犬の肝臓数値を下げるには、低脂肪で水分豊富な食事や野菜、肝臓に優しいドッグフードを選んで与えることが効果的です。
肝臓は犬の体内で重要な役割を果たす臓器であり、適切な食事管理が肝臓ケアのカギとなります。
肝疾患のリスクを軽減するためには、バランスの取れたごはんやサプリメントの活用も考慮に入れましょう。愛犬の肝臓を守るための注意点と、おすすめの食材について詳しくご紹介します。
愛犬の肝臓に良い食材
愛犬の肝臓に良い食材はどういったものがあるのでしょうか?
飼い主さんは、肝臓に良い成分を与えて愛犬の肝臓を守っていくことが大切です。ここからは、愛犬の肝臓に良い食材を紹介していきます。
キャベツ
キャベツは、ビタミンCやビタミンKを含んでいる他、抗酸化作用を持つフラボノイドやペルオキシダーゼなど発がんを防止する成分が豊富に含まれています。
さらに、キャベツは、肝臓内の余分な脂肪を排除し、肝臓の機能を高める働きを持っていますので、ぜひ肝機能が弱っている愛犬に食べさせてあげたい野菜です。
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パセリ
パセリには、βカロテンと呼ばれる抗酸化作用を持った栄養素が含まれています。
抗酸化作用は、肝疾患の炎症による組織傷害を抑える効果を持っているため、肝疾患を患っている子にパセリはおすすめです。
普段の食事に少しトッピングすることでも摂取できるのでぜひ取り入れていきましょう。
レバー
レバーは、良質なタンパク質を含み、ビタミンAやビタミンB群、鉄分、亜鉛などを豊富に含んでいます。
タンパク質を制限する必要がある様な肝疾患の場合には控えた方が良いですが、制限する必要のない子には良質なタンパク源となり、さらにビタミンB群が肝臓のエネルギー代謝を補助してくれるためおすすめです。
納豆
納豆は、タンパク質の消化吸収率が高く、肝臓への負担を抑えつつ窒素源を吸収することができます。
また、ビタミンB12の様な肝臓での代謝をサポートするビタミンを含むので、愛犬の肝機能のサポートにぜひおすすめです。
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ウコン
ウコンには、肝機能向上効果と胆汁分泌促進効果があることが知られており、肝機能が弱っている愛犬に使ってあげたい食材です。
生のウコンは、苦味があるためサプリメントなどで摂取してあげることをおすすめします。
ごま
ごまは、セサミンと呼ばれる強い抗酸化作用を持つ成分を含んでおり、活性酸素により組織が傷害されることを防ぎます。
その他、ビタミンB群などのビタミンを含んでおり、肝臓でのエネルギー代謝をサポートしてくれます。
ごまは、犬にとって消化されにくい食物なので、しっかり潰したすりごまを与えるなどして下痢を起こさないように注意しましょう。
愛犬の肝臓に優しい食事やできること
肝臓は、体内でのエネルギー代謝や、解毒、胆汁の生成など重要な役割を担っている臓器です。
肝臓に優しい食事を心がけることで肝臓の負担を減らし、愛犬のQOLを高めることに繋がります。
ここからは、どのような食事が肝臓に優しい食事になるのか、解説していきます。
低脂肪食
脂肪はエネルギー源として重要な成分でありますが、脂肪摂取量が過剰になると、余った脂肪は一旦肝臓に蓄えられます。
動物は、エネルギーが必要な時にこの蓄えを使用して、エネルギー補充を行っていますが、脂質の含有量が多い食事を普段から与えていると肝臓に負担がかかってしまい、肝機能を低下させる原因になります。
なるべく、低脂肪の食事を与えるようにしましょう。
水分の多い食事
肝臓病に限らず、さまざまな病気でも水分をたくさん取ることは、血流を良くし栄養や老廃物の流れをスムーズにし、免疫機能をあげることに繋がります。
犬の中には、水分を自分から摂取しようとしない子もいるので、そういう子には水分補給といった目的で水分量の多い食事を与える様にしましょう。
