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犬にあげていい生肉はある?選び方と食中毒リスクを解説

最終更新: 2024.09.20
犬にあげていい生肉はある?選び方と食中毒リスクを解説
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犬は、生食用に適切な処理を施された牛肉や馬肉なら食べることが可能です。

一方で豚肉や鶏肉、生食用ではない牛肉などを生で犬が食べてしまった場合、食中毒や寄生虫などによるリスクがあります。

もし愛犬が豚や鶏などの生肉を食べてしまった場合、どんな対処をすればいいのでしょうか?獣医師が詳しく解説します。

 

愛犬に生肉を食べさせても良い?

生肉の中には、愛犬に食べさせても良いものと食べさせてはいけないものがあります。

基本的に、豚肉、鶏肉、ジビエは生肉として与えてはいけません。

寄生虫感染や食中毒を引き起こす可能性があるので注意しましょう。

豚肉

生の豚肉は犬に食べさせてはいけません。 生の豚肉には、

  • 旋毛虫
  • トキソプラズマ
  • 有鉤条虫
  • サルモネラ
  • カンピロバクター

といった寄生虫や細菌が含まれている可能性が高いです。

胃腸炎などの体調不良の原因になりますので、しっかりと加熱した豚肉を与えるようにしてください。

鳥肉

生の鶏肉は、犬に与えてはいけません。

生の鶏肉には、

  • カンピロバクター
  • サルモネラ
  • 大腸菌

などの細菌が含まれている可能性があります。

特にカンピロバクターは健康な鳥の消化管にも存在し、生の鶏肉を食べてしまうと高確率で感染してしまいます。

近年、人でもカンピロバクター感染による食中毒が増加傾向ですので、犬に鶏肉を与える際にはしっかりと加熱してから与えるようにしましょう。

ジビエ

ジビエとは、鹿、イノシシ、熊、うさぎ、野鴨などの天然の野生鳥獣の肉のことです。

生のジビエには、様々な寄生虫や細菌が含まれている可能性があります。

人でも、生のイノシシや鹿肉を食べることによってE型肝炎にかかってしまうということが報告されています。

愛犬にジビエを生で与えると、様々な感染症にかかる恐れがあるので、与えない方が良いでしょう。

馬肉

生の馬肉は生食用であれば犬に与えても大丈夫です。

人間が食べるような馬刺しなら少し与えてあげても良いでしょう。

馬肉は肉類の中でも、低カロリーであるにもかかわらず良質なタンパク質を多量に含んでいるため、犬の食事におすすめの食材です。

しかし、生で与える際には、しっかりと処理した生食用のものを与えないと微生物の感染によって体調を崩す可能性があるので注意しましょう。

牛肉

牛肉も生食用のものであれば、犬に与えても大丈夫です。

しかし、牛肉も大腸菌やサルモネラ菌などを多量に含んでいる可能性があるので、適切な処理をした生食用の牛肉を与えるようにしてください。

また、牛肉は美味しい分、脂質が多く高カロリーな肉です。

消化管に負担がかかり嘔吐や下痢などの消化器症状を起こす可能性もありますので与えすぎないように注意しましょう。

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愛犬に生肉を食べさせない方がいい理由

基本的に愛犬には生肉を食べさせない方が良いです。

生肉には、寄生虫や細菌、ウイルスといった様々な病原体が付着している可能性もあります。

また、アレルギーや消化不良などの症状が現れたり、飼い主への病原体の感染源になってしまう可能性もあります。

ここからは、愛犬に生肉を食べさせない方が良い理由についてそれぞれ解説していきます。

寄生虫

生肉には、

  • トキソプラズマ
  • 旋毛虫
  • 有鉤条虫
  • サルコシスティス

などの寄生虫が存在している場合があります。

こうした寄生虫を愛犬が体内に取り込むと嘔吐、下痢のほか神経症状など様々な症状が出ることが考えられます。

愛犬が寄生虫に感染しないためにも生肉を与えることは控えてあげましょう。

細菌

生肉に含まれている細菌としては、

  • カンピロバクター
  • サルモネラ菌
  • 腸管出血性大腸菌

などが挙げられます。

こうした細菌は、しっかりと加熱することによって感染を防ぐことができます。

子犬や老犬のような免疫力が弱い犬では、細菌感染によって重症化し命を落とすこともあるので生肉は絶対に与えないようにしましょう。

