を持ってきた宅配員さんに何度も吠えてしまうと気まずい思いをしてしまいます。
また密集している住宅街であれば、ご近所への騒音も気になるところでしょう。
家の外を気にして吠える
似た様な事例として挙げられるのが、家の外側を気にして吠えるケースです。
部屋の窓から見える、家の前を通る人や車に対して吠えてしまいます。
特に掃き出し窓のような大きな窓から外を見渡せる部屋や高台に建つ家だと、見晴し台から見下ろしている気分になり外界を気にする傾向にあります。
散歩中に、他の人や犬に対して吠える事例も非常に多いです。
なお散歩のタイミングでの吠え方にも種類があり、人や犬など他者に対しての警戒・拒絶の色を示す吠え方と、相手に興味を持つがゆえに興奮を伴った吠え方の2種類が多く見られます。
室内で家族の様子を見て吠える
次に家の中、主に家族に対して無駄吠えをするケースも見ていきましょう。
ケージやサークルから出して欲しかったり、朝方や夕方など普段散歩や食事を行っているタイミングだったりといった、比較的分かりやすいパターンが多いです。
家族がリビングに集まる時間帯だったり、外出するタイミングでソワソワしたり無駄吠えをするケースも非常に多く見られます。
子犬であれば食事や散歩、人間の行動にかかわらず物音がしただけで吠えたりする事例もあります。
年齢で言えば、ある日を境にシニア犬が突然吠えるようになったというケースも少なくありません。
犬が無駄吠えする理由
警戒しているため
無駄吠えの事例でもポピュラーである来客時のケースは、侵入者として警戒していることが原因として考えられます。
飼い主さんおよび家族以外の人は、犬にとって侵入してくる外敵として認識しやすいです。
玄関のインターホンやチャイムが鳴った際に吠えるのも、その音がした際に来客すなわち外敵が入ってくるトリガーとして覚え込んでしまったからでしょう。
チャイムの音が鳴った直後に、警戒すべき敵が入ってくると誤認してしまったという訳です。
外を通る人や車に対して吠えるのも、同様に警戒しているからです。
番犬として、自分のテリトリーに近付く人・動物に威嚇して侵入を防ぐのがこの行動原理として考えられます。
祖先である狼は集団行動をとる動物であり、その集団に不用意に近付く他の群れの狼や動物を敵として認識して攻撃したり追い払ったりします。
野生の時の本能がまだイエイヌにも残っていて、見知らぬ人や通行人を敵と認識して吠えるようになるというのが大きな理由です。
散歩中に他の人や犬に対して吠えるのは、警戒心や恐怖心が理由として挙げられます。
多くは過去の出来事が関係していて、知らない人に突然触られたり他の犬に吠えられたりといった経験が恐怖心や警戒心として刻み込まれてしまったことが原因です。
テリトリーと同様に動物的な感情・行動であり、自分を害するとおぼしき存在が近付いてきたら遠ざけるために威嚇・攻撃をする、という訳です。
また警戒心や嫌悪感から来る無駄吠えではなく、興奮しているがゆえに人や犬に対して散歩中に吠えることもあります。
この場合は相手を知りたい、臭いをかぎたいという欲求が優先されている状態です。
何かしらを要求しているため
家族に対しての無駄吠えの理由については、その多くは何かしらの行動や物を要求しているケースが多いです。
散歩や食事の催促だけならまだしも、人間の食事の最中に食べ物を要求したり、サークルから出してもらいたくて吠えている場合は注意しなければなりません。
吠えれば人間の食べ物ももらえる、サークルから出してもらえるといったように、わがままが通ることを学習してしまっている状態だからです。
不安を抱えているため
家族の外出時に吠えるケースは、不安を抱えているのが原因です。
家族が出かけてしまう際に犬が抱く不安な気持ちを分離不安と呼び、吠えたりパニック症状を起こしたりすることもあります。
シニア犬が突然無駄吠えをするようになった事例に関しては、認知機能の低下が理由として挙げられます。
昼夜が逆転して昼間によく寝るようになったり、家の中で迷子になったり飼い主さんのことが認識できなかったりといった症状と共に発現することが多いです。
無駄吠えの多い犬の予防と対策
犬が吠える事例とその原因は非常に多彩ではあるものの、基本的には警戒や不安・興奮といった「感情の高ぶり」が理由であることが大半です。
いくつかの原因のうち、その多くは感情の高ぶりを和らげて落ち着ける環境を用意してあげることが肝要となります。
知らない人や犬に吠えるのは、外界すなわち社会や環境に慣れていないからです。
生後4週から12週あたりの時期を社会化期と呼び、この時期に他の人や犬と触れ合って刺激に慣れさせることが大切になります。
警戒心による無駄吠えを予防するには、この社会化期に愛犬を抱っこして散歩に出かけることが一番です。
社会化期が過ぎた成犬であっても、徐々に慣らしていけば大丈夫です。
既に習慣化している場合は、吠えるタイミングの刺激対象となっているものを減らします。
外に向かって吠える癖があるのなら、大きな窓の下半分にフィルムを貼って見えなくすると良いです。
散歩中に他の人や犬に吠えて困るのであれば、人通りの少ない散歩コースや時間帯に変更すれば良いでしょう。
いつでもハウスに入れるようにしつける、ハウストレーニングも有効です。
お気に入りの毛布やタオルで整えられた寝床を用意し、愛犬にとって快適な環境を整備しておきます。
吠えるタイミングの直前にハウスの指示を出せば、ハウス内でリラックスして警戒・興奮しにくくなり吠える行動が減るという仕組みです。
家族に対しての要求で吠えている場合については、その要求に応えないことが肝心です。
反応せず犬に構わない時間を作ることも大切であり、愛犬のためにも我慢を覚えさせると思って接しましょう。
食事や散歩は、人間側の用事が終わってからとルールを作るのも良いです。
吠える原因が高齢化によるものや過度の不安であった場合、医師の診察を受けて対処するようにしましょう。
無駄吠えをした時にしてはいけないNG行動
愛犬が吠える際のNG行動として挙げられるのが、叱ってやめさせようとすることです。
一度叱っても効き目がないのであれば、何度叱ってもその方法では効果は見られません。
吠えるタイミング・状況によって、その理由・原因が異なるにも関わらず「吠えるという行為」だけを変えさせようとしているからです。
その行動をとるからには必ず原因があり、理由を突き止めて解決しなければ正しい対処法にはなりえません。
対症療法的に、その場凌ぎで解決しようとするのではなく原因をしっかりと見つめて解決に導くことが大切です。
吠えるタイミングと理由をしっかりと考えて対処しよう
犬は警戒心や興奮・不安などの感情を抱いたり、飼い主さんや家族に何か要求したりする際に吠える傾向にあります。
すなわち無駄吠えの原因は、人間が用意した環境や愛犬への対応によって生み出されていることが多いです。
人間が犬の環境を改善したり、最適な接し方へと変えることで解消されていきます。
その多くは無駄吠えではなく、大切な意味が込められたメッセージとなっている傾向にあります。
吠える行為だけをとがめて叱りつけるのではなく、愛犬に寄り添って考え解決へと導きましょう。