ヨークシャーテリアは、小型の愛玩犬として非常に人気が高い犬種です。
世間でその名を知られるマルチーズやポメラニアンと並んで、座敷犬として選ばれやすい犬種だと言えるでしょう。
とても賢くて飼い主になつきやすい犬種ですが、ヨークシャーテリア特有の身体の弱点もあり、飼う際には気を付けなければならないことが幾つかあります。
ヨークシャーテリアの歴史に触れながら、その魅力を保つために必要なポイントやドッグフードの選び方について詳しく説明しましょう。
ヨークシャーテリアの歴史とご飯の関係性
ヨークシャーテリアは、19世紀に英国のヨークシャー州で、人家や倉庫に住み着いたネズミを駆除するために作られた犬種です。
元々は、滑らかな直毛ではなく、針金のように硬いぼさぼさの被毛を持ち、労働者階級の飼い犬として扱われていました。
当時は体も大きく、体重5キロ以上のヨークシャーテリアも少なくなかったと言われています。
その後、小型化と被毛の改善が施され、上流階級の愛玩犬として飼われるようになりました。
その愛くるしさから次第に愛犬家の間で人気を博し、「動く宝石」と呼ばれるほど、高価で取り引きされるようになったのです。
ヨークシャーテリアを日本人が飼うようになったのは、終戦をむかえた1945年以降で、1960年代から始まった高度経済成長期に人気が高まり、ルチーズやポメラニアンとともに多くの愛犬家に飼育されるようになりました。
ヨークシャーテリアの先祖はネズミを狩る際に丸ごと呑み込んでいた狩猟犬であることから、動物性タンパクを特に好む傾向があります。
ドッグフードを選ぶ際にもこうした嗜好性を考慮する必要があります。
ヨークシャーテリアのドッグフードは良質なタンパク質があるものを
タンパク質は、犬の骨・筋肉・内臓のほか、皮膚や被毛の健康に欠かせない栄養素というだけでなく、代謝や免疫を高める作用があります。
ヨークシャーテリアには、その歴史的背景に加え、健康維持や艶のある被毛の保持を考えて、タンパク質が豊富なドッグフードを選ばなければなりません。
成分表示に、20パーセントから30パーセントのタンパク質を含むと記載されているドッグフードを探すようにしましょう。
ネズミを狩っていたヨークシャーテリアには、タンパク質のうちでも、消化しやすく嗜好性も高い動物性タンパクが望ましいと言えます。
ドッグフードには、チキンやビーフなどの動物性タンパクを豊富に含有するものがあります。
小型犬のヨークシャーテリアは、食欲が旺盛でなく、フードを選り好みする傾向が見られますが、動物性タンパクの多いドッグフードなら、喜んで食べてくれるでしょう。
また、できる限り穀物を原材料として使用していないグレインフリーのドッグフードを選ぶようにしましょう。
先ほども説明した通り、犬は本来肉食の動物などで、身体の構造上、穀物を消化しにくい作りになっています。
なので、無理に与えてしまうと消化の際に内臓の各器官に大きな負担を与えてしまいます。
少量でも必要なタンパク質が摂れるフードを選ぶことが大切です。
ヨークシャーテリアは関節が弱い!?フードで補えるの?
ヨークシャーテリアは、骨が華奢で特に関節を傷めやすい犬種です。
ドッグフードの食べ過ぎで体重過多になると、膝関節などを傷めるおそれがあります。
高カロリーのドッグフードを与えすぎないよう、飼い主はドッグフードの選び方に注意しましょう。
また、ヨークシャテリアは活発に走り回るので、激しく動き過ぎて関節の故障を引き起こすこともあります。
特に、高所から飛び降りると、関節に強い負担がかかり、脱臼などの怪我をすることが少なくありません。
それから、怪我をしなくても、先天性の要因や歩き方のクセによって関節の異常を起こしやすいため、日頃から愛犬の歩き方などに気を付けることが必要です。
いつもと違うぎこちない歩き方をしている場合や、膝ががくがくと震えているような際には、関節の異常を疑わなければなりません。
ヨークシャーテリアに多い関節障害として、膝蓋骨脱臼が挙げられます。
膝蓋骨脱臼は、膝蓋骨と呼ばれる後ろ足の膝の皿が元の場所から外れてしまうものです。
膝蓋骨脱臼になると、歩行障害に陥り、ひどい場合は外科手術を施さなければならないでしょう。
初期段階では、ヨークシャーテリアに症状らしい症状が見られず、いつの間にか治ってしまうことが珍しくありません。
しかし、中には自然治癒することなく、膝蓋骨脱臼を引き起こした足を浮かせて歩くようになることがあります。
この段階では、飼い主が犬の足を曲げたり伸ばしたりするだけで、元通りになることが多いです。
それでも治癒しない場合は、脱臼癖が付いてしまっており、足を引きずって歩いたり、しゃがんだ姿勢のまま歩こうとしたりする現象がみられるようになります。
さらに放置すると、脱臼した状態が固定化し骨が変形してしまうでしょう。
こうなると、もはや外科手術を施しても完治は容易ではなく、歩行自体が困難になってしまいます。
このような膝蓋骨脱臼の予防のためには、早期発見が大切ですが、日頃からドッグフードの選び方にも気を付けなければなりません。
コンドロイチンやグルコサミンといった関節を強くする成分を多く含有するドッグフードを選びましょう。
ヨークシャーテリアの毛艶をよくするには○○が必要!
ヨークシャーテリアの魅力は、その美しい毛艶にあると言っても過言ではありません。
シルクのような光沢を持つ繊細な被毛を保つには、様々なケアが必要です。
まず、毛艶を良くする栄養素を摂らなければなりません。
身体のエネルギー源となり、身体の機能の正常化を図る不飽和脂肪酸のうち、多価不飽和脂肪酸と呼ばれるオメガ3とオメガ6が、毛艶を良くする成分と言われています。
オメガ3は亜麻仁油やえごま油に多く含まれており、オメガ6はグレープシードオイル・コーン油といったサラダ油や胡麻油に含有されています。
オメガ3とオメガ6は、両方をバランス良く摂取することが大切で、どちらか一方に偏っては、美しい毛艶を保つことができません。
そこで、こうした成分が両方含まれるドッグフードを選びましょう。
オメガ3とオメガ6が含有されていないドッグフードには、少量の亜麻仁油や胡麻油を加えて与えるだけでもかまいません。
また、定期的にブラッシングやシャンプーを使った洗毛も重要です。
ヨークシャーテリアの被毛は、長く伸びるため、放っておくとほつれて絡まったり、固い毛玉になったりするでしょう。
ブラッシングをかけシャンプーで洗うことによって、被毛を清潔に保ち、毛艶を美しく保つことができます。
ヨークシャーテリアの健康を保ち毛艶をよくするドッグフードを選ぼう
ヨークシャーテリアは、その美しい毛艶が特徴ですが、これを維持するには不飽和脂肪酸のオメガ3とオメガ6といった栄養素の補給が欠かせません。
また、関節が弱いヨークシャーテリアの健康を保つうえで、コンドロイチンやグルコサミンを多く含むドッグフードを選ぶなど適切な配慮が重要です。
いずれにしても、良質なタンパク質を与えることが大切で、ヨークシャーテリアの好みや消化の良さを考慮して、動物性タンパクを多く含有するドッグフードを与えるようにしましょう。