結論:老犬がご飯を食べなくても、すぐに余命が近いとは限りません。この記事で説明しているように、便秘や歯の痛み、嗅覚の衰えなど家庭で対処できる原因もあります。まず水を飲めているか、元気や排便の様子を確認し、何日も食べない、水も飲まない、嘔吐や下痢・震えがある場合は早めに動物病院を受診してください。体調が落ち着いていれば、ごはんを人肌程度に温めて香りを立てる、水分が多くやわらかいフードに変える、といった工夫を試せます。ココグルメの主食5メニューは水分約70〜75%の総合栄養食で、7歳以上・体重4kgの犬なら1日約191〜239gが目安です。詳しくはシニア犬のごはんにまとめています。
老犬がご飯を食べなくなると、「もう長くないのでは」「何日食べなくても大丈夫なの?」と不安になる飼い主さんは多いのではないでしょうか。
先にお伝えすると、老犬がご飯を食べないからといって、余命が近いとは限りません。歯の痛みや便秘、病気など、治療や工夫でまた食べられるようになる原因も多くあります。老犬や持病のある子は、半日〜1日まったく食べない時点で動物病院に相談し、水も飲まない・吐く・ぐったりしている時は、時間を待たずに受診してください。水を飲めていても安心とは言い切れませんが、受診して原因を確かめながら、家ではごはんを温める・やわらかくする・少量ずつ回数を分けるといった工夫ができます。
この記事では、余命と食欲の関係、何日食べないと危ないか、水を飲む時・飲まない時の違い、痩せてきた時や寝たきりの時の与え方、最期が近い時のサインと看取りについて、順番にお伝えします。食べない原因と対策をくわしく知りたい方は「老犬がご飯を食べない時の原因と対策」もご覧ください。
老犬がご飯を食べないのは余命が近いのか

年をとった愛犬がご飯を食べないと、理由がわからないぶん「余命が近いのでは」と感じてしまうかもしれません。けれども、食べないことだけで、余命が近いかどうかを家で判断することはできません。
食べない原因は、治療や工夫で良くなるものも多い
老犬の食欲が落ちる理由には、歯周病や口内炎などの口の痛み、便秘、嗅覚の衰え、関節の痛みで器の前に立つのがつらい、内臓の病気、環境の変化によるストレスなど、さまざまなものがあります。中には、治療やごはんの工夫で、また食べられるようになる原因も少なくありません。
老衰で最期が近づいた時にも、食べる量が少しずつ減り、水も飲まなくなっていくことがあります。ただ、それが老衰によるものか、治療できる病気によるものかは、診察を受けないとわかりません。インターネットの体験談(知恵袋など)では「食べなくなって○日で…」という声も見かけますが、病気や体の状態によって大きく違うため、愛犬に当てはめる目安にはなりません。「年だから仕方ない」と様子を見続けず、まずはかかりつけの動物病院に相談しましょう。
ただお腹が空いていないだけの時も
高齢になると運動量が減り、消化の働きも若いころより落ちる傾向があります。腸の動きが少なくなって便秘になったり、胃や腸に便や食べたものが残っていたりして、お腹が空いていないだけのこともあります。
食欲がない時は、ここ数日〜1週間の排便の回数と便の量を振り返ってみてください。食べた量に見合う便が出ていたか、便が出なかった日はなかったかを確かめ、思い当たる時は動物病院で腸の中に残る便や食べ物の状態を調べてもらい、便を出しやすくする処置などを相談しましょう。
老犬は何日ご飯を食べなくても大丈夫?受診の目安
「犬は何日食べなくても大丈夫?」「何日もつの?」と気になるかもしれませんが、「何日までなら大丈夫」という日数はありません。年齢や体格、持病、水を飲めているかによって、体への負担は大きく変わるからです。特に老犬は体の蓄えや体力の余裕が少なく、食べない状態が続くと体力が落ち、それがさらに食欲を落とすという悪循環に陥りやすくなります。
