犬たちと暮らしていると飼い主さんの食べ物は犬たちにとって美味しそうに見えたり、飼い主さんも美味しいものを共有したいと感じるタイミングが多くあるでしょう。
しかし、中には犬には食べさせるべきでない食べ物も多くあります。
その中の一つがピーナッツです。 なぜピーナッツを与えてはいけないのでしょうか。
また万が一、誤食してしまったらどうしたらよいのでしょうか。
愛犬にピーナッツを食べさせない方がいい理由
ピーナッツを食べてはいけないことがわかったらなぜいけないかということを理解することが大切です。
犬たちの体の作りや大きさはもちろん人間と異なります。
飼い主さんとして自分たちとの違いも含めてきちんと理由を知っておいてあげましょう。
食べさせない方が良い
犬がピーナッツを食べないほうがいい理由は主に以下のとおりです。
消化に悪い 脂肪分が多い まず消化に悪いという点ですが、切り裂く歯を持っているため、あまりすり潰さずに細かくして飲み込む習性を持っています。
犬の食べ方では硬いピーナッツは、消化器に到達して充分に消化されず、消化器に負担を与えてしまう危険性が高いです。
大量に食べてしまった場合であれば、できるだけすぐに吐かせるなどの処置をしたほうがその後に消化器にかかってしまうであろう負担を軽減できる可能性があります。
また、脂肪分を多く含むピーナッツは脂質の代謝や消化に多くの負担をかけます。
膵炎などの消化器疾患につながる危険性が高く、そこまで至らなくても下痢や嘔吐などの消化器症状につながる危険性が高いです。
食べてしまった場合は消化器症状に注意しながら様子を見てあげてください。
ピーナッツの加工品
ピーナッツの加工品としてミックスナッツ、ピーナッツチョコ、ピーナッツバターなどが挙げられます。
もちろん加工品も与えてはいけません。
加工品には犬にとっては過剰な塩分や糖分、そしてピーナッツチョコに関しては犬が口にしてしまうと中毒を起こす危険性のあるチョコレートが含まれています。
中毒の危険性や、摂取による肥満など健康を害する危険があるため、加工品であっても与えてはいけません。
美味しそうな雰囲気でつい愛犬が盗み食いをしようと狙っているかもしれません。
与えてしまうだけでなく盗み食いで食べてしまわぬよう注意しましょう。
愛犬がピーナッツを食べるとおこる症状
犬の体には負担をかけてしまうピーナッツですが、実際食べてしまうとどのような症状が現れるのでしょうか。
口にしてしまった場合の、経過観察のためにも、起こり得る症状や変化について知っておくことが大切です。
アレルギー
ピーナッツは大豆と同じマメ科の植物です。
犬の中には大豆にアレルギー反応を示す子もいます。
そのような子が口にした場合、同様にアレルギー反応を示すことがあります。
よく知られる皮膚炎のような症状や、アレルギー性の腸炎を起こすことにより下痢や嘔吐を示す場合があるため、特に大豆がアレルゲンである子は口にしないよう注意が必要です。
肥満
脂質を多く含むピーナッツは、体質によって消化器症状やアレルギー反応などの問題が無かったとしても、多く口にすることで肥満につながる危険性があります。
犬の小さな体では過剰に脂質を摂取することで肥満につながる危険性があり、肥満になることで内臓や骨格などに負担がかかるため、健康上の問題が現れることが多いです。
ピーナッツは他の食材と異なり、中毒を示すような成分が含まれないため、消化器症状などが見られない体質の犬も稀にいて、その場合に問題無いと考え与えてしまうこともあります。
