トイプードルを病気から守る上で必要なワクチン。
ワクチンを接種しなきゃいけないこと自体は知っていても、時期や頻度等、詳細についてご存知でない方も多いのでは無いでしょうか?
この記事では、一番最初に接種をする「混合ワクチン」について詳細に解説をしています。
トイプードルに必要な混合ワクチンのポイント
トイプードルの子犬を迎えてから最初に行う予防接種が混合ワクチンです。
まずは、子犬を迎えるときに、混合ワクチンに関して覚えておきたい重要なポイントをまとめておきます。
- 生後42〜56日の間に1回目のワクチンを接種
1. 接種状況をブリーダーやペットショップ店員に確認
2. 接種していた場合には、引渡日はワクチン接種日から3日ほど間を空けた方がベター
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その後3〜4週間おきに2回目と3回目のワクチンを接種
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以降は獣医師と相談しながら、年単位で定期的に接種
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副作用発現のリスクもあるので、接種後は20〜30分程度は病院内で待機・様子見し、その後も1日様子を見ておく。接種当日は体調を万全にして、午前中に接種する
重要なポイントは以上です。こちらを是非覚えておいて下さい。
これから各項目について詳細をみていきます。
なぜトイプードルを飼うのにワクチンが必要なの?
ジステンバーやパルボウィルス、パラインフルエンザなど、世の中にはトイプードルの命を脅かす病気が多数あります。
あなたのワンちゃんがこれらの病気にかかってしまうのはとても怖いことですよね。
こういった病気にかかるのを防いでくれるのがワクチンであり、100%防げるという保障はありませんが、予防のために接種が望ましいというのが理由です。
特に子犬のうちはまだ免疫力が強くありません。
子犬を迎えてからバタバタしていたので、うっかりワクチンを接種するのを忘れてしまった、なんてことが無い様に決まった時期にしっかりとワクチンを打っておきましょう。
トイプードルのワクチンの副作用と対応方法
ここで、よく不安視されがちなワクチンの副作用の話をしておきましょう。少し長くなりますが重要な点だと思いますので、説明しておきます。
ワクチン接種に関する事務局の見解
重大な病気から守ってくれるワクチンですが、副作用もあり、最悪の場合は死に至ることもあります。
ではワクチンは接種しない方が良いのでしょうか。
結論としては、ワクチンの効能と副作用を比較すると、接種頻度や内容には気をつけなければならないが、統計的にはワクチンを接種した方が望ましいのではないかと考えています。
ワクチン接種の是非については、様々な意見があります。
何をもとに判断すればいいか迷ってしまうかと思います。獣医療は専門性の高い分野であるため、一般人の私たちが判断するのはとても難しいです。
そこで、こんな時はデータや数字で確認してみましょう。
数字で見るワクチンの副作用と病気の比較
まずはワクチンの副作用をみてみましょう。
日本小動物獣医師会の調査では,ワクチン接種により約200頭に1頭で何らかの副作用があり、約3万頭に1頭が死亡するという結果が出ています。
別の調査では、世界小動物獣医師会によると、アメリカの大型グループのデータベースによると1万頭のうち38頭が接種後3日以内に非常に軽微なものも含めて影響があったという報告があります。
(出典:公益社団法人日本獣医学会)
対して、病気の発症率や死亡率はどうなっているのでしょうか。
混合ワクチンの対象であるジステンバーで見てみましょう。
一般社団法人日本臨床獣医学フォーラムによるとジステンバーの発病率は25〜75%、感染した時の死亡率が 50〜90%とされており、非常に恐ろしい病気です。
(出典:一般社団法人日本臨床獣医学フォーラム)
一概に比較することが出来るものでもないかもしれませんが、2の死亡率で比べてみると圧倒的にジステンバーの方が高いことが分かります。
混合ワクチンはジステンバー以外にも多数の病気に対応しています。
副作用の危険性について十分理解した上で冷静な判断を
ワクチンの副作用も確かに怖い数値ではありますが、ワクチンを接種しないと病気にかかってしまう確率は格段に上がります。
そのため、接種した場合と接種しない場合の死亡率という数値で比べると、接種した方が死亡率は低い、と言えるのではないでしょうか。