ウイルス

豚や鹿肉、イノシシの肉などには、E型肝炎ウイルスをはじめとして様々なウイルスが含まれている可能性があり、注意が必要です。

ウイルスは、冷凍しても感染してしまいますので、豚肉やジビエの肉はしっかりと加熱してから与えるようにしましょう。

アレルギー

犬に生肉を食べさせることでアレルギーの影響を強く受ける可能性があります。

人でも肉の焼き加減が、アレルギーの発症頻度に影響を与えることが報告されています。

アレルギーの発症を防ぐためにも肉はしっかり加熱したものを与えるようにしましょう。

消化不良

生肉は、加熱などの調理した肉と比較して消化されづらい傾向があります。

健康な成犬では、消化機能がしっかりとしており、生肉を与えても体調を崩さないかもしれません。

しかし、子犬や7歳以上のシニア期の犬では、腸の消化機能が整っておらず生肉を食べることによって下痢や嘔吐をしてしまうかもしれません。

こういった年齢に当てはまる犬に関しては、生肉を与えない方が良いでしょう。

人への病原体の感染

犬が生肉を食べることによって、寄生虫に感染し、飼い主にも感染が広がっていく可能性があります。

また、サルモネラ菌や大腸菌などの細菌が人に感染することもあります。

愛犬だけでなく、一緒に生活する家族の健康を守るために犬に生肉は与えない方が良いでしょう。

保存期間が短い

生肉は保存期間が短く、時間が経つと細菌が増殖したり、肉質の悪化が起こります。

新鮮でない生肉を与えてしまうと、食中毒を起こし、下痢や嘔吐などの消化器症状を引き起こす可能性があります。

愛犬に肉を与える場合には、新鮮な肉を与えるかしっかりと加熱したものを与えるようにしてください。

愛犬が生の生肉を食べた時に起きる症状

愛犬が生肉を食べた時には様々な症状がおこる可能性があります。

愛犬に以下の症状が認められた場合には、生肉を食べたことによって体調を崩していることを疑いましょう。

下痢

愛犬が生肉を食べることにより、消化不良を起こすと下痢を起こすことがあります。

特に牛肉などの脂質を多く含む肉は消化管に負担をかけてしまいます。

加熱することにより、少しは脂を落とすことができますが、生の肉には多量の脂質を含んでいますので与える際には注意しましょう。

嘔吐

愛犬が生肉を食べ、消化不良を起こしている場合やなんらかの病原体に感染した場合には嘔吐が症状として現れることがあります。

生肉を食べて嘔吐してぐったりしている場合は、状態が重症化していくことがあるので注意が必要です。

もし、愛犬がしんどそうで元気がない場合は動物病院に連れて行ってあげましょう。

発熱

愛犬が生肉を食べ、なんらかの病原体に感染した場合、発熱することがあります。

細菌やウイルス感染により発熱している場合は、大腸菌やサルモネラ菌の場合は飼い主さんも感染することがありますので、排泄物や嘔吐物の処理には注意してください。

子犬や老犬などは、こうした細菌、ウイルス感染が命に関わることがありますので、体や耳を触ってみて、いつもより熱い場合には動物病院を受診してみましょう。

元気がなくなる

愛犬が生肉を食べて、元気がなくなるといった症状が認められた時にも注意が必要です。

いつもより元気がなくなるという症状は、様々な病気の初期の症状としてみられることが多いです。

ご飯を食べて、他に何も症状がないのであれば様子をみてあげても良いですが、嘔吐や下痢などの症状が認められた場合にはすぐに動物病院に連れていくようにしましょう。

生肉の与えてはいけない量

基本的には、生肉はあまりあげるべき食材ではありません。 特に、豚肉、鶏肉、ジビエは絶対に与えないようにしましょう。

牛肉や馬肉は生で与えても良いですが、ペット用や生食用を与えるようにしましょう。

以下に一日に摂取できる生肉摂取量を記載していますので参考にしてみてください。

 

犬の体重 1日の総摂取カロリー 1日に与えることのできる生肉の量
超小型犬(3kg) 290kcal 生肉(牛ひれ肉)10g
小型犬(5kg) 420kcal 生肉(牛ひれ肉)20g
中型犬(10kg) 710kcal 生肉(牛ひれ肉)32g
大型犬(30kg) 1500kcal 生肉(牛ひれ肉)72g

*健康な去勢、避妊済みの成犬の場合です。 *牛ヒレ肉の場合

愛犬が生肉を食べてしまった時の対処方法

犬に生肉を与えない方が良いことを解説してきましたが、もし愛犬が生肉を食べてしまった時はどうしたら良いのでしょうか?