野菜や果物の多い食事
野菜や果物には、多量のビタミン、ミネラルが含まれています。
特に野菜や果物に多く含まれているビタミンAやビタミンC、ビタミンE、βカロテンなどは抗酸化作用を持つ成分として知られており、肝疾患による炎症の影響を抑えてくれる働きがあります。
また、ビタミンB群は肝臓のエネルギー代謝を補助する役割を持っているので肝臓の働きが低下している場合には、ぜひ摂取したいビタミンです。
療法食
肝疾患により肝機能が低下している子に獣医師がおすすめするのが療法食です。
肝臓療法食は、肝機能が低下している子に向けられて作られており、タンパク質制限やビタミン、ミネラル、アミノ酸をバランスよく含んでいます。
しかし、療法食を獣医師の指導なしに愛犬に食べさせることはおすすめできません。
しっかりと検査して、肝機能低下があるのか、高アンモニア血症はあるかどうか、本当にタンパク質を制限する必要があるのかどうかを明確にしてから獣医師の指導のもと、与えてあげるようにしましょう。
食事量を調整する
食後の肝臓への負担を考えると、一回の食事量はなるべく少なめにしてあげることが重要なポイントになります。
しかし、食事量を減らすと必要カロリーを摂取することができなくなりますので、その分食事回数を増やすことが必要です。
少量頻回の食事で、肝臓への負担を最小に抑えつつ、必要カロリーを摂取していきましょう。
BCAAの補給できる食事
BCAAとは、必須アミノ酸であるバリン、ロイシン、イソロイシンのことです。
タンパク質を制限する必要があるような肝疾患を患っている子では、タンパク質から供給される窒素源が不足しがちになります。
BCAAは、タンパク質が分解されたアミノ酸の状態であり、肝臓に負担をかけることなく身体に窒素源を供給することができるため、肝疾患を患っている子には、ぜひ与えてあげたい栄養素です。
カルニチンの補給ができる食事
加齢や肝機能が低下している子では、脂質をエネルギーに変換するカルニチンと呼ばれるアミノ酸が合成できず、欠乏することが知られています。
カルニチンが欠乏すると、肥満傾向に陥ったり、心臓病を発症したりするリスクも高まります。
肝機能が低下している症例では、しっかりとカルニチンを補給することが大切です。
重度の肝臓病には低タンパク食
肝臓は、タンパク質が消化されることで、産生されたアンモニアという毒素を解毒する働きを持っています。
しかし、肝臓の機能が低下している場合には、アンモニアを解毒することがなかなかできず、体内でアンモニア毒素が上昇しさまざまな症状を引き起こします。
そのため、肝臓の機能が低下している場合には、タンパク質の含有量を制限した食事をおすすめします。
しかし、肝機能が正常であり、体内のアンモニア毒素が上昇していない状態では、肝臓に栄養を届けるためにも良質なタンパク質を摂取すべきです。
タンパク質を制限するかどうかは、しっかりとした検査を行い獣医師の判断に従いましょう。
獣医師が薦める愛犬のおすすめ肝臓ケアサプリメント
食事を変更すると食べなくなってしまう、またはお腹を壊してしまうといった子にも普段の食事に少しサプリメントを加えてあげるだけで肝臓をケアすることができます。
ここからは、愛犬におすすめの肝臓ケアサプリメントを紹介します。
犬用の肝臓健康サプリ「犬用毎日良肝」
BCAAやウコン、亜鉛、オルニチンなど肝臓に良い成分がバランスよく含まれているサプリになります。
また、チキンフレーバーでお薬が苦手な子でも飲みやすいサプリになってますのでぜひ愛犬の肝臓が気になる方は試してみてください。
ベジタブルサポート ドクタープラス ホエイダブレット
BCAAを多量に含んでいるホエイタンパク質が使用されており、肝臓だけでなく筋肉の維持にも効果を発揮します。
その他にも、野菜のβカロテンやビタミン、ミネラルなど抗酸化作用を持つ成分を多量に含んでるので肝臓の炎症などを抑えてくれる働きもあります。