しかし、少量でも肥満の原因になってしまう危険性があるためおすすめできません。
下痢や軟便
硬いピーナッツは消化器に負担を与えます。
体質など個体差はありますが、摂取することで消化器に負担がかかり、消化不良などを起こす可能性があります。
その場合、下痢や軟便が見られるケースが多いです。
お腹を休めたり、ひどい場合は適切な投薬をする必要があります。 状態をよく観察して、受診を検討しましょう。
食べすぎると膵炎の原因に
過剰に脂質を摂取すると、脂質の消化吸収に関連する膵臓に負担がかかり膵炎につながる危険性があります。
膵炎になると、激しい下痢や嘔吐を繰り返し、脱水症状を起こしたり、栄養吸収も難しくなるため衰弱して死につながる危険が高く、速やかな処置が必要です。
下痢や嘔吐の頻度や程度が激しい場合は速やかに受診をしましょう。
犬のピーナッツの致死量
正確な体重に応じた致死量というのが明らかにされておらず、反応に個体差があるため、明確にこの程度の量食べてしまうと危険ということが難しいです。
また、消化器症状だけでなく、大豆と同じマメ科であるピーナッツに対して、大豆のアレルギーを持つ子はアレルギー反応を示す場合もあります。
口にしてしまった場合は普段との変化がないか注意深く観察しましょう。
ただし、その子の体質などによっては数粒であっても消化器症状などの症状が出る可能性があり、ピーナッツを口にした後に消化器症状が出たり、食欲不振などの変化が見られた場合はすぐに受診した方が安心と言えるでしょう。
愛犬がピーナッツを食べてしまった時の対処方法
食べてはいけないピーナッツを食べてしまったことがわかって、飼い主さんはパニックになってしまうケースが多いです。
慌ててしまうと、冷静に判断できず、するべきことが出来ずに状態がさらに悪くなってしまうこともあります。
何をすべきか知っておくことは大切です。
いつ、どのくらい食べたか記録する
まずは起こったことを整理しましょう。
いつ、どのくらいを犬が食べてしまったのか確認をします。
実際にピーナッツがあった場所が荒らされていても、いたずらをしただけで食べていないこともあります。
状況をしっかりと確認することが大切で、このことを受診時に伝えることがとても有意義な情報になります。
また、吐かせる処置が必要になった場合も、だいたい食べてから1時間程度であれば処置して吐かせることが出来ますが、それ以上たって腸まで食べ物が移行してしまうと、吐かせることが難しいケースが多いです。
そのため、受診する上でもいつ食べてしまったかということをきちんと伝える必要があります。
病院へ連れて行く
吐かせる処置や下痢や嘔吐に対する処置などは、病院でしてもらう必要があります。
軽度であれば様子を見る形でも良いですが、明らかに症状がある場合や大量に食べてしまったなどの場合、すぐに病院への受診をご検討いただくことをおすすめします。
ただし、突然連れて行っても混雑していたり、すぐに診てもらえない場合もあると思うので、まず状況を整理してから動物病院へ電話をかけましょう。
受診できるタイミングを確認します。
また、診察時間外である場合もあるため、緊急時に診察してもらえる動物病院も探しておくと、夜間などかかりつけの動物病院が受診できない場合に慌てずに済むでしょう。
愛犬がピーナッツを食べてしまった時の病院での対処方法
動物病院を受診した場合、どのような処置をするかご存知ですか?