「何日で餓死するのか」と日数を数えて待つのではなく、次の表を動物病院に相談するタイミングの目安にしてください。いずれも一般的な目安です。迷った時は、早めに電話で相談してかまいません。
| 愛犬の様子 | 相談・受診の目安 |
|---|---|
| 元気な成犬で、ほかに気になる様子がない | 丸1日(24時間)以上まったく食べない、または2日続けて食べる量が半分以下なら相談する |
| 老犬・子犬、持病(腎臓病・糖尿病・心臓病など)がある | 半日〜1日まったく食べない時点で相談する |
| 水も飲まない | 時間を待たずにすぐ受診する |
| 吐く・下痢をしている | 時間を待たずにすぐ受診する |
| ぐったりしている・震えている | 時間を待たずにすぐ受診する |
| 呼吸が苦しそう(荒い・浅く速い) | 時間を待たずにすぐ受診する |
| おしっこが出ない・極端に少ない | 時間を待たずにすぐ受診する |
糖尿病などで毎日治療を受けている子が食べない時は、いつもの治療をそのまま続けてよいか、すぐにかかりつけ医に確認してください。病院では、食べない原因を調べたうえで、脱水や栄養の補給などの処置をすることがあります。
何日もご飯を食べない時は病院へ
何日もご飯を食べないと体力が消耗し、食欲不振の原因になっている体の異常が進んでしまうこともあります。老犬は様子を見る期間が長くなるほど命に関わる危険が高くなるため、日数を待たずに受診して、検査を受けることが大切です。
受診の時に次のことを伝えられると、問診がスムーズに進みます。家族の間で様子を共有し、病院に連れて行く人が獣医師に伝えられるよう、ノートやスマートフォンにメモしておくと安心です。
- いつから、どのくらい食べていないか(食べた物と量)
- 水を飲んだ量
- おしっこと便の回数・量・色
- 吐いた回数、下痢の有無
- 元気の様子、体重の変化
- 飲んでいる薬やサプリメント
水は飲むのにご飯を食べない時・水も飲まない時
「ご飯は食べないけれど水は飲む」のか「水も飲まない」のかで、急ぐ度合いは変わります。水を飲めていることは、体に水分が入っているという点では一つの安心材料ですが、余命や病気の有無を判断する材料にはなりません。
| 様子 | 考えられること | 家での対応・受診 |
|---|---|---|
| 水は飲む・元気もある | 口の痛み、便秘、嗅覚の衰え、ごはんが食べにくいなど | 温める・やわらかくするなどの工夫を試す。老犬は半日〜1日まったく食べなければ相談する |
| 水をいつもより多く飲む・おしっこが多い | 腎臓病や糖尿病など、内臓の病気が隠れていることがある | 食べないことと合わせて、早めに受診する |
| 水は飲むが、飲んだあとに吐く | 胃腸の不調や、ほかの病気 | 時間を待たずに受診する |
| 水も飲まない | 食事からも水分がとれず、脱水が進みやすい | 時間を待たずにすぐ受診する |
| 水も飲まず、ぐったりしている・おしっこが出ない | 脱水や腎臓の働きの低下などで、全身の状態が悪くなっている | すぐに受診する(夜間は夜間救急の動物病院へ) |
水も飲めない状態が続くと、脱水につながるおそれがあります。脱水が進むと、歯ぐきが乾いてネバつく、首の後ろの皮膚をつまんで離すと戻りが遅い、目が落ちくぼんで見える、おしっこが少なく色が濃い、といった様子が見られます。こうしたサインがある時は、すぐに受診してください。
水を飲む量が少ない子は、ドライフードをぬるま湯でふやかす、水分の多いごはんにする、寝床のそばに水の器を置くといった工夫で、水分をとりやすくなります。ただし、シリンジやスポイトで無理に水を口に入れると、気管に入る(誤嚥する)危険があります。自力で飲めない時は、与え方を獣医師に相談してください。飲ませる工夫は「犬が水を飲まない時の対処法|必要な量・原因・飲ませる工夫と病院に行く目安」にまとめています。