ここからは犬が生肉を食べてしまった時、お家でできる対処法について解説していきます。

いつ、どのくらい食べたか記録する

生肉を食べてしまった場合には、食べた時間と量、食べた肉の種類をしっかりと記録しましょう。

こうした情報は、動物病院での検査や診断する際に非常に役立ちます。

食べた肉の種類によっては、催吐処置が必要であったり、生肉を食べてから時間が立っていると点滴治療をしなくてはいけなかったりと治療方針を立てるために非常に重要な情報になりますので、ぜひ細かく記録しておきましょう。

口の中の生肉を取り除く

口の中にまだ生肉がある場合は、取り除いてあげましょう。

この時噛まれないように注意してください。

犬は自分の食べ物を取られそうになった時には、急いで飲み込んでしまうことがあります。

慌てないように冷静に対処してあげましょう。

もし、飲み込んだ場合にもすぐに動物病院に連れて行って催吐処置をしてあげるようにしましょう。

飲み込んでしまった場合は、すぐに病院へ連れて行く

生肉を飲み込んでしまった場合には、動物病院に連れて行って催吐処置をしましょう。

吐くことができれば、食中毒などの大きな症状は出ない可能性が高いです。

もし吐くことができない場合でも、点滴治療を行ってあげた方が良いので、動物病院に連れていくようにしましょう。

愛犬が生肉を食べてしまった時の病院での対処方法

愛犬が生肉を食べてしまった時に病院で行うことができる対処法は多々あります。

ここからは、病院で行う検査や治療方法について解説していきます。

血液検査

生肉を食べてしまった場合には、血液検査で内臓に負担がかかっていないかどうかを調べます。

牛肉などは脂質が多いので、胃腸炎や膵炎になっていないかどうかをみることが多いです。

血液検査の費用としては、調べる検査項目にもよりますが、5000~8000円程度になります。

催吐処置

生肉を食べてすぐの場合や、豚肉、鶏肉、ジビエの生肉を食べてしまった場合には、催吐処置をして催吐させます。

催吐させることによって、食中毒や病原体の感染を防げる可能性が高まりますが、100%感染を予防できる訳ではありません。

催吐させても体調を崩すことがありますので、催吐処置をした後にも注意深く様子をみるようにしてあげてください。

催吐処置の費用は3000~4000円程度になります。

胃洗浄

催吐処置をしても吐かない場合や、生肉を食べて時間がたっている場合、嘔吐や下痢など激しい症状からショック症状になっている場合は胃内を綺麗に洗浄してあげることもあります。

しかし、病原体の感染が成立して身体中に感染が広がっている場合は胃洗浄の後に長期間入院が必要になる可能性があります。

費用としてはおよそ10万程度になります。

入院

生肉を食べることにより、食中毒や寄生虫に感染する場合や消化不良により下痢や嘔吐が症状として現れる場合があります。

こうした場合は、症状の重症化を防ぐために入院で点滴を流してあげます。

ほとんどの場合は、時間がたてば回復することが多いですが、あまりに重症の場合は命に関わることもありますので、生肉を食べた場合にはすぐ動物病院を受診するようにしてください。

