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老犬の腎不全(腎臓病)の症状を解説!食べない、尿が出ない…余命は?

最終更新: 2024.07.29
老犬の腎不全(腎臓病)の症状を解説!食べない、尿が出ない…余命は?
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「老犬がご飯を食べない!どうしたらいい?」「腎不全(腎臓病)と言われたけど、余命は?」「腎不全の治療はどんな治療をするの?」など、愛犬が腎不全と診断された場合の悩みにお答えします。

老犬の症状、尿が出ない時の対策、点滴などの治療法や食事を食べない場合の対処法、余命について、獣医師が詳しく解説します。最後まで読んで、愛犬の健康を守るためにできることを見つけましょう。

老犬の腎不全とは

腎不全とは、体の中の老廃物や毒素を排泄する腎臓の機能が低下してしまう病気です。

犬が腎不全になると、食欲不振からけいれん発作まで様々な症状がみられるようになります。

また腎不全は、発症からの経過によって急性腎不全と慢性腎不全の2つに分けられます。

急性腎不全は、数時間から数日という短い期間の間に腎機能が急激に低下します。

それに対して、慢性腎不全は、長ければ何年もの時間をかけてジワジワと腎臓の機能が低下していく状態です。

腎不全になる原因は様々ありますが、加齢によっても、犬の腎不全の発症率は上がっていき ます。

そのため、老犬の腎不全の割合は非常に多いです。

腎不全の兆候を知ることで、病気の早期発見にも繋がりますので、飼い主さんは、しっかりと愛犬の様子を確認してあげて早期発見を行うようにしましょう。

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老犬の腎不全の症状

ここからは、急性腎不全と慢性腎不全の2つに分けて症状を解説していきます。

老犬の腎不全の症状としては急性腎不全と慢性腎不全で若干違いがあるため注意しましょう。

飼い主さんは、愛犬にこういった症状を認めた場合には、動物病院に連れていくようにしてください。

急性腎不全

急性腎不全の症状としては、腎不全でみられる多飲多尿、食欲不振、嘔吐、脱水の他に以下のような症状がみられます。

■急性腎不全の症状

  • 尿が出てこなくなる
  • ぐったりする
  • けいれん

特に尿が出てこなくなるという症状は、「無尿」と呼ばれる状態であり、腎臓の機能が低下しすぎて尿が作れていない状態です。

この状態を放置していると体の中で、毒素が蓄積し、けいれん発作を起こすことがありますので早急に動物病院に連れていくようにしてください。

慢性腎不全

慢性腎不全では、徐々に腎臓の機能が低下していくため、飼い主さんが気づかない可能性があります。

慢性腎不全の症状としては、多飲多尿や食欲不振、嘔吐の他に以下のようなものが特徴的です。

■慢性腎不全の症状

  • 体重減少
  • 便秘
  • 貧血
  • けいれん

慢性腎不全は経過が長いので、慢性的に体重が減少していったり、便秘、貧血になっていることが多いです。

慢性的な腎不全は症状が何もなくても、体の中では、ジワジワと進行しています。

飼い主さんは、定期的な血液検査や尿検査を行い愛犬の腎不全を早期発見できるようにしましょう。

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老犬の腎不全の原因

犬の腎不全は、腎機能の低下によって起こります。

では、腎機能はどうして低下してしまうのでしょうか?

ここからは、急性腎不全と慢性腎不全に分けて腎不全が起こる原因を説明していきます。

急性腎不全

急性腎不全の原因は以下の通りです。

急性腎不全は、主に中毒や尿路結石が閉塞、感染症などが原因として考えられます。

■急性腎不全の原因

  • 薬(NSAIDs、抗生剤など)
  • 尿路結石
  • 除草剤
  • 中毒物質(ヒ素、銀、鉛、エチレングリコール)
  • 血圧低下
  • ショック症状
  • 腎臓の虚血
  • レプトスピラ症
  • リンパ腫
  • 高カルシウム症
  • 急性糸球体腎炎
     

犬が食べると腎不全を起こすものとしては、ぶどう、ユリ科の植物、エチレングリコール、NSAIDs(ロキソニンのような痛み止め)などが挙げられます。

そうしたものは、誤って飲み込むと大変ですので、愛犬が生活する環境には、このようなものを置かないようにしましょう。

慢性腎不全

慢性腎不全の原因は以下の通りです。

■慢性腎不全の原因

  • 腎臓の慢性炎症
  • 腎アミロイド症
  • 尿路結石
  • 腫瘍
  • 腎虚血
  • 先天的な腎臓低形成
  • 家族性腎症
  • 免疫疾患
  • 腎盂腎炎
  • レプトスピラ症など
     