リバフィット S 30粒
活性酸素や毒素から肝臓を保護するSLIPHOS(シリビン-ホスファチジルコリン複合体)と呼ばれる成分が含まれており、肝機能の維持に役立ちます。
また、体重ごとに分割できるように割線が入っているのも与えやすく非常に良い点です。
チキンフレーバーなので、嗜好性が高く飲みやすいサプリになっています。
愛犬の肝臓が悪い時に気をつけるべき食事の注意点
愛犬の肝臓が悪い時にどういった点に気をつければいいかわからない飼い主さんがほとんどだと思います。
ここからは、肝臓が悪い時の食事の注意点について解説していきます。
塩分を摂りすぎない
肝臓の機能が弱っている場合、血液中のアルブミンと呼ばれるタンパク質を産生することができなくなり、腹水やむくみが出てくることがあります。
こうした状況下で、塩分を摂取しすぎると体の中から水分が排出されづらくなり、状態悪化を助長する可能性があります。
そのため、愛犬の肝機能が弱っている場合は、塩分を摂取しすぎないようにしましょう。
歯磨きをしっかりしてあげる
実は肝疾患と歯周病は関連していると言われています。
実際に、臨床現場でも歯周病が重度にある犬は、肝酵素が上昇している症例が多いと思います。
これは、歯周病細菌が体の中を巡り肝臓に炎症を与えるためと考えられています。
こうした状態を防ぐためには、日々歯磨きをして愛犬のデンタルケアに努めてあげましょう。
愛犬の肝臓の役割
肝臓は、人にとっても犬にとっても、生命が活動を行っていく上でとても重要な臓器です。
ここからは、愛犬の肝臓が身体の中でどのような役割を担っているか解説します。
代謝
肝臓は、エネルギー代謝の場です。
体内に吸収された栄養素は、肝臓に運ばれて必要な分のみエネルギーに変換されていきます。
さらに余った栄養素は適切な形に変換され肝臓に貯蔵され、必要となった時にエネルギーに変換されていきます。
このように、体の中のエネルギー代謝を担っている主な臓器が肝臓ですので、肝疾患を患い肝機能が低下している様な子ではエネルギー代謝の異常が出てくることがあります。
解毒
肝臓の大切な役割として、解毒作用が大切な役割として挙げられます。
肝臓は摂取した物質や代謝の際に生じた有毒な物質を解毒し、尿中や胆汁中に排泄していくことで体の中の健康を保っています。
特にタンパク質を代謝した時に生じるアンモニアは、肝臓で解毒されて尿素に変換され尿中に排泄されていきます。
しかし、肝機能が低下している場合であると、アンモニアをうまく解毒することができず高アンモニア血症や肝性脳症と呼ばれる痙攣発作が起きる状態になってしまいます。
胆汁生成
肝臓は、小腸で脂肪の消化を助ける胆汁を生成する場としても働きます。
この胆汁は、コレステロールを体外に排出するためにも必要な物質です。
胆汁の流れが悪くなると皮膚や目の白目の部分が黄色くなる黄疸と呼ばれる症状が出てくることがあります。
肝機能が低下していないか気になる飼い主さんは、黄疸の症状がないかどうかを日頃から確認してあげるようにしてください。
肝臓疾患の原因
肝臓疾患の原因は様々なものが考えられ、獣医師は検査所見から総合的に診断していかないといけません。
ここからは、よくある肝臓疾患の原因について紹介します。
感染症
ウイルス、細菌、寄生虫などの感染によって肝臓が傷害を受けることによって肝臓疾患にかかりやすくなります。
特に歯周病から口腔内細菌の感染やアデノウイルスによる感染による肝疾患が考えられます。
飼い主さんは、日頃から愛犬のデンタルケアや混合ワクチンの予防接種を行い病気を防いでいくことが大切です。
炎症
中毒や、自己免疫が肝臓を攻撃したり、何らかの代謝異常により肝臓に炎症が起こることがあります。
いわゆる肝炎といった状況です。
犬の肝炎は、原因不明なケースが多く確定診断するには、肝臓組織の生検など精密な検査が必要になります。
門脈体循環シャント