費用は入院する日数にもよりますが、一泊あたり1~2万程度になります。

生肉のような危険な食べ物を避ける方法

生肉のように犬に食べさせてはいけないものは意外にも多いです。

美味しそうに食べるから、人間は食べれるからといった理由で安易に食べ物を犬に与えることはおすすめできません。

ここからは、犬に危険な害を与える食べ物を避ける方法を解説していますのでぜひ参考にしてみてください。

生活環境を整える

生活環境を整え、愛犬の周りに危険な食べ物を置かないようにしましょう。

食べ物は愛犬の手が届かないテーブルの上や収納にしまうことをおすすめします。

また、キッチンなどは生肉や危険な食べ物を誤食することが多いです。

このような食材が多いところには愛犬を近づけないようにしましょう。

しつけを行う

食べ物を勝手に食べたり、拾い食いをしないようにしつけをしましょう。

飼い主さんの指示があってから食事をとるようにしつけたり、床や地面に落ちているものは食べてはいけないものと教えることが大切です。

しつけは、大きくなってからはなかなか難しいので子犬の頃からしっかりと行うようにしましょう。

ストレスをためない

犬はストレスを感じると何でも食べてしまったり、ゴミ箱を荒らしてしまうことがあります。

こうした行動が愛犬が危険な食べ物を食べてしまう原因となります。

飼い主さんは犬とスキンシップをとったり遊んであげる時間を増やし、愛犬のストレスを解消してあげましょう。

飼い主さんが危険な食べ物を見直す

飼い主さんが、しっかりと犬に与えてはいけない食べ物を理解しておくことが大切です。

犬に危険な食べ物は意外にも多く、そういった情報は未だに飼い主さんには浸透していないのが現実です。

犬に害を与える危険な食べ物を知っておき、愛犬の生活環境に近づけないように努力しましょう。

次章で犬が食べてはいけない食べ物について解説していますのでぜひ参考にしてみてください。

生肉以外に食べてはいけない、食べさせない方がいいもの

生肉以外にも犬が食べてはいけないものはたくさんあります。

中には、重篤な症状があらわれるものもありますのでしっかり理解して愛犬の生活環境には近づけないようにしましょう。

ぶどう

ぶどうは犬が食べてしまうと腎障害を起こす食べ物です。

食べてから数時間で急性腎不全を発症すると命を落とす可能性もあります。

犬がぶどうを食べた場合には、すぐに動物病院に連れていきましょう。

【獣医師監修】愛犬にぶどうを食べさせないで!致死量や食べてしまった場合の処置も!

チョコレート

チョコレートは、甘みやほろ苦さがあったりと好きな人も多いと思います。

しかし、チョコレートは犬が食べてはいけない食べ物です。

チョコレートに含まれているテオブロミンと呼ばれる成分は、犬にとっては毒性物質であり心臓や神経に異常をきたしてしまうことがあります。

また、糖分も過剰に含まれているので犬は食べない方が良い食べ物です。

【獣医師監修】犬にチョコレートはダメ!致死量や食べてしまった時の対処など

玉ねぎ、ねぎ

玉ねぎに含まれているチオ硫酸化合物と呼ばれる物質は、犬が摂取すると赤血球を破壊してしまい貧血を引き起こします。

同様にニンニク、ニラ、長ネギなどのねぎ類にもアリルプロジスルフィドと呼ばれる物質が含まれており、赤血球を破壊します。

また色が濃い、茶色のようなおしっこが認められたり、腎不全を起こす可能性もあります。

他にも食欲不振や呼吸困難、下痢嘔吐なども症状として認められることもあるので、犬には絶対に与えないようにしましょう。

【獣医師監修】犬は玉ねぎを食べちゃダメ!致死量や症状を解説

コーヒー

コーヒーに含まれるカフェインは犬にとっては、有毒な物質になります。

中枢神経が刺激され興奮状態になったり、嘔吐や下痢、頻脈、呼吸促迫などの症状が認められます。

毎日コーヒー飲む方もいますが、愛犬が間違って飲まないように注意しましょう。

ブルーベリー

ブルーベリーは、抗酸化作用を持ち老化を防いでくれる食材です。

しかし、犬にとっては糖分が多く高カロリーの果物であり、摂取しすぎると肥満や糖尿病になってしまいます。

また、皮の部分は食物繊維を多量に含んでおり便秘や下痢などの様々な症状を引き起こします。

そのため、ブルーベリーを犬に与えることは控えた方が良いでしょう。

【獣医師監修】愛犬にブルーベリーは食べさせたらだめ!中毒リスクや症状を解説!

愛犬に生肉を与えてはいけない!食べさせないように注意しよう!

本記事では、愛犬に生肉を食べさせていいのかについて解説してきました。

生肉は、生食用の牛肉や馬肉ならば与えても大丈夫ですが、豚肉、鶏肉、ジビエは様々な病原体に感染する恐れがあるため与えない方が良いです。

もし、愛犬が誤って生肉を食べてしまった場合は、すぐに動物病院に連れていき適切な処置をしてもらいましょう。 

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