何を行うか全く知らずに受診するよりも、行われる可能性のある処置をある程度知っておくだけでも少し安心できます。
血液検査
まずは消化器の状態など、現在の全身状態を把握するために血液検査をする必要があります。
採血を行い検査を行います。 状態に応じて、点滴や注射の種類も異なります。
この際に今までかかったことのない病院の場合、持病がある際は事前に伝えたほうが、今回のピーナッツの誤食によるものなのか、もともとの変化なのかという見分けがつけやすくなることが多いです。
催吐処置
食べてしまってから1時間程度の場合、まだ腸管まで至っていない可能性が高く、催吐処置と呼ばれる薬によって人為的に吐かせる処置が有効です。
大量に食べてしまったり、マメ科の植物のアレルギーが有ることがすでにわかっている場合などは食べて間もなければ吐かせる処置を行っても良いかもしれません。
ただし、吐かせる処置の必要性に関しては、全身状態や食べた量などの説明を受けて獣医師が判断するケースが一般的です。
吐かせる処置が有効な場合に、手遅れにならないように、速やかに受診もしくは連絡をするとより有意義です。
症状に応じた処置
チョコレートやたまねぎなどのように中毒につながる明確な毒性を持つ食品と異なり、ピーナッツは消化器に負担をかけたり、犬の体質で症状につながるケースが多いです。
現れた症状が体に負担をかけてしまうため、症状に応じた処置をして軽減させてあげる必要があります。
軽度の症状であっても長期間続くと体力も消耗し、全身状態が悪化する可能性が高いです。
その場合は様子を見ずに数日など症状が続くのであれば受診を検討することをおすすめします。
現れている症状を確認し、受診時に正確に伝えましょう。
軽度の症状の処置であれば費用も数千円程度で済むこともありますが、症状が重度であれば複数種類の処置を行い数万円等の診療費になる可能性もあります。
入院
症状がひどく、家庭での投薬や食事管理などのケアが難しいようであれば入院が必要になるケースもあります。
症状が酷いケースなどは獣医師が入院の必要性を判断することが一般的ですが、仕事などで留守がちです。
普段をする人がいない等の不安がある場合はその旨を診察の際に伝えることで、通院するのか入院するのか適した選択肢を選んでもらえる可能性が高いです。
ただし、入院の場合食事や投薬などの管理も院内ですべて行ってもらうことになるので、通院よりも診療費用が高額になる可能性があります。
危険な食べ物を避ける方法
食べてしまった対処法や起こり得る変化についてお話させていただきましたが、一番良いのは危険とされる食べ物が愛犬の口に入ることの無いよう、飼い主さんサイドも注意する必要があります。
愛犬が危険な食品を食べてしまわないよう、どのようなことを注意して生活したらよいのでしょうか。
生活環境を整える
まずはどんな状態であっても、危険な食べ物を犬が見つけて興味を示したり、いたずらをしないような環境を作ることが大切です。
危険な食べ物は開かないように工夫した扉の奥にしまったり、絶対に届かない高さの場所にしまう、思い蓋をして開けられないようにするなどの工夫をする必要があります。
特に留守番をさせる家庭では、人目の無い時にトラブルが起きないよう、飼い主さんも配慮してあげましょう。
しつけを行う
犬が好奇心に任せていたずらをしないよう、盗み食いや誤食をしている時に見付けたら制止したり、行動を制御したりすることもしつけによって行なうことが可能になります。
全く飼い主さんの言うことを聞かない子であれば、取り上げようとすると怒ったり、慌てて飲み込んだりとトラブルにつながる危険性があります。
「待て」や「離せ」などで口にしていても飲み込まなかったり、飼い主さんに渡すなどの行動が取れたら、愛犬の行動を制御できる可能性が高いでしょう。
本能的に取られそうになったり、飼い主さんが慌てると、犬は攻撃をしたり、逆に離すまいと咥えたり飲み込んでしまうことが多いです。
普段から愛犬の行動を制御できるようしつけをすることは大切です。
ストレスをためない
日常の体力の発散が不充分な場合などに、持て余してしまい、いたずらや問題行動を起こしてしまうことがあります。
愛犬の体力に応じてストレスをためないよう、発散させてあげることが大切です。
発散のために必要なのは散歩による体力の消耗だけではありません。
室内で一緒におもちゃで遊んであげたり、一人で遊ぶときに知育玩具で頭を使いながら遊ぶことも、発散の一つになり得ます。
愛犬の性格を把握したうえで、飼い主さんの生活も考えたうえで適した発散方法を見付けられると理想的です。
飼い主さんが危険な食べ物を見直す
愛犬が口にしては危険という食べ物を正しく理解することも不可欠です。
実は家族の誰かが危険な食べ物という認識なく与えてしまっていたというケースもあります。
飼い主さんや家族の共通認識として、何が危険な食べ物なのかということを確認し、与えないようにすることを徹底したり、愛犬が簡単に眼にしていたずらが出来ないような場所に置かないよう配慮したりするようにしましょう。
家族全員で情報を共有することで、万が一口にしてしまったときも、みんなで注意していれば、より発見も早くなります。
ピーナッツ以外に食べてはいけないもの
ピーナッツは犬の体にとって良くないとお話しましたが、他にも気をつけなければいけない食べ物があります。
食べてはいけないものを知っておくことは大切です。
ぶどう
犬が食べてはいけない食べ物で有名なものの一つがぶどうです。
ぶどうの何の成分が有害かということはまだ判明していませんが、急性の腎不全につながり死に至る可能性もあって危険です。
ぶどうの種類にかかわらず、また生のぶどうであっても干しぶどうであっても、少量で中毒を起こす可能性が高い為、注意しましょう。
【獣医師監修】愛犬にぶどうを食べさせないで!致死量や食べてしまった場合の処置も!