痩せてガリガリになってきた時・寝たきりで食べない時

痩せてきた(ガリガリになってきた)時は
老犬は筋肉が落ちやすく、年齢とともに体つきが細くなることがあります。ただ、体重が減り続けている時は、年のせいだけとは限りません。食べる量が減って痩せている場合だけでなく、食べているのに痩せていく場合も、腎臓病や糖尿病、腫瘍などの病気が隠れていることがあります。
家では週に1回ほど体重を量り、背骨や腰の骨、あばら骨が以前より浮き出ていないか触って確かめましょう。体重が減り続けている、背骨やあばら骨が目立ってきた時は、動物病院で原因を調べてもらってください。痩せてきたからといって余命が短いと決まるわけではなく、原因によっては治療や食事の見直しで体重を保てることもあります。少ししか食べられない子は、1日の量を3〜4回に分けると食べやすくなります。
寝たきりで食べない時の与え方
寝たきりの老犬は、自分で器まで行けなかったり、飲み込む力が弱くなっていたりして、食べにくくなっています。横に寝たままの姿勢で口に入れると、食べ物や水が気管に入る「誤嚥」を起こしやすく、誤嚥性肺炎につながることもあります。次の点に気をつけましょう。
- 体を起こして与える:伏せの姿勢(胸を下にした姿勢)にして、クッションやタオルで体を支え、頭が胸より少し高くなるようにします。
- 少量ずつ、飲み込んだのを確かめてから次を:スプーンや指先で少しずつ口元に運び、飲み込んだのを見てから次をあげます。
- やわらかく、まとまりのある形に:ペースト状やおかゆ状にすると飲み込みやすくなります。液体のようなサラサラしたものは、姿勢によってはむせやすいので注意します。
- 食後しばらくは体を起こしたままに:食べてすぐに横にすると、吐き戻しや誤嚥の原因になります。
- 嫌がる時は無理に押し込まない:顔をそむける、口を閉じる時に無理に食べさせると、誤嚥や食事嫌いにつながります。
シリンジ(針のない注射器)で口に流し込む強制給餌は、誤嚥の危険があります。必要かどうか、どのくらいの量をどう与えるかは、かかりつけの獣医師に相談し、やり方を教わってから行ってください。
流動食や介護食を使う時は
噛む力や飲み込む力が弱くなった老犬には、やわらかい介護食や、液体状の流動食を使うことがあります。流動食になったからといって、余命が近いと決まるわけではありません。流動食や介護食は、今の体の状態で無理なく食べられるように形を変えたものです。どのタイプが合うか、療法食が必要かは、かかりつけの獣医師と相談して選びましょう。介護食の種類と選び方は「愛犬の介護食、流動食のおすすめを解説!シニアおすすめの介護食も」で紹介しています。
ご飯を食べない老犬にしてあげられること

年をとった愛犬がご飯を食べないと、飼い主さんも心配でしょう。受診して原因を確かめたうえで、または受診までの間に、家でできる工夫を紹介します。どれも、体調が落ち着いていて、水を飲めていることが前提です。
ご飯を人肌に温めてあげる
ごはんを食べない理由の一つに、嗅覚などの五感の変化があります。ごはんのおいしさを左右する大きな要素が嗅覚です。高齢で嗅覚が衰えたり、慢性的な鼻炎で匂いを感じにくくなったりすると、フードの匂いがわかりにくくなり、食欲が落ちることがあります。
そんな時は、ごはんを温めると香りが立ち、食欲がわいてくることもあります。温めすぎるとやけどの危険があるので、与える前に人肌程度になっているか必ず確かめましょう。温め方は「犬のご飯は温めると食べる?適温・電子レンジの注意点とフード別の温め方、冬に食べない時の工夫」で解説しています。