人間だってインフルエンザに始まり、破傷風、はしか等、ワクチンを接種しており、「副作用が怖いから私はワクチンを打たない」という方は少数派だと思います。
過度にワクチンの副作用を恐れるのではなく、副作用の危険性について十分に理解した上で、副作用があった時に冷静に対処する、という姿勢が結果的にワンちゃんを危険から救えることもあるのではないでしょうか。
最終的には皆さん自身が納得のいく結論を出してください
専門的な領域で判断が難しい部分であり、最終的には皆さん自身が納得された結論を出すべきだと思います。
ですが、数字で比較して判断する、という方法ならば納得できる方も多いと思いますので、上記の内容を頭に留めておいて頂ければと思います。
副作用のリスクがあるため、ワクチン接種時に気をつけたいこと
副作用の論点について説明してきましたが、いずれにしても接種する時には、以下の点に注意しましょう。
- 接種後は20〜30分程度は病院内で待機し、様子を見ておく
- 午前中に接種し、その後も1日様子を見ておく
- 接種当日はワンちゃんの体調が万全な状態で望む
ワクチン摂取後にぐったりしているのは大丈夫?副作用が起きた時の対応方法
※わんちゃんの普段の様子や違いを一番よくご存知なのは飼い主様自身です。飼い主さん自身が気になったら病院に行きましょう。
ワクチンの副作用でぐったりしていたり元気がなさそうなくらいであれば、病院での注射に対する緊張やストレスで疲れている可能性も高いので、様子を見ていて大丈夫です。
ただし顔が晴れてしまったり、発熱や嘔吐・歯茎が白くなる・強く震え出すといった症状がでてしまったら要注意です。
これらの症状はワクチン摂取後から1~2日程度の間で出ることがありますので、1~2日間は丁寧に様子を見てあげるようにしましょう。
【ワクチンの副作用で起こりうる代表的な症状】
・嘔吐
・下痢
・発熱や痛み
・呼吸が早くなる・呼吸困難
・痙攣・震え
トイプードルに適したワクチン接種のタイミングと頻度
トイプードルの子犬は生後42〜56日(6週齢から8週齢)の間に1回目のワクチンを接種して、その後3〜4週間おきに2回目と3回目のワクチンを接種します。
何で接種する時期が決まっているの?病気を予防するためにワクチンが必要なのに、何で産まれてから時間を空けて接種するの?早く接種した方が良いんじゃないの?という疑問がわきませんか?
実は産まれて直ぐの子犬は母犬の初乳を飲むことで免疫を得ています。
ワクチンを接種しなくてもその免疫によって病気から身を守ることが出来るのです。
しかし、いずれはその免疫も無くなってしまうので、無くなったタイミングで接種をする必要があります。
子犬の時にワクチンを複数回接種するのには理由があった
ワクチンを接種する時期については免疫がなくなるタイミングだという理由でした。
そして、短い期間で複数回ワクチンを接種するのにも免疫と関係した理由があります。
まず、複数回ワクチンを打っているのは、それぞれ別種類のワクチンを打っているわけではありません。
同じワクチンを何度も打っています。
何でそんなことをする必要があるのか、と思うかもしれません。
これは母犬からの免疫がなくなる時期に個体差があることと関係しています。
母犬からの免疫を持った状態では、免疫がワクチンの働きを妨げてしまうことがあり、その場合病気から身を守ることが出来なくなってしまいます。
そういった事態を防ぐために、3回同じワクチンを打って、確実にワクチンの効果を得られる様にしているのです。
なお、ワクチンの効果の有無を検査で調べる方法もありますが、複数回ワクチンを打つ方が時間もお金もかからないので、ワクチン接種プログラムとして一般的な手法となっています。
トイプードルを迎える時にワクチン摂取状況を必ず確認しよう
1回目のワクチンはブリーダーさんやペットショップの店員さんに接種の状況を確認しましょう。
先ほど説明した通り1回目のワクチンの生後42〜56日の間が目安なので、子犬の引渡日と時期が重なってしまう可能性があるためです。
また、接種後3日ほどは安静にしておいた方が良いので、引渡日を決めるときはブリーダーさんと相談しながら決めましょう。
トイプードルのワクチン接種が終わった後は定期的な接種を
子犬の時期のワクチンは上記の通りですが、その後も定期的に接種していくことが望ましいので、しっかりと対応しましょう。
最初の接種時期は、子犬の時の3回目の接種の1年後にまずは追加接種(「ブースター」といいます)を行います。
その後の頻度については、意見が分かれる部分でもあるため、獣医師さんに相談しながら決めましょう。
ワクチンの年1回の接種は多いのか?