慢性腎不全は、腎臓の慢性炎症や腎臓のアミロイド症などの線維化、尿路結石が詰まることによる閉塞、腎臓腫瘍などが慢性腎不全の主な原因です。

老犬の場合は、体内で慢性炎症が起こりやすい状態になっており、腎臓が障害を受けやすいです。

また、尿路結石がある犬は、尿路に石が詰まることにより腎臓に負担がかかってしまいます。

飼い主さんは、定期的に動物病院を受診して、このような異常がないかどうかを確認するようにしてください。

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老犬の腎不全の治療

老犬の腎不全の治療は、急性腎不全と慢性腎不全で異なります。

腎不全の治療は、飼い主さんもしっかりと理解しておかないと、腎臓病に悪いものを食事として与えている場合もあるので注意が必要です。

それでは急性腎不全、慢性腎不全の治療についてそれぞれ解説していきましょう。

急性腎不全

急性腎不全になっている犬の状態にもよりますが、急性腎不全の場合は、治療により低下していた腎機能が回復することがあります。

しかし、正しい治療を行わなければ死に至ることもある緊急性の高い状態です。

治療の目標は、脱水、高カリウム血症、体の中のミネラルバランスを改善し、窒素老廃物と体内の有害な毒素を除去することです。

尿量に合わせて利尿剤や輸液の量を変化させ、ミネラルバランスを調節していきます。

また、おしっこが排出されていないと窒素老廃物や体内の有害な毒素は、体の外に排出できません。

利尿剤を使ってもどうしてもおしっこが出ない場合には、体の中の老廃物を除去するために透析が必要です。

透析の詳しい解説については、慢性腎臓病の治療の章でも解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

慢性腎不全

慢性腎不全の治療の目的は、現在の腎臓の機能をできるだけ維持することです。

急性腎不全の場合と違って、慢性的に進行している腎不全は治療により腎機能が改善されていくことはありません。

あくまで悪化を予防するための治療ですので間違えないようにしてください。

慢性腎不全は、腎数値の値により、さまざまな治療法が行われていきます。

腎不全の治療法のポイントをみていきましょう。

食事療法

腎不全の犬には、

  • 低タンパク質
  • 低リン
  • 低ナトリウム
     

である療法食を与えてあげるべきです。

タンパク質は腎臓に負担をかけてしまいます。

また、腎不全が進行してくると血液中のリンの濃度が上昇し、組織や血管の石灰化に繋がるでしょう。

さらにナトリウムが過剰に含まれていると高血圧の原因となり、腎臓やさまざまな臓器に負担をかけます。

腎不全の犬には上記の3つの条件を満たしたご飯をあげるようにしましょう。

動物病院では、腎不全に対する療法食を処方することができます。

一度、動物病院に問い合わせて処方できるかどうか聞いてみると良いでしょう。

点滴(輸液療法)