香りの強いものを少しだけトッピングする
消化機能の低下などで、いつもと同じ食事ではおいしそうに感じず、食欲が落ちているのかもしれません。少しでも食べたくなるように、茹でた鶏肉や魚など香りの強いものを少しだけトッピングするのも一つの方法です。愛犬の好きな風味をいくつか見つけて日替わりにすると、ごはんの時間の楽しみにもなります。量が多いと栄養が偏るので少量にとどめ、持病で食事制限がある子は、かかりつけ医に相談してからにしましょう。
トッピングのコツは「愛犬がドッグフードを食べない理由とは?トッピングなどの対処法も!」、おやつしか食べない時は「犬がご飯を食べないのにおやつは食べるのはなぜ?わがままと病気の見分け方・直し方・老犬の対処法」、手作りのごはんは「老犬に手作りご飯を与えるコツや簡単なレシピを紹介!NGな食材も」が参考になります。
やわらかくする・ふやかす・ウェットフードに変える
歯周病など口の中の環境の変化や消化機能の低下で、硬いごはんが食べにくくなっていることもあります。ドライフードはぬるま湯でふやかし、水分を多く含むやわらかいウェットフードに変えるのもおすすめです。温めた時に香りが立ちやすく、食事から水分もとれるのがメリットです。
ただし、水分の多いフードは温度や空気に触れると傷みやすいので、開封後はメーカーが指示する保存方法を守り、食べ残しは早めに片づけましょう。ふやかし方は「老犬がドライフード食べない意外な理由とは?ふやかす等の対策も」で紹介しています。
少量を回数多く与える
一度にたくさん食べられない子は、1日の量を3〜4回に分けると食べやすくなります。置きっぱなしにすると傷みやすいので、食べなかった分は片づけて、次の時間に新しく用意しましょう。
食器の高さと姿勢を整える(介護)
体力の低下で、ごはんを食べるという動作そのものが難しくなっていることもあります。首を大きく下げずに食べられるよう、食器を台にのせて高さを合わせたり、食べやすい形の器に変えたりすると、体への負担が減ります。ふらつく子は体を支えてあげたり、手でひと口ずつ与えたりするのもよいでしょう。
どのような方法が合うか判断が難しい時は、愛犬の今の状態をよく知るかかりつけの獣医師に相談すると、よいアドバイスがもらえるかもしれません。
食べた量・水・おしっこ・便・体重を記録する
病気で体の中に変化が起こると、気持ち悪さなどから食欲が落ちることがあります。食欲の低下は、老犬にとって体力の消耗に直結しやすいサインです。毎日の食べた量、水を飲んだ量、おしっこと便の様子、週1回の体重を記録しておくと、小さな変化に早く気づけて、病気の早期発見と早めの対処につながります。受診の時にも、そのまま獣医師に見せられます。
老犬の栄養補給に向く食材や食事台などのグッズは「【獣医師監修】食欲復活!食べない老犬の栄養補給に良いご飯は?不振の理由や解決策は」で紹介しています。
食べやすいごはんの選び方

食が細くなった老犬には、今の体の状態で食べやすいごはんを選ぶことも大切です。選ぶ時は、次のポイントを目安にしましょう。
| ポイント | 選び方の目安 |
|---|---|
| やわらかさ | 歯や口が痛い子、噛む力が落ちた子には、やわらかいもの。ドライフードはぬるま湯でふやかす |
| 水分 | 水をあまり飲まない子は、水分の多いウェットタイプやフレッシュタイプにすると、食事から水分もとれる |
| 香り | 嗅覚が衰えた子には、温めると香りが立ちやすいもの |
| 粒・具材の大きさ | 小さめの粒や、口の中でほぐれる大きさのもの。丸飲みしやすい子は細かくする |
| 栄養 | 主食にするなら「総合栄養食」と表示されたもの。療法食を食べている子は、かかりつけ医に相談してから変える |
| 量と回数 | 1回で食べきれる量に小分けにし、1日の量を3〜4回に分ける |