日本には年1回の接種が望ましいと言われることが多い様ですが、世界小動物獣医師会のワクチネーションガイドラインではコアワクチン(犬ジステンパー、犬アデノウイルス、 犬パルボウイルス)は少なくとも3年間は間隔を空けた方が良く、それ以外のノンコアワクチンは個々の状況に応じて必要な個体のみ1年おきの接種がよいとされています。
ガイドラインには、20年以上前の研究成果をもとに規定された製剤添付文書に1年毎という推奨があったため、コアワクチンについても1年毎の再接種が推奨されてきた、ということも記載されています。
実際に欧米ではコアワクチンは3年おきに接種されています。
しかしながら、ワクチン製剤の種類が欧米とは異なることと地域差による病気の発生状況にも差異があるため、一概に世界小動物獣医師会のワクチネーションガイドラインをそのまま当てはめていいとは言い切れないという見解もあるそうです。
地域の状況を踏まえて接種内容を検討してくれる獣医師さんもいる様です。
地域の状況やワンちゃんの状況について、獣医師さんと話し合って納得した上で接種回数を決めましょう。
トイプードルの混合ワクチンの種類と費用
混合ワクチンには3種や5種など、いくつか種類があります。一体どれを接種すれば良いのでしょうか。
結論としては、全てのワンちゃんに共通した決まった答えはありません。どの種類のワクチンを接種すればいいか獣医師さんに相談しながら決めましょう。
お住まいの地域やワンちゃんの環境(キャンプや登山によく連れて行く、ドッグランに行く等)によってどこまで接種すればよいかが変わる、というのが理由です。年齢を重ねていくにつれて種類を変更する等、ワンちゃんのライフサイクルも考慮して検討しましょう。
それぞれの混合ワクチンの違いをみていきましょう。
3種や5種などの違いは文字通り3種であれば3種類の病気に対するワクチン、5種であれば5種類の病気に退位するワクチンということです。まとめると以下の様になります。
2種 |
5種 |
6種 |
8種 |
9種 |
|
犬ジステンパー |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
犬パルボウィルス感染症 |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
犬アデノウイルス感染症 |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
|
犬伝染性肝炎 |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
|
犬パラインフルエンザ |
◯ |
◯ |
◯ |
◯ |
|
犬コロナウィルス |
◯ |
◯ |
|||
犬レプトスピラ感染症(2種類) |
◯ |
◯ |
世界小動物獣医師会のワクチネーションガイドラインでは表の上から3種類(ジステンバー、パルボウィルス、アデノウィルス)を状況にかかわらず全ての犬が接種すべきコアワクチンと位置付けています。
トイプードルの混合ワクチンの費用は?
混合ワクチンの費用は地域や動物病院によって差があるので、決まった値段はありませんが、5,000円〜1万円の範囲が多い様です。
病院によって変わるだけでなく、5種と8種では料金が違うなど、種類によっても変わるのでかかりつけの動物病院に聞いてみましょう。
トイプードルのコアワクチンのプログラム(ご参考まで)
ワクチンを打つと決めた場合、生後1年間の間で、3.4回程度のワクチンを打つと先ほど説明しました。ここでは、参考程度としながらも、「プログラム」の形でもう少し詳しくワクチンを打つ場合のスケジュールを確認しておきましょう。
1回目のワクチンでは、生後およそ6週目から7週目あたりで打つことが多いです。
母親から引き継いでいた移行抗体が体内で少なくなるタイミングで1回目のワクチンを打ちます。
2回目のワクチンは、第1回のワクチン投与からおよそ1ヶ月後に打ちます。
前回の投与で十分な抗体ができないないことが多いため、間隔を空けずに2回目の投与を行います。
3回目のワクチンは、2回目の投与からさらに1ヶ月後に打ちます。
このころには体内でもある程度の抗体が生成されており、16齢週となるこのころに最後のワクチンを打ちます。
また、例外として「ブースターワクチン」を打つ場合もあります。
初年度のワクチン投与を行なってもなお、抗体のできていない可能性があるワンちゃんに対して確実に抗体を持たせることを目的とした投与です。
最後の投与の後の血液検査で、免疫がしっかりとついていることが確認されていれば、ブースターワクチンは必要ありません。
トイプードルの混合ワクチンに関するまとめ
いかがでしたか?混合ワクチンについて理解が進みましたか?
最後に冒頭に説明した重要ポイントをもう一度記載します。
-
生後42〜56日の間に1回目のワクチンを接種
1. 接種状況をブリーダーやペットショップ店員に確認
2. 接種していた場合には、引渡日はワクチン接種日から3日ほど間を空けた方がベター
- その後3〜4週間おきに2回目と3回目のワクチンを接種
- 以降は獣医師と相談しながら、年単位で定期的に接種
- 副作用発現のリスクもあるので、接種後は20〜30分程度は病院内で待機・様子見し、その後も1日様子を見ておく。接種当日は体調を万全にして、午前中に接種する
本日は是非ともこちらを覚えてもらえればと思います。
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