腎不全の犬では、脱水が起こっています。

そのため、点滴を行い脱水を補正してあげることが大切です。

慢性腎不全で脱水を起こし、しんどくなっている場合は、皮下点滴を行ってあげると楽になり食欲も改善してくれます。

急性腎不全では、静脈からの点滴が必要です。

おしっこの排泄量をみながら、点滴で腎臓の機能が改善していくよう脱水を補正していきます。

薬物療法

慢性腎不全になると、血液中のリン濃度の上昇と貧血がみられるようになります。

腎不全になると腎臓からのリンの排泄ができなくなるので、血液中のリン濃度が上昇していきます。

そのため、血液中のリン濃度を低下させるためにリン吸着剤を使うことがあります。

また、腎臓は赤血球を作るホルモンである「エリスロポエチン」を分泌しています。

腎不全になるとこのエリスロポエチンの分泌量が減少するため、貧血傾向になることが多いです。

貧血が進行しすぎてしまうとふらつきや食欲不振が症状としてあらわれ、状態の悪化に繋がりますので、増血剤を使い貧血を改善させる必要があります。

さらに、高血圧によりタンパク質が尿に漏れ出ている場合は、腎臓の尿細管を傷つけてしまうことにより腎不全が悪化していきます。

こうした場合には、血圧を低下させる降圧剤を使用してあげるべきです。

透析

透析の方法としては、お腹に透析液を入れる腹膜透析と血管に透析を入れる血液透析があります。

しかし血液透析は、未だ獣医療では、メジャーでないため、多くの症例で腹膜透析が用いられています。

腹膜透析は、お腹の腹壁から管を入れてそこから透析液を出し入れすることで、体の中の有害な物質を回収していきます。

特に急性腎不全でおしっこが出ず、体の老廃物が排出できない時の応急処置として行われることが多いです。

外科手術

腎不全の治療は、ほとんどが投薬や点滴、食事などの内科治療ですが、尿路結石がつまり閉塞している場合は外科手術が必要です。

この場合は、閉塞している部分をエコー検査やレントゲン、CT検査で特定し手術によって閉塞を解除してあげます。

結石をとってあげることで腎不全は改善することが多いですが、結石ができやすい体質の子の場合は、再発が多いので注意が必要です。

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老犬の腎不全の予防方法

老犬では、腎臓の機能が弱っていることも想定されるので腎不全に注意が必要です。

飼い主さんは日々の生活で腎臓をケアしながら、老犬が腎不全になることを予防するようにしてあげましょう。

■老犬の腎不全の予防方法は以下の通りです。

  • バランスの良いご飯をあげる
  • 水分をしっかりあげる
  • ω3脂肪酸を補給する
  • 健康診断を受ける

バランスの良いご飯をあげる

健康で腎臓に異常がない老犬には、バランスの良いご飯を与えてあげるようにしましょう。

腎不全を過剰に恐れて、タンパク質を制限したり、腎臓療法食を食べさせる飼い主さんもいますが、健康な子にとって腎臓の療法食はタンパク質の含有量が少ない食事です。

筋肉量の低下や、体重減少にもつながる場合がありますので注意しましょう。

愛犬の腎不全をを予防するためには、栄養バランスが良い食事を与えてあげることが大切です。

水分をしっかりあげる

腎不全を予防するためには、水分をしっかりと摂取させてあげることが大切です。

腎臓病の犬では、体が脱水症状になりやすいです。

そして脱水状態になると腎臓への血液量も低下してしまい、どんどん状態が悪化していきます。

飼い主さんは、いつでも水を飲めるような状態にするために、複数個水飲み場を作るようにしてあげてください。

また、先ほど述べたように、ココグルメのようなフレッシュフードを使ったり、ウェットフードを食事に使ってあげたり、水分の多い果物をトッピングしてあげたりして食事からも積極的に水分を摂取するようにしましょう。

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腎不全の老犬の余命は?

老犬が腎不全になってしまった場合の余命は、犬の症状や腎数値の状態、腎不全の進行度によって変わってきます。

多飲多尿のみが症状としてあらわれている場合の余命は1〜2年程度です。

また嘔吐や食欲不振、元気の低下などがみられる場合の余命は、1年程度、痙攣などが起こっている末期の状態では2ヶ月程度であると言われています。

腎不全が進行すればするほど余命は短くなってしまいますので、飼い主さんは早期に発見し適切な治療を愛犬に行うことが大切です。

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腎不全の老犬が食べない時は?

腎不全の老犬が食べないという状況は非常に多いです。

こうした場合は、腎臓の数値が急上昇している可能性もありますので、一度動物病院に連れていき、血液検査をしてもらうようにしましょう。

また脱水により、ご飯を食べれない場合もありますので、皮下点滴をしてあげると良いです。

病院に連れていき、特に何も異常がない場合は、おうちでのご飯に工夫が必要です。

ご飯を食べやすくするためには、以下のような点を普段の食事に取り入れてみてください。

  • ドライフードをふやかしてみる
  • ウェットフードに変更してみる
  • トッピングする
  • 肉の茹で汁をフードに加えてみる
     

フードをふやかしたり、ウェットフードを使ったりすることでご飯の匂いを増すことができます。

老犬は嗅覚が鈍りなかなか匂いを感じとれないことがありますので、ご飯の匂いを増すことで食欲が刺激できる場合があります。

また、歯の痛みや顎の筋力の低下によりご飯を食べれない可能性もありますので注意が必要です。

硬いフードを控えて柔らかいご飯を与えるようにしましょう。

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老犬が腎不全にならないように、食事や水分補給には気をつけよう!

本記事では、老犬の腎不全について解説してきました。

腎不全は、犬が高齢になってくると発生する確率が上昇してきます。

食欲不振やさまざまな症状が認められ、飼い主さんとしては、心配となりますが、飼い主さんが自宅でできる治療法や予防法はたくさんあります。

飼い主さんは、本記事を参考に老犬の腎不全を悪化させないような生活を心がけていきましょう。

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