ごはんを変える時は、いきなり全部を替えずに、今のごはんに少しずつ混ぜて、1〜2週間ほどかけて割合を増やすと、お腹への負担を減らせます。食いつきが悪い時のフードの選び方は「食いつきが悪い時の高齢犬・老犬のドッグフードの選び方・与え方」、カリカリは食べないのにウェットは食べる子は「犬がカリカリを食べないのにウェットは食べるのはなぜ?原因の早見表と試す順番の7つの対策・受診の目安」も参考にしてください。
食が細くなった老犬に、温めると香りが立ちやすいやわらかいごはんを
急に食べなくなった時は、まず受診を。そのうえで、ごはんを食べやすくしたい時の選択肢の一つが、獣医師監修の手作りドッグフード「ココグルメ」です。肉や魚と野菜を加熱しただけの手作り品質で、総合栄養食の基準(AAFCO2016)を満たした冷凍のフレッシュドッグフードです。水分を約70〜75%含むやわらかいごはんで、温めると香りが立ちやすく、具材は小型犬でも食べやすい大きさです。酸化防止剤・発色剤・pH調整剤・保存料・着色料・調味料・香料の7つの添加物は使っていません。1袋100gの小分けで、いつものフードに少しずつ混ぜて切り替えられます。お弁当やお惣菜をつくる調理工場で一つ一つ丁寧に作っています。シニア向けの量は食事量計算で、シニア犬のごはんについてはシニア犬のごはんで確認できます。今なら送料無料980円で試せます(単品の買い切り・15日間の全額返金保証付き)。
老犬が死につながる可能性のある兆候
愛犬が年をとると、いつも頭の片隅に「お別れ」のことがある飼い主さんも多いのではないでしょうか。愛犬と少しでも長く一緒にいたい気持ちは、どの飼い主さんも同じです。
ここでは、特に気をつけたい、命に関わる可能性のあるサインをまとめました。これらのサインがあっても、すぐに最期とは限らず、治療で落ち着くこともあります。気づいたら、まずは動物病院に相談してください。
犬の平均寿命
犬の平均寿命は、体の大きさによって異なります。大型になるほど平均寿命は短くなる傾向があり、体の大きさに対して臓器が小さいため臓器に負担がかかりやすいことや、成長のスピードの違いなど、原因は複数あるとされています。
犬種にもよりますが、
- 小型犬は大体12~15歳
- 中型犬はだいたい10~14歳くらい
- 大型犬はだいたい10~13歳くらい
と言われています。平均寿命はあくまで目安で、同じ年齢でも体の状態は一頭一頭違います。詳しくは「犬の寿命はどのくらい?愛犬の寿命を伸ばす方法も解説!」をご覧ください。
最期が近い時に見られることがあるサイン【早見表】
| サイン | 考えられること | 家での対応・受診 |
|---|---|---|
| 食欲がなくなる | 消化機能や口の中の変化のほか、病気で食べない日が続くと栄養が足りず、体力を保てなくなる | 温める・やわらかくするなどの工夫を試す。老犬は半日〜1日まったく食べなければ相談する |
| 呼吸が乱れる | 心臓や呼吸の働きの変化で、酸素を十分に取り込めていない | すぐ受診する。呼吸器や心臓の持病がある子は、自宅用の酸素の準備をかかりつけ医と相談しておく |
| 発作を起こす | 食事や水がとれず、体内の電解質(ミネラル)のバランスが崩れている | すぐ受診する |
| 体温が安定しない | 体温を保つためのエネルギーが足りない | 湯たんぽやペットヒーターで保温しながら受診する |
| 身体の震え | 低血糖や電解質の異常、低体温など | すぐ受診する |
| 嘔吐や下痢 | 脱水や栄養不足が重なり、悪循環になりやすい | できるだけ早く受診する |
| 乏尿や欠尿(おしっこが少ない・出ない) | 全身の脱水や、腎臓の働きの低下 | 家でのケアでは改善しにくい。すぐ受診する |
食欲がなくなる