門脈体循環シャントは肝臓に栄養を運ぶ門脈と呼ばれる血管の奇形により、肝臓に栄養がうまく運べなくなる病気です。
この結果、肝臓の機能が低下していきます。
先天的にも起こる可能性がある病気であり、血液検査で早期発見できる可能性もありますので、健康診断を若いうちから受けてみることをおすすめします。
薬物、毒物
薬物や毒物によっても肝障害がおこる可能性があります。
肝障害を起こす物質としては、例えば「アセトアミノフェン」が挙げられます。
この「アセトアミノフェン」は、人の解熱鎮痛剤に含まれている場合があり、もし犬が摂取すると肝障害を起こす物質として知られています。
湿布にも含まれている場合もありますが、湿布は特徴的な匂いのため興味をそそられて食べてしまう犬が多い印象です。
愛犬がこのような肝障害を起こすような物質を誤食しないように注意しましょう。
内分泌性疾患
ホルモンの病気も肝臓に影響を与える場合があります。
例えば、副腎の機能が亢進する副腎皮質機能亢進症の場合は、肝腫大や肝障害が起こる可能性があります。
また、甲状腺機能低下症でも代謝の低下により胆汁の流れが悪くなり肝臓に負担がかかる場合があります。
こうしたホルモンの病気は、多飲多尿の症状や左右対称性の脱毛などの症状が認められますので気になった場合はぜひ動物病院の診察をおすすめします。
腫瘍
肝臓に腫瘍が発生した場合も、肝障害が起こります。
肝臓に腫瘤を作るものや、肝臓全体に広く浸潤しているタイプの腫瘍などさまざまな腫瘍ができる可能性があります。
定期的に検査を受けて、腫瘍の早期発見、早期治療を行うようにしましょう。
愛犬の肝臓病の症状
ここまで、犬の肝臓の役割や肝疾患の原因などを解説してきました。
肝臓は、生命の維持に大切な臓器であり、肝疾患を早期発見し治療してあげることが愛犬のQOLを維持する上で大切になります。
ここからは肝臓病が疑わしい場合の症状を解説します。
しっかりと理解して、肝疾患の早期発見を目指しましょう。
元気食欲がない
元気食欲がないという症状は、さまざまな疾患で認められますが肝疾患でも認められます。
肝臓は身体の中の代謝や消化を担っているため、肝疾患を患っている場合は食欲や元気さ、活動性が低下していくことがほとんどですので注意が必要です。
愛犬が元気食欲がない場合は、早急に動物病院に連れていくことをおすすめします。
https://coco-gourmet.com/archives/60
可視粘膜が黄色くなる
肝機能が低下してくると、口腔粘膜や、眼球の白目の部分、耳や体中の皮膚が黄色くなる黄疸と呼ばれる症状が認められます。
黄疸は、肝疾患が重度に発生している場合に認められる症状ですので、黄疸が認められた場合には緊急性があると思って、動物病院で診察を受けるようにしてください。
体重が減る
体重が減ることも、肝疾患の症状でよく認められることです。
特に慢性経過の腫瘍や肝炎などの場合は食欲も低下していますし、腫瘍や炎症に対処するため多量のエネルギーが使われていくので体重が減少していく傾向にあります。
嘔吐する
嘔吐も肝疾患でよく認められる症状です。
特に門脈体循環シャントや肝機能低下によって体内でアンモニアが増え高アンモニア血症になった場合に嘔吐を認めます。
この場合は、食欲も低下しており気持ち悪さからよだれを垂らすこともあります。
痙攣発作
痙攣も肝疾患で起こりうる症状です。
体内でアンモニアが増える高アンモニア血症や、肝機能低下による低血糖などが痙攣発作の原因として挙げられます。
こうした症状を認めた場合は、肝臓に何か疾患がある可能性が高いため注意が必要です。
日々の食事に気を配って、愛犬の肝臓を労ろう
愛犬が肝疾患を患っている場合、飼い主さんができることの一つが食事です。
本記事で紹介したドッグフード、食事を主治医と相談しつつ試してみることは、QOLを高めつつ肝臓ケアを行うことができるのでぜひ試してみてください。
また、愛犬の肝疾患を予防し早期発見するためにも定期的な検査を受けるようにしましょう。