チョコレート
チョコレート中毒も有名なので知っている飼い主さんは多いと思います。
チョコレートの原料であるカカオ豆に含まれるテオブロミンという成分が神経や循環器に影響を与えます。
そのため、カカオを高濃度に含んだチョコレートなどはとくにちゅういが必要です。
痙攣や心臓発作などの中毒症状は死につながる危険性が高いので、口にしてしまったら速やかに受診をしましょう。
【獣医師監修】犬にチョコレートはダメ!致死量や食べてしまった時の対処など
玉ねぎ
玉ねぎ中毒も、血色素尿とよばれる赤っぽいおしっこが出ることでよく知られています。
玉ねぎが含むチオスルフィン酸化合物という成分やアリシンという成分が赤血球を破壊し、貧血や血色素尿につながります。
大量に摂取するともちろん致死量となり危険ですが、体質によっては少量でも症状が強く出る場合もあります。
口にしてしまったら早めに受診するよう心がけましょう。
レモン
レモンもピーナッツと同様に、中毒を起こすような成分は含まれていません。
しかし、強い酸味や刺激で消化器に負担を与える危険性があります。
ビタミンCは犬の体にも有意義な成分ですが、レモンからではなくドッグフードに含まれているものやサプリメントなどで摂取するようにしましょう。
ねぎ
玉ねぎと同じ成分を含むねぎも同様に食べさせてはいけない食べ物です。
玉ねぎ中毒を引き起こします。
他にも同様に同じ成分を含むのがにら、にんにく、らっきょうなどで注意が必要です。
野菜そのものだけでなく、原料として料理に加えられていることが多い野菜でもあるので、盗み食いでも口にしないよう注意してあげてください。
コーヒー
コーヒーも含まれるカフェインが中毒症状につながり得る危険な食べ物です。
嘔吐や下痢、痙攣、呼吸が速くなるなどの異常が神経や循環器、消化器を害した結果起こります。
高用量では死に至る危険もあり、注意が必要です。
コーヒーやコーヒー豆をあえて与えることは少ないかもしれませんが、部屋に置いてあるものをいたずらしたり誤食してしまうケースはあり得ます。
口にしないよう気を付けてあげましょう。
ブルーベリー
アントシアニンなど、犬の体にとっても有意義な成分を持つことで知られるブルーベリーですが、与え方によっては犬にとって毒となる場合もあります。
体質によって個体差はありますが、アレルギー症状を示したり、消化器症状を示す場合もあります。
また、大量に与えることによって消化器への負担をかけてしまい、消化不良を起こすこともあるので注意が必要です。
愛犬にピーナッツを食べさせないで!食べたらすぐ病院へ!
おいしいものを共有したい、良かれと思って与えた場合でも、実際は害を与えるもので愛犬を苦しめてしまうこともあります。
誤って食べてしまった場合は迅速な受診の検討が必要になることもあるので、冷静に対処できるよう普段から正しく理解しておくこと、シミュレーションしておくことも大切です。
食べていいものや悪いものについて、正しい知識を持ったうえで、食の楽しみを共有出来たらいいですね。