食欲の低下は、体調のわかりやすいバロメーターです。消化機能の低下や口の中の環境の変化、食の好みの変化などで、年齢とともに食欲が少しずつ落ちることはあります。
しかし、病気が原因で食べない日が数日続いたり、食べる量が明らかに減って少ししか栄養がとれていなかったりすると、栄養失調で体力を保てず、命に関わる危険があります。ドッグフードを食べない時の工夫は「愛犬がドッグフードを食べない原因と5つの対策!ご飯の食いつきを改善させる方法」でも紹介しています。
呼吸が乱れる
心臓の働きの問題や呼吸の働きの変化で、呼吸が荒くなったり、浅く速くなったりすることがあります。この呼吸の変化は、体が酸素を十分に取り込めていないために起こっている変化と言えるでしょう。
犬にとっても苦しい状態である可能性が高く、酸素を吸わせるなどの処置で負担を軽くしてあげる必要があるかもしれません。すぐに受診し、もともと呼吸器や心臓の持病がある子は、自宅用の酸素吸入器の導入などを前もってかかりつけ医と相談しておくとよいでしょう。くわしくは「犬の呼吸が荒いときの対処法!病院に連れて行く場合も解説」をご覧ください。
発作を起こす
ごはんや水が十分にとれなくなると、栄養失調はもちろん、体内の電解質(ミネラル)のバランスが崩れることがあります。ミネラルのバランスが変わると、神経の伝わり方などがうまく調整できなくなり、発作のような震えや神経の症状、意識がぼんやりするといった様子が見られることがあります。病院では、電解質の状態を調べたうえで、補正するための点滴などを行うことがあります。
体温が安定しない

ごはんを食べることは、体力を保つだけでなく、体のさまざまな働きに使うエネルギーをとり入れることでもあります。体温を上げて保つにもエネルギーが必要で、エネルギー源が十分でないと体温調節がうまくいかず、低体温になったり、体温が不安定になったりします。
体温を上げることにエネルギーが使われると、体力が消耗してしまう可能性があります。十分に栄養がとれていない時は、体温を保つためのエネルギーを節約できるよう、湯たんぽやペットヒーターを上手に使ってあげてください。低温やけどを防ぐため、直接肌に当てずにタオルでくるみ、暑い時に離れられる場所も作っておきましょう。
身体の震え
栄養の吸収が不十分だと、エネルギー源となる糖がうまく供給されず、低血糖と呼ばれる状態に陥ることがあります。低血糖や電解質の異常では、神経や筋肉の動きの調整がうまくいかなかったり、低体温で体を震わせて体温を上げようとしたりして、震えが見られることがあります。
震えの原因を特定し、原因に合わせた対処をすることで、震えが改善される可能性があります。すぐに受診することをおすすめします。
嘔吐や下痢
消化機能や腸の動きの低下により、嘔吐や下痢が起こることがあります。嘔吐や下痢が起こると、脱水や栄養失調による体力の低下も重なって悪循環になり、全身の状態がより悪くなりやすくなります。
若い犬であれば数日で自分の力で回復することもありますが、老犬の場合は回復する前に体力の限界を迎えてしまうおそれがあります。脱水などの症状を改善する処置を早く受けられるよう、できるだけ早めに受診しましょう。下痢については「愛犬の下痢は手作りご飯で治る?下痢の原因やおすすめドッグフードも」、嘔吐については「犬の嘔吐する原因と対処法は?すぐに病院へ行った方が良い場合も」、吐いた後のごはんは「犬が吐いた後のご飯はどうする?何時間あける・食べていいもの一覧・量と受診の目安」で解説しています。
乏尿や欠尿
全身の脱水や、腎臓の働きがうまくいかなくなることで、おしっこが少なくなったり(乏尿)、出なくなったり(欠尿)することがあります。この状態まで陥ってしまうと全身の状態は悪く、すぐに処置をしないと命に関わる可能性が高くなります。
乏尿や欠尿になった場合、家でのケアで状態を改善できる可能性は低いでしょう。すぐに受診して、脱水の程度や腎臓の働きがどの程度保たれているかを調べる検査を受けたうえで、処置をしてもらう必要があります。
老犬を看取るということ
かわいかった愛犬が年をとり、別れの時が近づいていると実感するのは、どんな飼い主さんでもつらいと思います。けれども、家族として迎えてからの間、楽しいこともたくさんあったでしょう。
最期の別れの時まで、「幸せだった」「楽しかった」という気持ちを大切に、楽しかった思い出や今までの感謝の気持ちを伝えられるように、後悔のないよう看取りまでの時間を大切にしていただけたらと思います。
かかりつけ医と相談しておきたいこと
食べない状態が続く時や持病が進んできた時は、かかりつけの獣医師と次のようなことを話し合っておくと、いざという時に迷いにくくなります。
- どこまで検査や治療をするか
- 痛みや苦しさをやわらげるケア(緩和ケア)をどう進めるか
- 家で過ごす時の食事や水の与え方
- 急に具合が悪くなった時の連絡先(夜間に診てもらえる動物病院など)
家族の間でも、愛犬がいちばん穏やかに過ごせる方法を話し合っておきましょう。食べられない日があっても、ご自身を責める必要はありません。好きな場所で過ごさせ、声をかけたり、やさしくなでたりする時間も、愛犬にとって大切なケアです。
ご飯を食べない老犬のケアでよくある質問
老犬がご飯を食べないのは、余命が近いサインですか?
必ずしもそうとは限りません。歯や口の痛み、便秘、嗅覚の衰え、病気など、治療や工夫でまた食べられるようになる原因も多く、余命が近いかどうかは家では判断できません。老犬や持病のある子は、半日〜1日まったく食べない時点で動物病院に相談し、水も飲まない、吐く、ぐったりしているといった様子があれば、時間を待たずに受診してください。
老犬がご飯を食べない時、何日で動物病院に行くべきですか?
「何日までなら大丈夫」という日数はありません。元気な成犬でも、丸1日(24時間)以上まったく食べない、または2日続けて食べる量が半分以下なら相談するのが目安です。老犬や子犬、腎臓病・糖尿病・心臓病などの持病がある子は、半日〜1日まったく食べない時点で相談しましょう。水も飲まない、吐く・下痢をする、ぐったりしている、震える、呼吸が苦しそう、おしっこが出ないといった時は、時間を待たずにすぐ受診してください。
水は飲むのにご飯を食べない老犬は、余命が近いのでしょうか?
水を飲めていることだけでは、余命が近いかどうかはわかりません。口の痛みや便秘など家で工夫できる原因のこともあれば、水をいつもより多く飲んでいる場合は、腎臓病や糖尿病などが隠れていることもあります。水を飲めていても、老犬が半日〜1日まったく食べない時は動物病院に相談し、水を飲んだあとに吐く時は、時間を待たずに受診してください。
老犬の死が近い兆候にはどのようなものがありますか?
食欲が全くなくなることの他に、呼吸が乱れる、発作を起こす、体温が不安定になる、震えが止まらない、嘔吐や下痢を繰り返す、尿が出なくなるなどの症状が見られる場合は、危険なサインである可能性が高いです。ただし、こうしたサインがあっても治療で落ち着くこともあるので、気づいたらすぐに動物病院を受診してください。
老犬が痩せてガリガリになってきました。余命が短いということですか?
痩せてきたことだけで、余命が短いとは決まりません。ただし、体重が減り続けている時は年のせいだけとは限らず、食べる量が減っている場合も、食べているのに痩せていく場合も、病気が隠れていることがあります。週に1回ほど体重を量り、減り続けている時や、背骨やあばら骨が目立ってきた時は、動物病院で原因を調べてもらいましょう。
寝たきりの老犬がご飯を食べない時は、どう与えればいいですか?
伏せの姿勢にしてクッションなどで体を支え、頭が胸より少し高くなるようにしてから、やわらかいごはんを少量ずつ口元に運び、飲み込んだのを確かめて次をあげます。横に寝たまま与えると誤嚥しやすいので避け、食後もしばらく体を起こしておきましょう。シリンジで口に流し込む強制給餌は誤嚥の危険があるため、必ず獣医師に方法を相談してから行ってください。
流動食しか食べられなくなったら、余命が近いということですか?
流動食になったからといって、余命が近いと決まるわけではありません。流動食や介護食は、噛む力や飲み込む力が弱くなった子が、今の体の状態で無理なく食べられるように形を変えたものです。どのタイプが合うか、療法食が必要かは、かかりつけの獣医師と相談して選びましょう。
ご飯を食べない老犬に、飼い主として何ができますか?
体調が落ち着いていれば、まずはご飯を人肌に温めて香りを立たせ、食欲を刺激してみましょう。香りの強いものを少しトッピングする、ドライフードをふやかしたり、やわらかいウェットフードに変えたりする、1日の量を3〜4回に分ける、食器の高さを合わせるといった工夫もできます。食べた量や水、おしっこ、便、体重を記録しておくと、受診の時に役立ちます。それでも食べられない時は、かかりつけの獣医師に相談してください。
老犬が一度に少ししか食べません。1日の量と回数はどう考えればいいですか?
7歳以上の犬は、成犬期より1日に必要なエネルギーが少なくなります。ココグルメの食事量計算機では「70×体重(kg)の0.75乗×1.4」(成犬は×1.6)で1日のエネルギー量を計算し、体重4kg(避妊・去勢済み・理想体型)のシニア犬なら1日約191〜239gが目安です。一度に食べきれないときは、1日の量を3〜4回に分けると食べやすくなります。量が減ったまま体重も落ちてくる場合は、かかりつけの獣医師に相談してください。計算は食事量計算機でできます。
水をあまり飲まない老犬に、ごはんから水分をとらせる方法はありますか?
水分10%以下のドライフードは、ぬるま湯でふやかすと食事から水分をとりやすくなります。水分を多く含むウェットタイプやフレッシュタイプに変える方法もあり、ココグルメの主食5メニューは水分約70〜75%です。ただし、本文のとおり水も飲めない状態が続くと脱水につながるおそれがあるため、ごはんの工夫だけで様子を見ずに、早めに受診してください。
冷凍のごはんを老犬に与えるときは、どう準備すればいいですか?
翌日に与える分を冷凍庫から冷蔵庫(10℃以下)に移してゆっくり解凍しておくと、食事の時間にすぐ与えられます。急ぐときは、沸騰させて火を止めたお湯に袋ごと1〜2分浸すか、500Wの電子レンジで90秒ほど(100gの場合)温め、人肌程度に冷ましてから与えます。ココグルメは冷凍(-18℃以下)で製造日から約1年半保存でき、冷蔵庫に移したあとは未開封で7日以内が目安です。手順はココグルメの正しい食べ方にまとめています。
まとめ:食べない=余命が近いとは限らない。日数を待たずに早めの相談を
老犬がご飯を食べなくても、すぐに余命が近いとは限りません。口の痛みや便秘、病気など、治療や工夫でまた食べられるようになる原因も多くあります。「何日なら大丈夫」という日数はないので、老犬や持病のある子は半日〜1日まったく食べない時点で相談し、水も飲まない・吐く・ぐったりしている・おしっこが出ない時は、すぐに受診してください。
家では、ごはんを人肌に温める、やわらかくする、少量ずつ回数を分ける、食器の高さを合わせるといった工夫をしながら、食べた量や水、体重を記録しておきましょう。最期が近いかもしれないと感じた時も、かかりつけの獣医師と相談しながら、愛犬が穏やかに過ごせる時間を大切にしてください。